慢性腎臓病(CKD)で腎機能が維持できているか確認する方法
目次
慢性腎臓病と言われたら
慢性腎臓病は自覚症状がない病気です。
ですので、健康診断や人間ドックで腎機能の数値が多少悪くても、お医者さんから何も指摘されないことが多々あります。
そして数年後・・・知らないうちに『透析がもう間近だった』という事態にならないように、本ブログで説明する、「正しい腎機能の測り方」を絶対に知っておいてくださいね。
腎機能の状態が手に取るようにわかる方法
慢性腎臓病には、特効薬がないので、日々の生活習慣や食事を改善するほかありません。
最初に取り組むように言われるのは、生活習慣の改善(※)ですが、腎臓に良い生活を続けるには、原動力が必要ですよね。
そこで、日々の取り組みの成果がどれくらい出ているのか?を知ることが大切になります、
自分の腎機能を正確に知るための検査値は(クレアチニンではなく)eGFRの値なのです。
※eGFRは「推算GFR」や「推算糸球体ろ過量」と書かれている場合があります。
「クレアチニンが〇〇になったら透析」は信じてはいけない!
腎臓のろ過機能がどれくらいなのか?は、血液検査をしないと知ることはできません。
そして、多くのお医者さんはいまだに「クレアチニンが高いね~。クレアチニンが〇〇になったら透析だよ。」という説明しかしてくれません。
クレアチニンは筋肉から出てくる老廃物で、腎臓でろ過されて尿中に捨てられる物質ですが、腎臓のろ過機能が落ちてくると、クレアチニンを上手に捨てきれずに血液中に溜まってしまうのです。
血液中に残ったクレアチニンが多ければ多いほど、腎臓のろ過機能が落ちている証拠になるわけです。
クレアチニン値だけでは腎機能は判断できません
ただし、クレアチニン値が〇〇だから、腎臓が良い(悪い)と、安直に判断はできません。
なぜなら、クレアチニンは筋肉の老廃物なので、年齢・性別・運動量・食事内容によって差が出るのです。
例えば70歳でクレアチニン4.5の旦那様が「クレアチニンが5.0を超えたら透析の準備ね」とお医者さんに告げられたとします。
それを聞いていた68歳の奥様は「私のクレアチニンは3.8だから大丈夫」と思ってしまったら大問題!
実は奥様の腎機能は旦那様よりも悪くなっている可能性が大なのです。
(画像のような20代の男性と、80代の女性では、筋肉量に大きな差があることは一目瞭然。双方のクレアチニン値が同じでも、実際の腎臓のろ過能力は異なります)
このような間違いが起こらないために腎臓専門医が提唱しているのが、「eGFRで腎機能を知る」方法なのです。
クレアチニン自体は腎臓には無害
また、クレアチニンという筋肉の老廃物自体が、腎機能を落とすわけではありません。
実際に大量のクレアチニンをラットに与える実験でも、腎臓への毒性がほとんど見られないという事が分かっています。
ですので、クレアチニンを下げることが腎臓病対策の目的(※)になってしまうと、逆に健康を損なう場合があります。
(※)摂取するタンパク質を減らしすぎたり、運動を控えて筋肉が減ってしまうと、体内で作られるクレアチニンが減り、血液検査のクレアチニン値も低下します。しかし、これは腎機能が回復した結果ではありません。
筋肉量低下は寝たきりや車いす生活につながりやすく、透析リスクよりも先に、死亡リスクを高めてしまいます。
クレアチニンについては、こちらのブログも参考にしてみてください。
年齢、性別、クレアチニン値からeGFRを計算しよう
腎臓のろ過能力を正しく把握するために、年齢や性別に左右されるクレアチニン量の差を計算式を当てはめてeGFRという値を算出します。
ちなみに前述のご夫婦の場合、70歳でクレアチニン4.5の旦那様のeGFRは11.1ですが、68歳でクレアチニン3.8の奥様はeGFRが9.9となり、奥様の方が透析になる可能性が高いのです。
先生からクレアチニンの値しか指摘されないという方は、こちらで簡単に計算できますので、ご自身のeGFRを算出してみましょう。
HNKのトリセツショーでも、この方法は紹介されています。
eGFRを記録する目的
クレアチニン値を1.25→1.21→1.35→・・・と記録しても実際に腎臓が良くなっているのか(悪くなっているのか)は判断できません。
eGFRを記録してこそ、どれくらい腎臓のろ過機能が守られているかを確認することができるのです。
腎臓病の全体像を把握しよう
eGFRとは、簡単にいうと腎臓の点数をあらわしています。
例えば、eGFRが32だったとしたら、腎臓が100点満点中32点(3割ちょっと)元気で動いてますよ~とわかります。
ただし、eGFRは学校のテストのように100点を目指す必要はありません。
実は、お医者さんに「そろそろ透析」と言われるのは10点(eGFRが10)程度まで下がった時なんです。
幸いなことに、eGFRが10程度に下がっても自覚症状がない場合が多いので、慢性腎臓病治療のゴールは、eGFRを100に戻すことではなく、10を切らないようにすることなのです。
eGFRをグラフ化すると分かる事
eGFRは、日本人の平均で、年間0.36ずつ下がっていくという、統計が出ています。
腎臓のろ過機能は消耗品なので、健康な人でも、毎年0.36ずつeGFRが減っていきます。(緑のグラフ)
しかし、高血圧や尿たんぱくが出ている場合は、eGFRの減るスピードが加速してしまいます。
ちなみに、高血圧がある人は、年間0.3~0.5(紫のグラフ)ずつ低下すると分かっています。
また、尿たんぱくがある人は、年間0.6~0.9(赤色のグラフ)ずつ低下すると分かっています。
まずは、自分のeGFRが1年でどれくらい下がっているかグラフに書いて確認してみましょう。
eGFRをグラフに書くときの注意点
弊社では、初めてご注文頂いたお客さま皆様へ、こちらの記録用紙を無料でお付けしております。
ただし、eGFRをグラフ化するときに、注意してほしいことがあります。
それは、同じ医療機関で測った結果をグラフにすることです。
医療機関が変わると、検査結果に多少の誤差が生じる為、正確なeGFRの管理が出来なくなってしまいます。
過去の検査結果を保管している場合は、数年間の推移を観察することをおすすめします。
また、検査のたびに、気が付いたことや先生に言われた事なども一緒に記入すると良いと思います。
腎臓の数値が悪くなる原因一覧
毎回の検査結果に一喜一憂しているとストレスによってeGFRが低下することがあります。
eGFRは上がったり下がったりするものです。
また、下の表のように、様々な理由で一時的にeGFRが下がることがあります。
検査結果が出たら、表中のような事がなかったか振り返って、一緒にグラフに記載しておきましょう。
1 | 体調不良だった (風邪、ワクチン接種、手術後、怪我…など) | 発熱や炎症があると、クレアチニン値が高くなり、eGFRが低下することがあります。 |
2 | 脱水気味だった (水を飲めていなかった、下痢、大量に発汗した…など) | 脱水は腎臓に負担をかけます。また、血液が濃くなるとクレアチニン値が高くなり、eGFRが低下します。 |
3 | 睡眠不足やストレス | 腎臓への血流量を減らし、腎機能を落とすことがあります。 |
4 | 薬が変わった | 新しい薬の副作用などで、一時的に数値が悪くなる場合があります。 また、腎臓内科以外で処方された薬や、ドラックストアの市販薬には腎機能を落とす薬があります。 |
5 | 腸内環境が悪かった (下痢、便秘など) | 腸内環境が悪いと、腎機能に負担がかかる尿毒症物質が増えてしまいます。 |
6 | 食生活が乱れていた | 加工食品に含まれる添加物、糖化物質、塩分過多な食事は腎機能に負担をかけます。 |
数値が悪くなる原因については、こちらのブログも参考にしてみて下さいね。
- この記事を書いた人
- ゆっきー
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