血液検査の読み方④リンを制するものは老化を制する!

投稿日: カテゴリー ■腎臓病について

こんにちは。純炭社長の樋口です。
腎臓病で気になる血液検査の値、4回目はリンです。

たんぱく質制限やカリウム制限が心配になっているあなたでも、リン制限に関しては余り意識していないのではないでしょうか?
実はリンはとても奥深く「リンを制する者は老化を制する」と言っても過言ではないミネラルなのです。語りだすとなが~くなってしまうので、注意点を先に書きますね。

血清無機リンの正常値
2.4~4.3 mg/dL(※1)

☝リン制限に関する日本腎臓学会の指針

日本腎臓学会のガイドラインである「慢性腎臓病 生活・食事指導マニュアル~栄養指導実践編~(2015)」にはリン制限に関して何と書いてあるか見てみましょう。
『尿毒症となり低たんぱく質食事療法が実施されている場合には、動物性食品摂取量減少などから、リンの摂取量も同時に減少する。しかしながらこの時期にはリン排泄能の低下により、しばしば高リン血症が問題となる。適切なリン・カルシウムバランスを保つために、医師の処方内容などを確認し、理解し、適切に対応する必要がある。』


☝う~ん…結局どういう事?

学会のガイドラインだけだと、何をどうすればいいのかわからないですね。血清無機リン濃度が4.5 mg/dLを超えると高リン血症と診断され、リン吸着剤が処方されたり食事指導が入ります。
しかし、純炭社長は高リン血症と診断されなくてもリンには注意した方が良いと考えているので、『腎臓を守るために知っておきたいリンの注意点』を4つに絞って解説します。

☝その①
リンには吸収率の低い「有機リン」と吸収率の高い「無機リン」の2種類が存在する!

「有機リン」と聞くと農薬を連想して「怖いもの」とイメージしてしまうかも知れませんが、ここでいう「有機リン」は我々の細胞を作っている細胞膜や遺伝情報である核酸に含まれるリンのことです。
一方、「無機リン」は科学実験につかう試薬のようなイメージです。

☝その②
肉や魚、豆類などに含まれるのが有機リン。動物性有機リンよりも植物性有機リンの方が吸収されにくい!

植物性たんぱく質の摂取割合が多いほど腎機能の低下が抑えられるという報告があります(※2)。その理由の一つとして、植物性たんぱく質のリンは吸収されにくいからなのかもしれません。

☝その③
無機リンは食品添加物として多くの加工食品に添加されている!
加工肉 無機リン
ハム・ソーセージなどの加工肉やおでん種などの練り物、スナック菓子には無機リンが多く含まれます。
無機リンは食品の保存性を高めたり、味を美味しくする効果があるので、値段が安くて日持ちがして美味しいものに添加されていることが多いのです。「年間所得が低い家庭では、血中リン濃度が高い傾向にある」というちょっと皮肉な海外論文もあります(※3)。
食塩やナトリウムと違ってリンには表示義務がないため、どれくらいリンが入っているか?わかりません。成分表示に「リン酸塩・リン酸Na」と書かれていなくても「pH調整剤」や「かんすい」など名前を変えて添加されています。

☝その④
腎機能が低下したら無機リンに注意!

腎機能が正常であれば過剰に摂取したリンは腎臓から尿中に排泄されます。しかし、腎機能が低下するとリンを上手く捨てることができずに体内にリンが溜まってしまいます。すると腎機能の低下が進んだり血管や骨がもろくなって寿命を縮める原因となるので、腎臓病では吸収率が高い無機リンに注意が必要なのです。

まとめると・・・

リンの検査結果の数値が高めの人は・・・
●無機リンを出来るだけ摂らない
●植物性たんぱく質を意識的に選ぶ
という点に気を付けて、加工食品や保存料が入っている食品を出来るだけ選ばないようにした方がよさそうです。食品を選ぶときは、裏側の成分表示を確認して、カタカナや英語の文字が沢山書いてあるものは避けるようにしましょう。
こちらのブログ『なぜたんぱく質制限をする必要があるの? 』
にもリンについて詳しいのでぜひ参照してください。

☝こんな論文も!
リンを制御するたった1種類のたんぱく質を破壊するだけで老化が12倍速く進む!

純炭社長が製薬会社の研究所に居た1997年、世界が驚く論文が日本人の黒尾先生、鍋島先生らから発表されました。その内容は「ネズミの腎臓にあるクロトーたんぱく質を破壊すると早老症になる!」というものでした。通常は2年で寿命を迎えるネズミですが、クロトーたんぱく質を破壊されたネズミは、たった2か月で(老衰に近い状態で)死んでしまうのです。

クロトー遺伝子の正体とは?

後の研究で、クロトーたんぱく質は血液中のリン濃度を感知して尿中に捨てるリンの量を決めている司令塔であることが分かりました。クロトーたんぱく質を破壊されたネズミは体内のリン調節が狂ってしまい12倍も早く老化が進んでしまったのです。

この研究により「リンを制する者は老化を制する」という概念がうまれた訳ですが、「無機リンを制する者は腎臓病を制する」という概念も社会的に広まって、透析患者が減って欲しいと願う純炭社長なのでした。

 

参考文献など:
(※1):正常値は(株)エスアールエルの基準値で表記しています。
(※2):腎臓に良い食べ物 植物性たんぱく質|純炭粉末公式専門店
(※3):Kalantar-Zadeh K, Gutekunst L, Mehrotra R, et al. Understanding sources of dietary phosphorus in the treatment of patients with chronic kidney disease. Clin J Am Soc Nephrol 5: 519-530, 2010

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投稿者: 純炭社長

純炭粉末の(株)ダステック代表取締役社長。中外製薬で腎性貧血治療薬エリスロポエチン(ESA製剤)の創薬に携わった後に、ESA製剤が不必要になる世の中(すなわち腎臓病が無くなる世の中)を目指して47歳で起業しました。元金沢医科大学腎臓内科非常勤講師。ケトジェニックダイエットシニアアドバイザー・AGE研究協会認定講師でもあります。「出す」健康法で健康寿命を延ばすのが夢! 最近は「腎臓にやさしい純炭社長食堂」のシェフとしてサラメシも提供しています(笑)。

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