40歳からの予防医学【書評】(難易度:初級)その2-血液・尿・臓器のサインを見逃すな

こんにちは、きよら通信担当のゆっきーです。

前回のブログから数回にわたり、森勇麿著『40歳からの予防医学』から、腎臓病でお悩みのあなたにも役立ちそうな部分を、書評として紹介しています。
巷で耳にする健康情報や医療情報の数々。
しかし、それらが本当に正しい情報で、エビデンスが確かなもなのか?を見極めるのは、この情報化社会ではなかなか難しいものです。

40歳からの予防医学

目次:
1.人生100年時代の健康戦略
2.血液・尿・臓器のサインを見逃すな
3.がんの予防・早期発見に効く新常識
4.健康寿命を延ばす最強の食事術
5.病気を遠ざける科学的な生活習慣
6.太く長く生きる為のメンタルケア
7.病気になってからの予防医学

今回は、腎臓病にも大きく関わってくる、『2.血液・尿・臓器のサインを見逃すな』に書いてある内容の中から、耳より情報を書評としてお届けしたいと思います。

健康診断、受けるだけではもったいない!

血液検査の結果
弊社のきよらをご愛用頂いている方は、定期的に血液検査をされている方も多いと思います。また、年に1回の健康診断しか受けない方でも、検査数値の異常から、病気の早期発見することができるかもしれません。

【血圧】高血圧は時限爆弾!?

血圧
本書によると、「40歳を超えると日本人の約半数が高血圧になる!」んだとか。高血圧が厄介なのは、血管に高い圧力が加わり続けることでジワジワと血管の細胞が傷つき、心筋梗塞・脳梗塞・大動脈解離といった一瞬で命を奪いかねない病気の原因になること。
腎臓も血管の塊のような臓器なので、高血圧が続くと腎機能も低下してしまいます。

血圧は場所やタイミングで変動する

病院で血圧を測ると「家で測るよりも高いなぁ~」と感じることはありませんか?病院は不安や緊張を感じる非日常空間のため、気付かぬうちに興奮状態となり血圧が高く出やすくなります。(このことを”白衣高血圧”と呼ぶそうです)
また、いつもお風呂上りに血圧を測るという人も要注意!お風呂あがりは、体が温まって血管が拡張しているので、血圧が低く出やすくなります。

正確な血圧は家で測る

このように、血圧は時間や場所、タイミングによって変動するということがお判りいただけると思います。
正確な値をはかるには、家で測るのがおすすめです。本書では「40歳をすぎたら1か月に1回でもいいので自宅で血圧をはかる習慣を身につけましょう」とすすめています。
繰り返しになりますが、高血圧は瞬間的に血圧が高くなって悪さをするのではなく、慢性的に高血圧の状態が続くことで、ジワジワと血管の壁を傷つけて病気を引き起こします。
一方、急激な低血圧は全身の血の巡りを悪くして急性の臓器障害を起こすことがあります。「体調が悪い時、いつものように降圧剤を飲んだら血圧が下がりすぎて、急性の腎障害になってしまった!」なんてこともあるので、自宅で血圧をチャックして、「いつもより低いな~」と言う時には降圧剤の量を調節してもらってくださいね。

血圧は130以下が望ましい

2016年の医学誌「ランセット」に『約61万人を解析した結果、上の血圧が130未満だと心不全、腎不全、脳卒中などのリスクが下がる』という研究が報告されました(※1)。
著者の森医師いわく『上の血圧は130未満にしておきたい。120以下にできれば素晴らしい!』という意識をもって、なるべく薬に頼らずに、生活習慣の改善で血圧をコントロールするのが理想とのことです。
血圧の下げ方については、こちらのブログ(食べる純炭きよら通信vol.38-慢性腎臓病(CKD)なら気を付けたい高血圧、服薬以外での意外な降圧習慣もご紹介します。)も参考にしてみて下さいね。

【血糖値・HbA1c】糖尿病の数値

虫眼鏡を持つ女性
血液検査の結果で、血糖値が高かったり、HbA1cが高いと糖尿病の疑いがかかります。
誤解している人が多いかもしれませんが、糖尿病という病気の本質は尿の糖分が多いことではなく「血液中の糖が血管を傷つける事」なのです。
厄介なことに、糖尿病はある程度症状が進行しないと自覚症状がでません。気付かないうちに全身の血管や神経をも蝕むことから、『サイレントキラー』とも呼ばれています。慢性腎臓病から透析になる患者が一番多いのも、糖尿病が原因の腎臓病なんですよ。

HbA1cが5.7を超えている人は要注意

HbA1cが6.5を超えると「糖尿病の可能性大」と診断されますが、5.7~6.4だと「糖尿病予備軍」に分類されます。本書では、「予備軍だから大丈夫」とか「年をとればだれでも数値が多少悪くなる」とのんきに考えるのは禁物!と注意喚起しています。というのも、糖尿病予備軍に該当する時点で心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上がったというデータが存在するからです(※2)。
ですので、血液検査でHba1cが5.7~6.4だったら、生活習慣を見直したほうが良さそうです。
本書には血糖値を下げる方法(予防医学)は書かれていませんでしたので、今後のきよら通信などで改めて取り上げてみたいと思います。

【尿蛋白】陽性は放置厳禁

頻尿 女性
腎機能に不安がある方は、尿蛋白を気にされている人も多いのではないでしょうか。
本来、たんぱく質は体の大切な栄養分として使われるものなので、尿から捨てられることはありません。しかし、腎臓のろ過機能が落ちてしまうと、尿へ漏れ出てしまいます。
尿検査で尿蛋白が+1・+2・+3であれば必ず再検査をしてくださいとのこと。
というのも、検査前に激しい運動をしたり、たんぱく質を沢山食べたことによっても尿蛋白が陽性になることがあるため、再検査で見極める必要があるからです。
病院へ行くのが億劫な方は、薬局でも尿蛋白をチェックできる試験紙を買う事が出来るので、自宅で再検査した方が良いとのことです。

あわせてeGFRもチェック

再検査でも尿蛋白陽性が続く場合は、高血圧や高血糖・炎症などで腎臓がダメージを受けている可能性があります。そんな時は血液検査表のクレアチニン値やeGFRをチェックしてくださいね。

おわりに

前回と今回紹介した内容の他にも、『だるい、しんどい…原因はにせ鬱?3つの数値でわかる別の病気』『男性の貧血は必ず何か病気が隠れている危険なサイン』『お酒を飲まなくても脂肪肝の可能性も』など、最新の予防医学に関する医療情報が紹介されています。
気になる方は本書を手に取ってみてくださいね。

参考文献

(※1)心血管疾患と死亡の予防のための血圧降下:系統的レビューとメタ分析
(※2)前糖尿病と心血管疾患のリスクとすべての原因による死亡率との関連

40歳からの予防医学【書評】(難易度:初級)その1-先生がありきたりなことしか教えてくれないその理由とは?

きよら通信担当のゆっきーです。
突然ですが、『ヘルスリテラシー』という言葉をご存知でしょうか?

ヘルスは「健康」という意味ですが、
リテラシーは直訳すると「読み書き能力という意味」。
昨今では『ある特定分野の事象や情報を正しく理解・分析・整理し、それを自分の言葉で表現したり、判断する能力』という意味で使われています。(ネットリテラシーや情報リテラシーという言葉をよく耳にしますよね)

日本人のヘルスリテラシーが低い?

40歳からの予防医学
こちらの本によると、驚くべきことに日本人は世界の中で”ヘルスリテラシーが低い”と評されているのだそうです。「世界有数の長寿国に住む日本人がヘルスリテラシーが低い」とはどういうこと?と思い、居ても立っても居られずに読み始めてみました。

著者の森勇麿医師は、神戸大学医学部卒業後、救命救急や産業医などを経験を通じて、予防医学を普及させることの大切さを痛感したそうです。現在ではyoutubeなどで独自の予防医学を配信しており、チャンネル登録数はなんと27万人もいるんですよ。

今回のブログから数回にわたり、森勇麿著『40歳からの予防医学』から、腎臓病でお悩みのあなたにも役立ちそうな部分を、書評として紹介していきたいと思います。

40歳からの予防医学とは

サルコペニア予防
内容は以下の7テーマに分かれており、最新の研究成果に関して、エビデンス(証拠)が確かなデータをきちんと引用しつつ、解説されています。

目次:
1.人生100年時代の健康戦略
2.血液・尿・臓器のサインを見逃すな
3.がんの予防・早期発見に効く新常識
4.健康寿命を延ばす最強の食事術
5.病気を遠ざける科学的な生活習慣
6.太く長く生きる為のメンタルケア
7.病気になってからの予防医学

慢性腎臓病と予防医学

そら豆 腎臓のイメージ
予防医学とは、病気にかかってから治療するのではなく、病気にかからないようにする事を目的としています。予防医学には3段階あり、「病気にならない行動習慣を実践する1次予防」、「病気を早期に発見し治療する2次予防」、「リハビリなどで再発を予防する3次予防」に分けられます。

慢性腎臓病は真ん中の2次予防(早期発見、早期治療)の段階にあたります。透析にならないように、重症化しないように、予防に取り組んでいくことが慢性腎臓病では大切です。

しかし、お客様からは、「病院では透析を予防するためにするべき事をあまり詳しく教えてくれない」といった話をよく聞きます。この書籍によると、そこには私たちが知る由もない驚きの理由があったのです。

今回のブログでは、目次の1つめ(人生100年時代の健康戦略)で語られている「医師がありきたりなことしか言わないワケ」など、気になった内容を紹介します。

自分の身を自分で守ろうとしない日本人

緑にかざす手のひら
冒頭の日本人のヘルスリテラシーが低いという話題、ゆっきーは大変意外に感じてしまいました。テレビを付ければほぼ毎日のように、健康に良い食べ物や運動の特集が組まれているし、インターネットでもありとあらゆる情報を得ることができるこの日本で何故?

しかし、「健康や医療に関する情報を吟味し、取捨選択をしていく能力」を調べた結果では、ヨーロッパ8か国(オーストリア、ブルガリア、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、オランダ、ポーランド、スペイン)に比べて日本の点数は最下位という成績だったそうです。(※1)また、東南アジア諸国(ベトナム、マレーシア、インドネシア等)と比較しても日本人のヘルスリテラシーは劣っていたという結果も出ているのだそうです。(※2)

日本の医療制度がリテラシーを下げている?


ここで、日本人に気付きを与えてくれるシンガポールの例が紹介されています。
シンガポールは、「平均寿命」と「健康寿命(注1)」の差が日本より短く、不健康な状態で生活する期間が世界で最も少ない国なんだそうです(いわゆる、ピンピンコロリな方が多い)。
注1:健康寿命とは病院や薬の世話にならずに自立して生活できる生存期間のこと

シンガポールでは、個人の給与の一部が自動的に老後の医療費として個人口座に貯蓄され、その貯蓄を切り崩して自分の医療費に充てるシステムになっています。
だからこそ、個々人が病気にならないように普段から気を付けるようになり、健康寿命の延伸につながっていると言われています。

一方、日本の国民皆保険制度は世界トップクラスの手厚い制度ではありますが、医療費の7割以上が公費でまかなわれるので、「自分の懐が痛む(医療費で貯蓄が減る)」イメージが湧きにくいのかも知れません。更に言うと、「若くて健康な時に納めた健康保険料を取り戻すために老後は病院に行った方が得」という意識が働いたり、「病気の予防にお金を使うよりも病院で薬をもらった方が安く済む」という現状が日本人のヘルスリテラシーを下げている可能性があります。

とは言え、少子高齢化が進み、医療費の増大や財源確保が大きな社会問題となっている昨今、相互扶助による現在の制度をいつまで続けられるのか…?
アラフォーのゆっきーとしては、この本を読んで自分の身は自分で守らなきゃ!と危機感を感じた次第です。

医師が「ありきたりなこと」しか言わないワケ

受診 白衣の医師
さらに読み進めていくと、日本で予防医学の浸透しない、医師ならではの理由が書かれていてビックリしました。

日本の医師が勉強するのは基本的に「病院の中でできること」であり、病気の診断や薬の処方が中心で、食事や運動といった予防医学の知識を勉強する機会はほとんど無いのだそうです。
かかりつけの医師がありきたりの話しかしてくれないのは、「そもそも知識がないので具体的な話ができない」のが理由とのこと。
更には、日々進歩している治療法や新薬の情報についていくのがやっとで、予防医学まで手が回らないのが日本の医療の現状なのだそうです。

ちゃんと指導してくれる腎臓病の名医どこにいる?

悩む医師の姿
弊社のブログや「きよら通信」で度々紹介している上月先生(※3)や佐中先生(※4)のように、透析を予防するための運動方法や食事法を独自に研究して、細かく指導してくれる先生は実在します。しかしながら、お二人のように腎臓病の予防医学として「透析を予防するための医療」を前面に押し出している医療機関は(残念ながら)多くありません。

そこで、本書のような書籍を通じて「予防のためにできること」や「注意すべきポイント」を知ることが大切になってきます。

おわりに

純炭粉末公式専門店では、腎臓病の予防医学を中心に、お家でできる事を情報発信しています。
医療従事者向けの専門誌や論文データにも目を配り、エビデンスが確かな内容をお届けしています。
ぜひ、過去のブログやきよら通信も参考にしてみて下さいね。
次回は、目次の2番目のテーマ「血液・尿・臓器のサインを見逃すな」から、腎臓病に役立つ部分をご紹介したいと思います。

参考文献

(※1)ヘルスリテラシーを点数化して評価する質問シートに日本人1000人に回答してもらった結果。参考文献:日本の包括的なヘルスリテラシーはヨーロッパよりも低い:ヘルスリテラシーの有効な日本語評価

(※2)Duong TV, et al. Measuring health literacy in Asia: Validation of the HLS -EU-Q47 survey tool in six Asian countries. J Epidemiol. 2017 Feb;27(2):80-86.

(※3)東北大学教授であり、腎臓専門医である上月正博先生は、腎臓リハビリテーションを提唱し、運動によって腎臓病はよくなるという事を発見し広めている先生です。2022年2月には日本腎臓財団 功労賞を受賞したそうです。

(※4)読むデトックスの対談でもご協力いただいた佐中孜先生は、「何が何でも自分の患者は透析にしない」と語る強い信念をもった先生です。現在は、千葉県にある病院で日々慢性腎臓病の患者さんをサポートしています。

腎臓病ときよらについての疑問質問 みんなのQ&A特集!-その2(腎臓病に関するお悩みクイズ)

こんにちは、ゆっきーです。
おハガキでいただいた、きよらや腎臓病に関連する質問をQ&A形式でお答えいたします。
「私も気になっていた!」という共通の疑問が解消できるかも知れません。
早速チェックしてみてくださいね♪

【腎臓病の検査や治療薬に関する質問】

腎生検の危険性について知りたい

手術道具
腎生検は腎臓の組織を採取して、腎臓病の原因を特定する検査です。『レジデントのための腎臓教室』(医師向けの専門書)によると、腎生検にはデメリットもあるので、腎生検によって今までの治療方針が変わる可能性があり、かつメリットが上回る場合のみ行うこととなっています。
腎生検の対象となるのは、血尿が持続していたり、尿蛋白が多い場合、急速進行性の腎炎の疑いがある場合などが挙げられます。患者本人の了解がない場合は腎生検を行う事はできません。
日本腎臓学会によると(平成10年から12年間の集計)、日本では年に約1万人の腎生検を受けており、うち98%は問題なく検査を終えています(うち2%程度は軽い出血などの合併症あり)腎生検が原因で不幸にもなくなる方は1万5000分の1の確率との事です。参考:順天堂大学腎高血圧内科HP

【腎臓病と運動】

腎臓リハビリテーションについて教えてほしい

運動するシニア夫婦
腎臓病と運動については、多くご質問をいただいております。
「適度な運動が腎臓に良い」という事はわかっていても、どれくらい運動したらいいのか?運動だけで透析を遠ざけることができるのか?疑問は尽きませんよね。
”腎臓リハビリテーション”として提唱されている方法は、運動療法だけでなく、食事療法、水分管理、薬物療法、教育、精神・心理的サポートなどを行う長期にわたる包括的なプログラムとなっています。(詳しい内容は参考図書をお読みください:腎臓病は運動でよくなる 上月正博著 マキノ出版
腎臓リハビリテーション学会の会員になっている病院はこちらの学会ホームページで紹介されていますので、お住まいの地域にないかぜひ探してみてくださいね。
また、以下のブログやきよら通信でも運動について書いていますので参考にしてみてください♪
参照:腎臓病は運動でよくなる!~NHKガッテン出演の上月先生著~【書評】 (難易度:初級)
参照:食べる純炭きよら通信vol.4-慢性腎臓病(CKD)の人は運動をしてもいいの?腎機能を守るスポーツの秋のススメ

透析を遠ざける運動量の目安は?

水泳のバタ足
適度な運動とはどれくらいの運動?
スポーツジムのマシンを使った筋トレは?
水泳を1km~2kmは多い?
太極拳・ヨガ・エアロビクス等は大丈夫?
などなど、たくさんご質問を頂いております。
どれくらい運動をするべきか?は、それぞれのお客様の腎機能によって変わってきます。以下のきよら通信で詳しくご説明していますので是非お読みください。
参照:食べる純炭きよら通信vol.35-慢性腎臓病(CKD)の人はどれくらいの運動をしたらいいの?

運動するとクレアチニン値が上がる?
筋肉を増やすとクレアチニン値が上がって腎臓に悪い?

筋肉
クレアチニン値は腎機能をはかる数値の一つですが、それだけで腎機能を測ることはできません。クレアチニンは、『筋肉が運動するための重要なエネルギー源が使われた後にできる老廃物』の事です。
ですので、運動をすると、たくさんクレアチニンが作られますし、筋肉が沢山あるほどクレアチニン値が高くなります。

同じクレアチニン値が1でも
20歳の男性だと…eGFR82 20歳の女性だと…eGFR60
60歳の男性だと…eGFR59 60歳の女性だと…eGFR44
80歳の男性だと…eGFR55 80歳の女性だと…eGFR40

筋肉量が多いほどクレアチニン値が高くなりやすいので、年齢と性別でこんなに腎臓の点数は違います。女性より男性の方が筋肉量は多いですし、若いころの方が筋肉量が多いので、20歳の女性と60歳の男性のeGFRは似たような値になるんですね。
しかし、勘違いしてはいけないのは、クレアチニン自体が腎臓に悪さをするわけではないという事。詳しくはこちらのブログをご覧くださいね。
参照:運動をするとクレアチニン値が上がるから趣味の登山はやめた方がいいの??

【純炭粉末公式専門店】はこちら!

フォシーガ体験談。SGLT2阻害薬の腎保護効果、日本人の場合は?

明けましておめでとうございます、純炭社長の樋口です。
2022年寅年も純炭粉末公式専門店をよろしくお願いいたします。

腎臓病の新薬承認のニュース

SGLT2阻害薬 フォシーガ 商品画像
さて、2021年のトピックスは何といってもフォシーガが慢性腎臓病治療薬として承認されたこと!1991年に球形吸着炭である「クレメジン」が慢性腎臓病用の医薬品として発売されて以来、なんと30年ぶりの新薬なのです。
【関連記事】
食べる純炭きよら通信vol.29-慢性腎臓病(CKD)の承認された新薬”フォシーガ”の最新情報をまとめました。

実際飲んだ人の声は?

薬を飲む女性
純炭粉末公式専門店では、毎月お届けする「きよら通信」やブログを通じて慢性腎臓病に対する新薬開発状況などをお知らせしていたためか、2021年の秋以降、多くのお客様から「フォシーガを飲み始めたよ!」というお声をいただきました。
そこで、フォシーガを飲み始めたあなたや、これから飲んでみようと思っているあなたにとって参考になりそうな体験談をお知らせしようと思います。

フォシーガを飲み始めたらeGFRが下がってしまったAさまの場合

電話相談 男性
Aさまは2021年9月からフォシーガを飲み始めたところ、1か月後の検査でクレアチニンが上昇し、eGFRも低下してしまいました。
そこで、フォシーガ販売元である小野薬品工業の「くすり相談室」に電話してみたところ、「フォシーガ投与2週間後でeGFRが4.0程度下がることがあるが、その後のデータ(エビデンス)はない」との回答だったそうです。

純炭社長が調べてみたところ、初回承認時の2型糖尿病1012例中、6例で腎機能障害が報告されていました(頻度0.6%)。また、腎機能に対してフォシーガが効果を発揮するには少なくとも4か月の服用が必要とのデータも見つかりました。

Aさまは、「まだまだ、不透明感があり一喜一憂するところはありますが、薬効を信じて経過をみたい」と語っていました。

A様の素晴らしいところは、疑問点を医師や薬剤まかにせず、ご自分で製薬会社に問合せているところだと思います。
自分が飲んでいる薬について知りたい場合は、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の医療用医薬品の添付文書情報サイトで添付文書やインタビューフォームが入手できますので調べてみて下さい。製造元や販売元の問合せ先も記載されています。
【参考】
医療用医薬品の添付文書情報 -独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

フォシーガ服用中に尿素窒素(BUN)が上昇してしまったBさまの場合

診察 女性
Bさまはフォシーガ開始後3か月目の検査で尿素窒素(BUN)が2倍に跳ね上がってしまいました。クレアチニンやeGFRには大きな変化はないのに何故?食事の内容が悪かった?と思ったそうです。

Bさまのお話を聞いて純炭社長が真っ先に思い出したのは、最近購入したレジデンスノート増刊「腎疾患の診察・検査できてますか?」(羊土社)206頁に書かれていた以下の文章です。
『(透析導入の基準となる尿毒症症状の)鑑別のなかで特に議論となるのは、血清クレアチニンが2 mg/dL程度であるにもかかわらず、BUNが100 mg/dL以上で、食欲低下や倦怠感などの尿毒症症状と思われる症状があるような状況ではないかと個人的には思う。このような場合、よく透析導入の依頼を受けるが…(中略)…消化管出血、循環血漿量の低下(脱水)、タンパク負荷といった、いわゆるBUN/クレアチニン比が増加している病態をしっかり除外する必要がある

フォシーガの副作用として尿量増加による脱水があります。
この副作用を知っていたBさまは毎日1.5~2.0リットルの水分摂取を心がけていましたが、2021年12月の検査ではBUN/クレアチニン比が急上昇しており、(赤血球やHbA1cなども増加していたことから)、脱水状態と判断されたとのことです。

Bさまの場合は、ご自身の見識や主治医の判断で透析には至りませんでしたが、注意すべきは、クレアチニンやeGFRが透析導入基準に満たない場合でもBUNが跳ね上がり食欲不振や倦怠感を感じていると(本当は必要ないのに)透析導入されてしまう場合があるということです。

お医者様にしてみれば、目の前に食欲不振や倦怠感を訴える慢性腎不全患者が現れれたら、(透析導入したとしても)美味しく食べられ、身体も軽く、楽になって欲しいと願うのが当然(医師の使命)だと思います。ですから、誤って透析に入ってしまうようなことが無いように、セカンドオピニオンを見つけたり、自分自身の病気に関する見識を高めることが大切だと思うのです。

【参考】
BUN/クレアチニン比とは何か? -公益社団法人福岡県薬剤師会
患者さんは脱水症状ではないですか? -長崎県島原病院NST(栄養サポートチーム)

SGLT2阻害薬、日本人での腎保護効果は?

臨床試験 女医 医師 試験
メディカルトリビューンWeb版(2021年11月9日)で報道された川崎医科大学(長洲一先生)と横浜市立大学(矢野裕一朗先生ら)の共同研究成果によると、2型糖尿病(注)の日本人において以下のことが明らかになったとのことです。
1)eGFRの年間低下率はSGLT2阻害薬(フォシーガ以外のSGLT2阻害薬も含む)で-0.47、他の血糖降下薬では-1.22でありSGLT2阻害薬で明らかにeGFR低下は緩やかになった。
2)平均2年間の追跡期間中にeGFRが50%以上低下または透析導入に至った103例の内訳はSGLT2阻害薬で30例、他の血糖降下薬で73例であり、SGLT2阻害薬で有意に少なかった。
【参考】
Kidney Outcomes Associated With SGLT2 Inhibitors Versus Other Glucose-Lowering Drugs in Real-world Clinical Practice: The Japan Chronic Kidney Disease Database -Diabetes Care 2021; 44: 2542-2551

注:糖尿病には1型と2型の二つのタイプがあります。1型糖尿病は自己免疫疾患などでインスリン分泌細胞が破壊されてしまうタイプ(インスリン注射が必要です)。2型糖尿病はインスリンは分泌されるものの、分泌量が減ってしまったり感受性が低下してしまい、血糖値が高いままになるタイプです。2型糖尿病は遺伝的要因や過食・運動不足などが原因で発症します(e-ヘルスネットより抜粋

おわりに

男性医師 薬の説明 処方
以上の結果から、フォシーガに代表されるSGLT2阻害薬は日本人の慢性腎臓病(CKD)治療に有効であることは間違いなさそうです。しかしながら、本ブログでご紹介したAさまのように一過性にeGFRが低下してしまったり、Bさまのように脱水が生じてしまう場合があるので、検査値を見ながらより良い薬効が得られるように気長に様子を見守ってくださいね。

【関連記事】
腎臓病の血液検査の読み方①貧血編
腎臓病の血液検査の読み方②クレアチニン・尿素窒素・アルブミン
腎臓病の血液検査の読み方③カリウム編
腎臓病の血液検査の読み方④リン編

自分の睡眠の質を知って透析リスクを下げる方法。

こんにちは。純炭社長の樋口です。

純炭粉末公式専門店で働く全スタッフの願いは「透析を遠ざける」こと!
そのために、慢性腎臓病に効く新薬、減塩や抗糖化などの食事内容、たんぱく質の摂り方、運動習慣、マインドフルネス(瞑想)といった情報をブログや(ネット環境が悪くてブログを読めないお客様向けに)ダイレクトメール「きよら通信」で配信しています。

そんな「透析を遠ざける」記事を書き溜めている中で、常にモヤモヤしていたのが「睡眠」に関する話題なのです。
睡眠のイメージ 女性 寝起き

なぜかというと、2018年の米国腎臓学会誌で「睡眠の質が低いと透析リスクが1.3倍に上昇してしまう」と報告されたものの、「そもそも睡眠の質ってなに?」「自分の睡眠の質を知るにはどうすればいいの?」という問いに答えが見いだせず、ブログやきよら通信を読んでくれているあなたに解決策を提示できなかったからなのです。

ところが、そんなモヤモヤを吹き飛ばす技術が遂に開発されました!
そこで、あらためて「睡眠の質と腎機能」に関する記事を書こうとおもった次第です。

【関連記事】
・「質の高い睡眠が腎臓を守る」とは言うものの。睡眠の新常識とは?
・慢性腎臓病(CKD)患者、透析回避の鍵は睡眠。睡眠の質が低いと透析リスクが1.3倍!

日本人でも証明された睡眠の質と腎機能の関係

寝室 ベットルーム
兵庫医科大学の糖尿病内分泌・免疫内科学講座は、糖尿病患者231例と非糖尿病患者523例に関して、「睡眠時無呼吸症候群」や「睡眠の質」、「自律神経機能障害」が腎機能に対してどのような影響を及ぼすか?を前向きに観察研究しました。

その結果わかったのは以下のとおりです。
①糖尿病患者では「睡眠の質」と「自律神経機能障害」が腎機能低下に関係している。
②非糖尿病患者では「睡眠の質」と「睡眠時無呼吸症候群」が腎機能低下に関係している。

今回の兵庫医科大学の研究結果を受けて言えることは、
・糖尿病の有無に関わらず「睡眠の質」を上げることが透析を遠ざける手段になる。
・糖尿病患者ではマインドフルネス(瞑想)などで自立神経を整えることが透析を遠ざける手段になる。
・非糖尿病患者では肥満解消などで「睡眠時無呼吸症候群」を改善することが透析を遠ざける手段になる。

【参考】
睡眠の質が糖尿病患者のCKD発症を左右 -メディカルトリビューン(記事を読むには無料の会員登録が必要です)
睡眠の「質」の低下と腎機能障害の関連性を明らかに -兵庫医科大学 糖尿病内分泌・免疫内科学
・自律神経失調症 - e-ヘルスネット

睡眠サプリの特徴とメカニズム

サプリメント 健康食品
ドラッグストアの健康食品コーナーを覗くと「睡眠改善補助サプリメント」が数多く並んでいます。それだけ睡眠に悩んている消費者が多いということなのでしょうか?

深部体温を下げるグリシン

「就寝の2~3時間前に入浴すると良く眠れる」と言いますが、これは身体の中心部の体温(深部体温)が下がりつつあるときに眠りにつくと深い眠りが得られるためだと言われています。グリシンは入浴後と同じように深部体温を下げる効果があるので睡眠改善サプリの成分として配合されています。

自律神経を整えて興奮を抑えるテアニンとGABA

自律神経は「心や身体を興奮させる交感神経」と「リラックスさせる副交感神経」がバランスよく機能しています。ストレスや過重労働、睡眠不足などで交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態が「自律神経機能障害」です。テアニンとGABAは興奮状態の神経系を抑制して心と身体をリラックスさせる効果があります。

腸内環境が「睡眠の質」に影響

腸内環境 お腹を押さえる女性
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史教授(この後の話題にも柳沢先生が登場します)と慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任教授らの研究グループは、「マウスに抗生物質を投与して腸内細菌を除去すると睡眠の質が変わるか?」という研究を行いました。

腸内環境があらゆる病気の原因にも

人間の場合、腸の中には1,000種類以上の細菌が100兆個も棲みついていると言われています。人体を構成しているヒト細胞の数は37兆個しかないので、人間の体というのは様々な細菌の乗り物(或いは細菌たちにとっての小宇宙)でもあるのです。その証拠に、腸内環境は肥満や糖尿病の発症に関係していたり、うつ病などのメンタル面にも影響を及ぼしていることが分かっています。

腸内環境を破壊されたマウスはどうなる?

さて、抗生物質によって腸内細菌たちを殺されたマウスは昼夜が逆転し、脳波的にも睡眠の質が低下している可能性が示されました。面白いことに、このマウスの腸内では(本来、睡眠の質を高めるはずの)グリシンやGABAが増えており、逆にビタミンB6やセロトニンが減っていたのです。

この結果はグリシンやGABAだけでは睡眠の質を改善することは難しく、腸内細菌が作り出すプラスアルファの成分が必要であることを示唆していると思います。(そういえば、「睡眠によいヨーグルトや乳酸菌」のコマーシャルを良く見かけませんか?)

【参考】
・腸内フローラが「睡眠の質」に影響 腸内環境と脳は相互に作用 食事で睡眠を改善できる可能性 -糖尿病ネットワーク
・腸内細菌がいなくなると睡眠パターンが乱れる -筑波大学(TSUKUBA JOURNAL)

「睡眠の質」を測定できる新技術

未来の技術のイメージ
グリシン、テアニン、GABA、乳酸菌…、他にも睡眠導入剤や精神安定剤を飲んでいても「いまひとつ、良く眠れているのかわからない」と思ったことはありませんか?
睡眠計測の方法は
・「睡眠中の身体の動きや心拍数(活動量)」を測定する方法と、
・「睡眠中の脳波」を測定する方法の二つに大別できます。
前者はアップルウォッチなどのデバイスを使えば簡単に測定できますが、後者の「脳波」による睡眠測定は専門の医療機関に入院することが必要でした。

そんな中、脳波測定の問題点を解決し、AI(人工知能)などの最新技術を駆使して、ひとりひとりの睡眠の悩みに寄り添ったサービスを提供してくれる筑波大発ベンチャー企業が登場しました。その会社が先にご紹介した柳沢先生が立ち上げた「株式会社S’UIMIN」です。
(余談ですが、S’UIMINの社長は純炭社長の中外製薬時代の後輩で、同じ研究室で腎性貧血治療薬を開発した人物なのです。)

S’UIMINが開発したデバイスは、額と耳の後ろにシール状の電極を張り付け(針などはありません)、あとは普通に眠るだけ(装着画像はこちら)。人間ドックでも使われています。

【参考】
・活動量計? 脳波? 睡眠計測にはどれが良い?  -S’UIMIN
・株式会社S’UIMIN会社概要 -S’UIMIN

終わりに

青空 女性
純炭粉末公式専門店では「睡眠の質」を知りたいお客様向けに、S’UIMINのデバイスを利用した「睡眠の質測定サービス(有料)」を考えています。費用的には(今のところ)、3晩の睡眠を測定して結果をお返しするのに5万円ほど必要ですが、「自分の睡眠の質を知りたい」、「薬やサプリメントの効果を知りたい」といった場合はメールやフリーダイヤルでご連絡下さい。


【2022年追記】頭痛で鎮痛剤を手放せないと考えないで!腎臓に負担をかける鎮痛剤に頼らずに頭痛をコントロールする方法。

こんにちは。
先日から右背中痛に悩まされている純炭社長の樋口です。
ベッドで横になると痛みが強くなり、立っている姿勢が一番痛みが少ない状況で、痛みが体力も気力も奪い去っていくことを実感しています(現在は意外な方法で痛みが軽減しているのですが、それは文末で紹介しますね)。

さて、純炭粉末公式専門店のお客様も腰痛や頭痛にお悩みの方が多く、痛み専門医が考案した腰痛がラクになる「酸素たっぷり呼吸法」をブログで紹介したこともあります。

そこで、今回はお悩みが多い頭痛に関して新しい治療薬を紹介しますね。

三人に一人は頭痛もち

頭痛 男性
日本臨床内科医会が発行している資料によると、日本人の三人に一人は慢性頭痛に悩む”頭痛もち”なのだそうです。しかし、病院で治療を受けているのは10%足らずで、NSAIDs(※)のような市販の鎮痛剤を飲んでいるのが55%、何もしないで我慢しているのが35%とのこと。
10~20歳代で発症することが多い片頭痛を緩和するためにNSAIDs(ロキソニンやボルタレンなどの非ステロイド性鎮痛剤)をドラッグストアで購入し、慢性的に飲み続けていたら、知らず知らずのうちに腎機能が低下してしまった…というお話も良く耳にします。
【参考】わかりやすい病気のはなしシリーズ11 頭痛 -中間法人日本臨床内科医会

従来の片頭痛治療法と問題点

薬を飲む 痛み止め
痛みが辛いときにはNSAIDsのような鎮痛剤やトリプタンのような処方薬で痛みを取り除き、頭痛を予防するためには抗てんかん薬(デパケンなど)、抗うつ薬(トリプタノールなど)、狭心症治療薬(インデラルなど)が予防薬として転用されてきました。

しかし、これらの薬は(ふらつきや便秘、血圧低下が起こりやすいため)高齢者では慎重投与が必要であったり、(胎児に影響が出る)催奇形性のために妊婦や妊娠の可能性がある女性には使えない欠点がありました(デパケンなどのパルプロ酸が該当)。
【参考】慢性頭痛の診療ガイドライン2013 一般社団法人日本頭痛学会

抗体医薬の新薬で片頭痛を予防する時代に!

新薬 研究 実験 女性
「慢性腎臓病」を適応症としてフォシーガが承認されたように、「片頭痛発作の発症抑制」を適応症として3種類の抗体医薬が2021年に相次いで承認されました。
これらの抗体医薬はいずれもCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質の作用をブロックする働きがあります。

疲労やストレスで三叉神経からCGRPが分泌されると、血管が拡張したり、血管から様々な物質が漏れ出して頭痛を引き起こすと考えられていました。そこでCGRPに結合して作用をブロックする抗体医薬(商品名:エムガルティ、アジョビ)とCGRP受容体(CGRPがはまり込む鍵穴のようなもの)に対する抗体医薬(商品名:アイモビーグ)が開発されたわけです。

既存の予防薬に比べて副作用が少なく効果も早くあらわれるため、「片頭痛に苦しむ患者にとっては生活を一変させるインパクトを持つ」という声もあるとのこと。腎機能が低下していても、高齢者であっても、安心して使える薬です。

これまでは病院に通って注射してもらう必要がありましたが、2022年6月にはアジョビの自己注射が認可され、更に2022年9月にはアイモビーグの在宅自己注射も保険適用になりました。自宅で鎮痛剤を飲む感覚で、自己注射することが可能になったので、今後は片頭痛やNSAIDsによる腎機能低下は確実に減っていくと思います。
【参考】
エムガルティとともに進める片頭痛治療 -イーライリリー、第一三共
片頭痛発作の発症を抑制する薬剤「アジョビ®皮下注225mgシリンジ」の国内における製造販売承認取得について -大塚製薬
アムジェン、片頭痛発作の発症抑制薬「アイモビーグ®皮下注70mgペン」新発売のお知らせ —アムジェン
アジョビ皮下注225mgオートインジェクターの承認申請について-大塚製薬
アイモビーグ皮下注70mgペンの在宅自己注射が保険適用に-アムジェン

私でも処方してもらえるの?

男性医師 薬の説明 処方
約840万人の片頭痛患者全員が高価な抗体医薬を使いだすと国民医療費を圧迫しかねないためか、「専門医でないと処方できない」などの縛りがあります。以下に投与対象の要件と専門医一覧のリンクを貼ってありますので、お近くの専門医に相談してみてください。
【参考】
ガルカネズマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドライン(片頭痛発作の発症抑制)について - 一般社団法人日本神経学会
・認定頭痛専門医一覧 - 一般社団法人日本頭痛学会

片頭痛以外の疼痛はどうなるの?

腰痛 女性
CGRPの作用をブロックする抗体医薬の登場で片頭痛の苦しみは大幅に減りそうです。しかし、他の痛みはどうなるの?という点が気になりますよね。調べてみたところ、NGF(神経成長因子)に対する抗体医薬が変形性関節症の疼痛を大幅に軽減したとの情報が見つかりました。
NSAIDsやモルヒネなどを使わずに抗体医薬で痛みをコントロールできる時代がやってくるかも知れませんね。
【参考】進行中のTanezumab第3相プログラム初の試験の結果を発表、変形性関節症の患者さんの疼痛および身体機能が大幅に改善 -ファイザー

(おまけ)純炭社長の背中痛は?

枕
原因不明の背中痛で、仰向けに寝ても、横向きに寝ても痛くて眠れず、昼間は椅子に座っているのも苦痛で、立ったまま仕事をするような状況が数か月続きました。NSAIDsの飲み薬や塗り薬、コルセットなどを試してみましたが効果なし。

ところが、枕を変えただけで翌朝には痛みがウソのようにやわらぎ、数日で痛みが完全に消失。その後1年以上再発はありません。人間の体って本当に不思議ですね。

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【2022年版】温泉入浴は慢性腎臓病(CKD)の治療や予防に効果がある?

こんにちは。純炭社長の樋口です。

慢性腎臓病に対する期待の新薬として、SGLT2阻害薬フォシーガMR受容体拮抗薬フィネレノンの話題を紹介してきましたが、今回は「温泉や入浴が腎機能の悪化を抑制するかもしれない」という風呂好きにはうれしいお話です。

温泉入浴と病気の関係は?

猿 温泉
環境省のパンフレット「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」には、温泉入浴は疲労回復だけでなく、喘息やアトピー性皮膚炎、関節リウマチ、不眠症、うつ病といった様々な病気に対して治療効果があると書かれています。また、各病気に適した泉質もパンフレットにまとめられています(残念ながら慢性腎臓病に効く泉質情報は載っていません)。
では、温泉入浴は慢性腎臓病(CKD)の悪化を抑制したり、透析導入を予防する効果はあるのでしょうか?また、慢性腎臓病(CKD)に適した泉質はあるのでしょうか?
環境省がまとめた温泉の効果効能パンフレット
【参考】あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは -環境省

温泉入浴は病気を予防する?

温泉の健康効果
2021年6月10日~13日に開催された第58回日本リハビリテーション医学会で、九州大学病院別府病院内科の前田豊樹先生が「温泉の入浴習慣と疾病予防」という演題で”温泉入浴で病気は予防できるのか?”という研究結果を報告したそうです(出典:メディカルトリビューン2021年7月6日記事)。

温泉の源泉数世界一位の別府市は高齢者人口が多く、温泉入浴と病気の関係を調べるにはうってつけの地域!。そこで前田先生らは65歳以上の別府市民2万人に対して2012年~2015年にわたってアンケート調査を行い、有効回答9,252人のアンケート結果を解析しました。

温泉好きの別府市民は病気が少ない!

別府市民だけあって、調査対象の約半数は毎日温泉を利用し、入浴時間は10~20分程度が多かったそうです。面白いことに別府に住んでいても温泉をほとんど使わない人たちが約1/4程存在したため、温泉入浴者と非入浴者に分けて病気の頻度を調べました。

その結果、男性では温泉入浴者で以下の病気が有意に少なかったそうです。

・虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)
・不整脈
・脂質異常症
・うつ病
・慢性肝炎
・アレルギー

一方、温泉入浴の女性は高血圧と腎臓病が少なく、糖尿病が多いという結果でした。(※有意差はつかなかったものの、男性でも腎臓病が少ない傾向は認められています。(P=0.057)
【参考】温泉入浴に疾病予防は期待できるか —メディカルトリビューン2021年7月6日記事(記事を読むには無料会員登録が必要です。一般の方でも会員登録できます)。

この結果からわかることは

この結果は「温泉入浴は腎臓病を予防する」ように見えますが、ひょっとすると腎臓病と診断された方が温泉入浴を控えた結果、「温泉非入浴者には腎臓病が多く、温泉入浴者には腎臓病が少ない」という結果になった可能性もあります。そこで、入浴と腎臓病の関係を調べてみた結果、とても興味深い研究結果が見つかりました。

入浴習慣で腎機能回復の可能性あり!

温泉に入る女性
熊本保健科学大学内部障害リハビリテーション研究室の飯山準一教授は、自らが慢性腎不全から血液透析に入り、その後に腎移植を受けた経験を持つ医師であり研究者です。
九州・沖縄地方は他の地域に比べて透析患者が多いことに疑問を抱いた飯山先生は「温暖な地域ではシャワー入浴が多く、しっかり体を温める機会が少ない。もしかすると入浴習慣が腎機能に影響しているのではないか?」との仮説を立てて研究を始めました。

腎不全のマウスに温熱療法を施すと

研究を進める過程で、87%の腎臓組織を切除した腎不全マウスに温熱療法を施したところ、温熱療法によって腎機能障害が劇的に軽減されることを見出したのです(詳細は下記リンク先の動画「入浴習慣は腎臓病に有効か」をご覧ください)。

人間にも温熱療法は効果あり?

現在、人間でも同じ結果が得られるのか?を確認するために疫学研究プロジェクト「生活習慣と慢性腎臓病」が実施されていますが、飯山先生おすすめの入浴法は「41℃のお湯に10分間つかる」だそうです。但し、いきなり41℃で10分入浴すると疲れてしまうので、無理をせずに徐々に体を慣らしていくのがコツとのこと。温泉である必要はないので今日から手軽に試せますね。

【参考】
動画「入浴習慣は腎臓病に有効か」-くまもと県民テレビ(kkt!医療ナビDr.テレビたん)
Mild systemic thermal therapy ameliorates renal dysfunction in a rodent model of chronic kidney disease. -Am J Physiol Renal Physiol. 2016 Jun 1;310(11):F1206-15
疫学研究プロジェクト「生活習慣と慢性腎臓病」 -熊本保険科学大学内部障害リハビリテーション研究室

シャワーと入浴の違い(2022年追記)

シャワー
シャワーと入浴の違いは深部体温が上がるか否か、水圧による腎血流量の増加にあるようです。

深部体温の上昇

41℃のお湯に10分間つかると深部体温が1℃上昇するとのこと。深部体温の上昇は免疫能にも良い効果を発揮すると言われているので、このご時世には腎臓以外の効果も期待できそうですね。
【参考】体温を上げて 免疫力アップ ⁻サワイ健康推進課

水圧による効果

湯船につかることによって体の表面に水圧が加わり、皮膚の毛細血管が圧迫されます。それによって全身の血行が良くなり、腎血流量も増加してeGFRが上昇するそうです。
【参考】
普段、入浴はシャワーにしていますが、湯船につかった方が良いと言われました。その理由を教えてください。-千葉県
温浴の腎機能への効果 -日本温泉気候物理医学会雑誌

まとめ

入浴
ブログタイトルには「温泉入浴」と書きましたが、腎臓への作用メカニズムを考えると、温泉である必要は全くなく、自宅で湯船につかれば同じ効果が得られることになります。
首までゆったりとお湯につかった方が深部体温が上がりやすく、水圧の作用も強くなるのですが、血圧が高かったり、心臓に持病がある場合は半身浴にするなど、入浴方法を主治医の先生に相談してみて下さいね。

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【2022年最新版】フォシーガに続け!米国でMR拮抗薬(血圧を下げる薬)が慢性腎臓病(CKD)治療薬の承認を取得

こんにちは。純炭社長の樋口です。
2021年8月6日に公開した慢性腎臓病薬の紹介ブログでは、糖尿病治療に使われているSGLT2阻害薬(販売名フォシーガ)が慢性腎臓病(CKD)治療薬として使えるようになることを紹介しました。更に本ブログを追記している2022年8月現在ではカナグル(SGLT2阻害薬)とケレンディア(MR拮抗薬)が慢性腎臓病薬として承認されています。
「腎臓病は不治の病、治療薬はない」と言われ続けてきましたが、続々と新薬が登場しますので、慢性腎臓病と診断されても、決して落胆しないでくださいね。

あなたが処方されている血圧の薬はどのタイプ?

血圧
さて、今回紹介する慢性腎臓病(CKD)治療薬はMR拮抗薬という血圧を下げる降圧剤の一種です。
あなたは血圧の薬を飲んでいませんか?
実は血圧を下げる薬には大きく分けて4種類あります。

1)RAS阻害薬:ACE阻害薬(アンジオテンシンII変換酵素阻害薬)やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)
2)カルシウム拮抗薬
3)利尿剤
4)MR拮抗薬

お薬手帳であなたが飲んでいる降圧剤のタイプを確認してみてくださいね。
(上記4種類を組み合わせた合剤もあります)

MR拮抗薬フィネレノンが2型糖尿病合併の慢性腎臓病(CKD)の適応承認を取得

カプセル 薬
米国食品医薬局(FDA)は2021年7月9日に独バイエル社が開発したMR拮抗薬フィネレノンについて、2型糖尿病に合併した慢性腎臓病(CKD)の治療薬として承認を与えました。ちなみに、糖尿病には1型と2型の2種類があり、1型は自己免疫などで膵臓が障害を受け、血糖値を下げるホルモン(インスリン)が出なくなるタイプの糖尿病。2型はインスリンは分泌されるものの、インスリンの効きが悪くなって血糖値が下がり難くなるタイプの糖尿病です。
【参考】
Novel Drug Approvals for 2021 -FDA

フィネレノンの臨床試験結果

臨床結果
慢性腎臓病(CKD)を伴う2型糖尿病患者5,674例が臨床試験の対象に選ばれました(糖尿病がない慢性腎臓病患者は除外されています)。
アルブミン尿があり、eGFRが25~60未満でRAS阻害薬(前述のACE阻害薬やARB)が継続して処方されている事と、血清カリウムが4.8以下である事が選択基準です。
すなわち、フィネレノンとRAS阻害薬の両方を飲んだ場合、腎機能の低下が緩やかになり、その効果は心血管病(心筋梗塞など)の既往がある患者ほど高かったとのことです。
【参考】
・FIDELIO-DKD -糖尿病トライアルデータベース
・バイエルのフィネレノン 2 型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者を対象に心血管系アウトカムを検討した第Ⅲ相臨床試験 FIGARO-DKD において主要評価項目を達成 -バイエル薬品株式会社

2022年8月追記:日本でもフィネレノンが使えるようになりました!

薬局
2022年6月2日、バイエル薬品は日本国内でフィネレノン(商品名:ケレンディア)の発売を開始しました。しかし、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)の治療に限定されており、高血圧が原因の腎硬化症や炎症が原因の慢性糸球体腎炎などの治療に使うことができません(健康保険が使えない自由診療の病院であれば処方してもらえる可能性はあります)。

一方、フィネレノンと同じMR拮抗薬であるミネブロ(一般名エサキセレノン:第一三共)は高血圧の治療目的で日本でも使うことができます。更に、ミネブロは慢性腎臓病を合併した高血圧症患者で臨床試験が進んでいます。
ミネブロの臨床試験が順調に進んで、腎硬化症のような糖尿病ではない慢性腎臓病でもMR拮抗薬が使える日が1日も早く来て欲しいものですね。
【参考】
ケレンディア添付文書 -pmda医薬品医療機器総合機構
・「ミネブロ®錠」新発売のお知らせ -第一三共株式会社
・慢性腎臓病を合併した高血圧症患者に対するエサキセレノンとヒドロクロロチアジドの腎保護効果に関するランダム化比較試験 -UMIN

慢性腎臓病(CKD)治療のゴールとは?

ゴール

医師の目指す治療のゴール

ある医師から「死は医療の敗北と教育されてきた」と聞いたことがあります。
ですから、多くの医師たちは、あなたやあなたの家族のためを思って透析をすすめるのではないでしょうか。医師の目指すゴールは「透析しながらでも患者が充実した人生を歩んでくれること」なのだと推察します。

患者側が願う治療のゴール

しかし、あなたは「透析はイヤ!なんとしても透析を回避したい」という気持ちではないでしょうか?
保存期腎臓病(透析に入っていない腎臓病)患者にとって、治療のゴールは、「透析に入らずに天寿を全うすること」なのではないか? 医師と患者の目指すゴールに乖離があるのではないか?
そんなことを日々感じています。

エビデンス医療から物語医療へ

カウンセリング 医師と患者
今の日本では、検査数値や診断結果に基づいた「標準治療」を行うエビデンス医療(EBM=Evidence-Based Medicine)が主流です。そこでは「マニュアルどおりの治療をおこなえばいい」とか「マニュアルに従わない治療をおこなったら患者や家族に訴えられるかもしれない」という心理が生まれているかもしれません。高名な遺伝学・腫瘍学者である中村祐輔先生は、このような医療の現状を「医療のファーストフード化」と表現しているそうです。

エビデンス医療の問題点の解決法

しかし、1990年代後半から欧米を中心にエビデンス医療の問題点を反省するかのごとく「物語(ナラティブ)に基づいた医療(NBM=Narrative-Based Medicine)」という概念が広がってきました。
この物語医療とは、「病気をもつ患者には物語があり、その患者の病気にかかわるナレーションをよく聴き、対話をはかることが医師の診断プロセスに役立ち、しかもよく聴くこと自体に治療的役割がある」という考え方です。

医師たちは気が付いているのです。

「臓器(ここでは腎臓)に対する最適医療だけでは患者の病態は改善しないケースがある」ことを。「病は気から」とは「悪い気が病を引き起こす」という意味ではなく「病気は気の持ちようで重くもなるし軽くもなる」と解釈できます。
病気に対する自分の気持ちを聴いてもらうこと、吐き出すこと、安心すること、が透析を遠ざける第一歩なのかもしれません。

おわりに

ウオーキングする女性
以前のブログ「可愛がられる患者さんになろう!」で紹介されているように、医師に遠慮して言いたいことも言えず、すべてを医師任せにしてしまう患者は意外なことに医師に敬遠されてしまうとのこと。

あなたが医師に対して「どう生きたいか」、「どんな治療を受けたいか」を物語として語れるお手伝いをすることが純炭粉末公式専門店スタッフの仕事でもあります。今後も「透析に入らずに天寿を全うする」ために役立つ情報を発信し続けたいと思っています。

【参考】
・「マクドナルド化」する日本のがん治療、世界から取り残されて破綻寸前 -DIAMOND  online 
・患者の物語りに耳を傾ける医療 -深井保健科学研究所

後半はMR拮抗薬の話題から大きく脱線してしまいました。
申し訳ありません。
m(_ _)m

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【2022年最新版】慢性腎臓病(CKD)治療薬フォシーガ・カナグル・ケレンディアってどんな薬?純炭社長が解説します。

こんにちは。純炭社長の樋口です。
2021年8月に慢性腎臓病治療薬として承認されたフォシーガに引き続き、2022年にはカナグルとケレンディアの2剤が慢性腎臓病治療薬として使えるようになりましたので、最新情報を追記します。

2021年8月、慢性腎臓病(CKD)の治療薬 国内で初めて承認へ!

新薬の研究開発のイメージ写真
純炭粉末公式専門店のお客様にお届けしている「きよら通信」やブログ「慢性腎臓病(CKD)期待の新薬」でも紹介したSGLT2阻害薬が慢性腎臓病(CKD)治療薬として承認申請されましたね。昨日もお客さまから「慢性腎臓病の治療薬が出たってテレビで見たんだけど、どんな薬?」というお問合せがありました

テレビ報道のイメージ写真
2021年8月に承認されたのはSGLT2阻害薬のなかの「フォシーガ」という薬なのですが、テレビや新聞で「国内初の慢性腎臓病(CKD)治療薬」と報道されているのを知って、純炭社長的には???と思ってしまいました。
というのも慢性腎臓病(CKD)用剤である「クレメジン(球形吸着炭)」が1991年に承認されているからなのです。クレメジンを開発したクレハ(旧呉羽化学工業)さんは悔しい気持ちになっているのでは?
余談ですが、私、就職活動でクレハの医薬品部門を受けて役員面接で見事に落っこちました(笑)でも、クレハを恨んではいませんよ。
おかげで中外製薬の研究所に就職して腎性貧血治療薬の創薬に携われた訳ですし、今でもラップは「クレラップ」を愛用しています(笑)。
【参考】
2021年1月27日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録(厚生労働省)
(7月28日の専門部会議事録は今のところ厚生労働省ホームページにアップされていませんでした)
クレハの歴史・沿革 -株式会社クレハ

フォシーガ・カナグルってどんな薬?

薬を求める手のイメージ写真
さて、本題に入りますが、販売名フォシーガ(一般名称:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)も、2022年6月に承認されたカナグル(一般名称:カナグリフロジン水和物)も、SGLT2阻害薬に分類される糖尿病の治療薬です。
腎臓にあるSGLT2というポンプ(尿中に捨てられたブドウ糖を再吸収して血液に戻すポンプのような物質)の働きを阻害することで、ブドウ糖を尿中に捨てて血糖値を下げる働きがあります。
フォシーガは日本において2014年に「2型糖尿病」、2019年に「1型糖尿病」、2020年に「慢性心不全」の治療薬として承認されています。
そして2021年、「慢性腎臓病」の治療薬として承認されることになりました。
なぜ心不全や腎臓病に効くのか?今のところメカニズムは明らかではありませんが、メカニズムが解明されれば更に効果的な治療薬の開発につながると期待されます。
【参考】
フォシーガ -アストラゼネカ医療関係者向け情報
カナグル -田辺三菱製薬

フォシーガやカナグルは慢性腎臓病(CKD)なら誰でも使える?

青空 女性
このブログを最初に書いた2021年8月5日時点では慢性腎臓病(CKD)治療薬としてのフォシーガは正式承認されていないので、どのような慢性腎臓病(CKD)患者がフォシーガ治療の対象になるのか?は明らかではありませんでした。
しかし、フォシーガの国際的な臨床試験(DAPA-CKD)では糖尿病の有無を問わない4,304例の慢性腎臓病(CKD)患者で臨床試験が行われているので、糖尿病でなくてもフォシーガが使えるようになるのでは?と期待しています。
しかし、DAPA-CKD試験ではeGFRが25以上75未満の慢性腎臓病(CKD)患者であり、尚且つ、ACE阻害薬(またはARB)という血圧を下げる薬を4週間以上服用している患者が臨床試験の対象になっています。
ということは、日本の慢性腎臓病(CKD)治療において、
①eGFRが25よりも下の場合は使えるのか?
②ACE阻害薬やARB以外の血圧の薬(カルシウム拮抗薬など)を飲んでいると使えないのか?
という2点が気になります。正式に承認されたら情報を追記しますね。
【参考】DAPA-CKD -糖尿病トライアルデータベース

2021年8月追記:フォシーガは糖尿病ではない慢性腎臓病でも使える薬!

アストラゼネカ(製造販売元)と小野薬品工業(販売)はフォシーガについて、2型糖尿病合併の有無に関わらず、「慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)」の効能又は効果の追加承認を取得したと発表しました。

予想通り、糖尿病の有無に関わらず使えるようになったわけですが、eGFRが25未満でも使えるのか?、降圧剤(ACE阻害薬やARB)の併用は必須なのか?、慢性腎臓病特有の副作用はあるのか?といった点について、改訂された添付文章から抜粋してみます。

eGFR 25未満でも使えるの?

『eGFRが25mL/min/1.73m2未満の患者では、本剤の腎保護作用が十分に得られない可能性があること、本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがあることから、投与の必要性を慎重に判断すること(添付文章5.7項より抜粋)』と書かれており、腎機能障害の悪化に十分注意すれば、全く使えないわけではなさそうです。

また、添付文章8.2項には『糖尿病の血糖コントロール改善を目的として使用している患者においては、継続的にeGFRが45mL/min/1.73m2未満に低下した場合は投与の中止を検討すること』と書かれていますが、これは「eGFR 45未満ではフォシーガの血糖コントロール効果が得られなくなるので、糖尿病治療薬としては中止を検討すること」という意味合いであり、慢性腎臓病治療薬として中止を求めているわけでは無いようです。

尚、添付文章17項(臨床成績)では、今回の承認の元になったフォシーガ国際共同プラセボ対象二重盲検比較試験において、『本剤投与中にeGFRが25mL/min/1.73m2未満に低下した場合でも本剤投与を継続可とし、さらに透析が必要となった場合でも本剤投与は継続可とした』と書かれていることから、eGFRが25を切っている場合にフォシーガを使うか否かは、(最終的には)患者と医師の考え次第なのだと思います。

ACE阻害薬やARBといった降圧剤の併用は必須なの?

添付文章の4項(効能又は効果)には、『〇慢性腎臓病、ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く』と追加されただけで、ACE阻害薬やARBといった降圧剤の併用には触れられていないので、降圧剤が処方されていなかったり、カルシウム拮抗薬のような他の降圧剤を飲んでいても大丈夫なようです。

慢性腎臓病に特有の副作用はあるの?

添付文章11項(副作用)には慢性腎臓病に特有の副作用は追記されなかったことから、下記の「フォシーガを服用するときの注意点」に気をつければ大丈夫です。

インスリンを打っている場合は要注意!

フォシーガには5 mg錠と10 mg錠がありますが、慢性腎臓病(CKD)の治療を目的とする場合は10 mg錠を1日1回服用することになります(5 mgでの有効性は確認されていないため)。ところがインスリンを投与していると血糖値が下がりすぎる場合があるのでインスリン量の調整が必要となり、『糖尿病治療に精通した医師と連携して、(中略)5 mg 1日1回で投与開始し、血糖コントロールが安定したら速やかに10 mgに増量してください』と添付文章に明記されています。インスリンを打っている場合は注意してくださいね。

2022年8月追記:カナグルは2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に限定

2022年6月に承認されたカナグルはフォシーガと同じSGLT2阻害薬ですが、2型糖尿病を合併していることが処方の条件なので、高血圧が原因の腎硬化症や慢性糸球体腎炎の場合には処方してもらえないと思います。また、「eGFRが30mL/min/1.73m2未満の患者では、本剤の腎保護効果が十分に得られない可能性があること、本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがあることから、新規に投与しないこと。」と明記されており、フォシーガよりも処方されにくい内容となっています。
副作用に関してはフォシーガと同様な内容です。

【参考】
フォシーガ、2型糖尿病合併の有無に関わらず、日本で初めての慢性腎臓病の治療薬として承認を取得 -アストラゼネカ
フォシーガ®錠 添付文章改訂のお知らせ -小野薬品工業

2021年9月追記:フォシーガはステージ4の慢性腎臓病(CKD)にも有効(米国腎臓学会誌)

米国スタンフォード大学のグループはフォシーガの臨床試験から「eGFRが30未満のステージ4慢性腎臓病患者」と「eGFRが30以上あるステージ2や3の患者」の間に腎保護効果の差や副作用の差があるか?をサブ解析しました。

その結果、ステージ4であってもステージ2/3と変わらない腎保護効果が確認され、特に注目すべき副作用もなかったことが分かりました。

【参考】Effects of Dapagliflozin in Stage 4 Chronic Kidney Disease 
J Am Soc Nephrol. 2021 Sep;32(9):2352-2361.
doi: 10.1681/ASN.2021020167. Epub 2021 Jul 16.

懸念する女医のイメージ図
SGLT2阻害薬は糖尿病患者の血糖値の乱れを安定させるだけでなく、(作用機序は解明されていませんが)腎臓や心臓を守ってくれる作用を発揮します。
しかし、「良薬は口に苦し」というようにいくつかの懸念材料(副作用)もあります。
eGFRの低下速度が緩やかになり「透析を遠ざける」というベネフィットと以下に書くようなリスク(まれに出現する副作用)を天秤にかけて、SGLT2阻害薬(フォシーガやカナグル)を使うか否かを医師と話し合ってください。

低血糖

もともとは糖尿病患者の血糖値を下げる薬なので、低血糖症状をおこすことがあります。
極端に血糖値が下がると意識を失うことがあるので、車の運転や高所作業は要注意です。
また、激しく筋肉を使う運動は低血糖に陥りやすくなるので、軽めの運動の方が良さそうです。

脱水

尿の中に糖やナトリウムを捨てる作用があるため、尿の量が増えたり(多尿)、尿の回数が増え(頻尿)、知らず知らずのうちに脱水症状になってしまうことがあります。
特に高齢者は喉の渇きを感じにくくなっていることがあるので、喉が渇かなくてもこまめに水分補給をした方が良さそうです。
毎日血圧を測っている場合には、急な血圧低下も脱水の注意信号であることを覚えておいてください。
また、次項にも関係しますが、急に体重が減った時には脱水も疑ってください。
利尿剤が処方されている場合は更に脱水になりやすいので、医師に相談してください。

体重減少

人間のエネルギー源でもあるブドウ糖を尿に捨てる作用があるので、エネルギー不足による体重減少がおきる場合があります。
エネルギー不足は筋肉量や筋力が低下するサルコペニアの原因になるので、高齢者は特に気をつけて、定期的に体重をチェックしてください。
急に体重が減った時には水分をしっかり摂って、エネルギー補給にはMCTオイルなどを使いつつ、服用継続の可否や食事内容を医師に相談してください。

ケトアシドーシス

エネルギー源であるブドウ糖を尿中に捨てる作用があるため、エネルギー不足に陥った体はケトン体という別のエネルギー源を作り出します。
血液中にケトン体が増えすぎると血液が酸性に傾いて危険な状態(ケトアシドーシス)になることがあります。
悪心・嘔吐・食欲減退・腹痛・過度な口渇・倦怠感・呼吸困難・意識障害などの症状があらわれたら、すぐに病院に行ってください。

性器感染、尿路感染、腎盂腎炎

尿中のブドウ糖濃度が高くなるので、細菌が感染すると通常よりも繁殖しやすくなります。
細菌が性器で留まれば性器感染。膀胱で繁殖すると膀胱炎。尿道をつたって腎臓まで細菌が到達すると腎盂腎炎になってしまいます。
陰部の痒みや排尿時の痛み、尿の濁り、血尿などいつもと違う症状に気づいたら泌尿器科を受診しましょう。

【参考】フォシーガ錠5mg 10mgインタビューフォーム -アストラゼネカ

2022年8月追記:ケレンディア(非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)が慢性腎臓病治療薬として登場

2022年6月、バイエル薬品は非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であるケレンディア(一般名称:フィネレノン)を2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)治療薬として発売を開始しました。
ケレンディアのターゲットはSGLT2ではなく、ミネラルコルチコイド受容体(MR)という物質です。MRが過剰に働きすぎると炎症や繊維化によって腎機能が低下してしまうので、MRの働きを抑えるのがケレンディアの役目です。MR拮抗薬は高血圧治療に使われている成分なので、腎硬化症や腎炎にも使えそうに思えますが、現時点では2型糖尿尿病を合併した慢性腎臓病に使用が限定されています。気になる副作用は①高カリウム血症、②低血圧などです。

【参考】
ケレンディア添付文書 -Pmda
医薬品医療機器総合機構

まとめ

スマホを見て喜ぶ女性
これまで「腎臓病を治す薬はない!」と言われ続けて落胆してきた1,300万人の慢性腎臓病(CKD)患者にとって、2021年8月のフォシーガ承認は朗報でした。
フォシーガに続いて、同類のSGLT2阻害薬であるカナグルやジャディアンスも慢性腎臓病(CKD)治療薬として開発が進み、2022年6月にカナグルが承認されました。
しかし、SGLT2阻害薬の共通特性として「低血糖」や「脱水」、「体重減少」、「ケトアシドーシス」などの副作用は残ると思います。
「減塩」や「カリウム制限」、「たんぱく質制限」といった腎臓病食で食が細くなり、BMI(注)が20を切ってしまうほど痩せてしまっている場合は特に副作用が出やすくなるので注意が必要です。
フォシーガのようなSGLT2阻害薬を慢性腎臓病(CKD)治療に使う場合には、単に薬を処方するだけでなく、「糖質」・「たんぱく質」・「脂質」・「食物繊維」・「ビタミン・ミネラル類」・「水分」などをバランスよく、患者個々人に適したかたちで提案する食事指導がより一層大切になると思っています。
また、SGLT2阻害薬とは全く違うメカニズムで腎臓を守るケレンディアも2022年6月から使うことが出来るようになりました。今後ますます、様々な切り口で腎臓を守る方法が開発されることを願うばかりです。

注:BMI=Body Mass Index / ボディ・マス指数 / 体格指数
[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値で肥満や低体重(やせ)の判定に使います。
【参考】BMI -e-ヘルスネット(厚生労働省)

【関連記事】
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【2022年最新版】慢性腎臓病(CKD)の糖尿病治療薬はどれが適している?

こんにちは、純炭社長の樋口です。
2021年8月に糖尿病治療薬であるフォシーガが慢性腎臓病治療薬として使えるようになりました。更に2022年6月には糖尿病治療薬カナグルが「2型糖尿病を合併する慢性腎不全」の治療薬として承認されました。

病院で腎機能の低下を指摘されたあなたが、今、糖尿病の薬を処方されていなくても、フォシーガを使える可能性がありますし(フォシーガは糖尿病以外の慢性腎臓病でも使えます)、血液検査の結果で空腹時血糖が126を超えていたり、HbA1c(ヘモグロビンA1c)が6.5を超えている場合は、糖尿病の疑いがあるので、是非読み進めてくださいね。

【参考】
フォシーガ、2型糖尿病合併の有無に関わらず、日本で初めての慢性腎臓病の治療薬として承認を取得 日本の慢性腎臓病患者さんの治療に大きな進展をもたらす -小野薬品
SGLT2阻害剤「カナグル®錠100mg」について日本における2型糖尿病を合併する慢性腎臓病の適応追加承認を取得―田辺三菱製薬

あなたは糖尿病の薬を飲んでいますか?

処方箋

1年間に透析に入る方がどれほどいるかご存知でしょうか?
日本透析医学会が発表している最新の「わが国の慢性透析療法の現状(2020年12月31日現在)」によると、約3万9千人だったそうです。
そのうち、腎機能を落とす原因となった疾患は、何が一番多かったかというと、以下の通りです。

1位 糖尿病性腎症 40.7%
2位 高血圧が原因の腎硬化症 17.5%
3位 慢性糸球体腎炎 15.0%
4位 原因不明 13.8%

ということは、糖尿病や高血圧を適切に治療すれば透析は回避できる可能性が高いわけです。

【参考】わが国の慢性透析療法の現状(2020年末の慢性透析患者に関する集計)―日本透析医学会

糖尿病はどんな病気?

角砂糖
空腹時血糖が100 mg/dLの時、血液中の糖分はティースプーン1杯(5グラム程度)と言われます。
ところが、白米1杯の糖質は55グラムなので11倍の糖分が体内に入ってくるわけです。
しかし、ご飯を食べた後に血糖値を測っても1,200 mg/dLなんてとんでもない数値にはなりません。
なぜならば、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが、血液中の糖分(ブドウ糖)を一生懸命に肝臓や筋肉に取り込ませているのです。
何らかの理由でインスリンが作られなくなったり、インスリンの効きが悪くなると、ブドウ糖は肝臓や筋肉に取り込まれなくなり、高血糖状態が長時間続くようになります。すると、AGE化などで血管が傷ついて腎症や網膜症につながっていきます。

様々な種類がある糖尿病治療薬


糖尿病治療薬の目的は血糖値が上がりすぎるのを抑えること!
そのアプローチ方法には様々な手段があって、現在はざっと8系統の糖尿病治療薬が使われています。

ビグアナイド薬

メトホルミンに代表されるビグアナイド薬は肝臓に作用して糖新生(タンパク質などからブドウ糖を作り出す作用)を抑制して血糖値の上昇を抑える薬です。eGFRが30未満は禁忌(使ってはいけない)となっています。

チアゾリジン薬

インスリンの効きを悪くする物質を作っている脂肪細胞に働きかけてインスリン抵抗性を改善する薬です。

スルホニル尿素(SU)

膵臓の細胞に直接働きかけてインスリンの分泌を促す薬です。

グリニド薬

スルホニル尿素(SU)薬と同じ作用ですが、SU薬よりも早く効いて、早く効果がなくなる特徴があります。

DPP-4阻害薬

膵臓からのインスリン分泌を促す消化管ホルモン(GLP-1などのインクレチン)を分解するDPP-4酵素を阻害することでGLP-1の分解を防いでインスリンの分泌を促す薬です。

GLP-1受容体作動薬

膵臓にあるGLP-1受容体に直接働きかけてインスリンの分泌を促す薬です。

アルファグルコシダーゼ阻害薬

糖質からブドウ糖を切り出す酵素(アルファグルコシダーゼ)を阻害して、血中へのブドウ糖取り込みを抑える薬です。

SGLT2阻害薬

腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑制して血糖値の上昇を防ぐ薬です。近年、腎臓や心臓の機能を保つ作用が見出されて欧米では慢性腎臓病(CKD)治療薬として承認されました。(2022年7月現在、日本でも前述のフォシーガとカナグルが承認されています)。

このように糖尿病治療薬には切り口が異なる様々な種類が存在していて、お医者さまはあなたの病状を総合的に捉えて、適切な薬を処方してくれるわけです。

慢性腎臓病(CKD)の糖尿病薬物治療

健康診断の結果
2020年版の米国糖尿病学会診療ガイドラインでは、まず第一に
①メトホルミン(注1)と「食事や運動、体重管理などの生活習慣改善」で治療を行い、
②eGFRが30~60の(または尿中アルブミン/クレアチニン比が30を上回る)腎機能低下がある場合はSGLT2阻害薬を追加して治療することが推奨されています(注2)。
注1:メトホルミンはeGFR30未満や重度の肝機能障害、妊婦など複数の禁忌(飲んではいけない状態)があるので、禁忌に当てはまらないことが服用の条件です。
注2:SGLT2阻害薬が使えない場合はGLP-1受容体作動薬が推奨されています。

※重要!2022年2月追記
2022年版のガイドラインでは「メトホルミンを第一選択薬とする」記述が消えて、慢性腎臓病や心不全がある糖尿病の場合には、最初からSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬の投与が推奨されました。

日本におけるSGLT2阻害薬の審査状況

ポリファーマシー 多剤服用
2021年1月27日、SGLT2阻害薬「フォシーガ」が慢性腎臓病(CKD)治療薬として優先審査品目の指定を受けました。
フォシーガはeGFR25~75未満でアルブミン尿が増加した4,304例の慢性腎臓病(CKD)患者において、糖尿病の有無に関わらず腎機能の低下を抑制したとのことです。
カナグルやジャディアンスといった他のSGLT2阻害薬も慢性腎臓病(CKD)治療薬としての開発が進んでいます。
欧米では2型糖尿病の有無に関わらず慢性腎臓病(CKD)治療薬として承認されていることから、日本でも広く使えるようになると期待されます。※追記 2021年8月にフォシーガは慢性腎臓病(CKD)治療薬として日本でも使うことが出来るようになり、2022年6月にはカナグルが承認されました。

おわりに

女医 診察
血液検査で血糖値が高かったり、HbA1c(ヘモグロビンA1c)や糖化アルブミンが高い場合には、

①糖尿病治療薬が処方されているか?
②どんな種類の糖尿病治療薬を飲んでいるのか?

お手元のお薬手帳で確認してみてくださいね。

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