慢性腎臓病(CKD)に良い食べ物、そのオリーブオイルは大丈夫?
こんにちは、純炭社長です。
目次
腎臓病に良い油とは?
先日、販売スタッフがお客様に亜麻仁油を紹介したところ、その日のうちに電話があり、「スーパーに行ってみて来たら150ccしか入っていない小瓶が800円もして買うのをためらった。」という感想をいただきました。
そこで、今回のブログでは「腎臓によいオイルの選び方」をご紹介します。
オメガ3が豊富な油がオススメ
風邪などの感染症にかかると体内で炎症反応が起こります。炎症はクレアチニン値を上げてしまうので、風邪をひいた直後に血液検査をしたら「腎機能が低下していますね」と言われたことはありませんか?
オメガ3は炎症反応を抑える
そんな炎症反応を抑えてくれるのが、えごま油やアマニ油に豊富なオメガ3脂肪酸です。元々はイワシやサバなどの青魚に多いオメガ3ですが、えごま油やアマニ油であれば小さじ一杯でイワシ2尾分のオメガ3が摂れます。イワシでオメガ3を毎日摂るよりもえごま油やアマニ油を購入した方がお財布に優しいかも・・・?
【参考】健康には必須脂肪酸「オメガ3」「オメガ6」が重要!油選びのコツ -NHK
オリーブオイルは腎臓に良い?
また、健康にとても気を使っているお客様は、「健康番組でオリーブオイルが心筋梗塞などを予防するとお医者さまが言っていたので、サラダにオリーブオイルをかけて食べている。」と教えてくれました。
手に入りやすいオリーブオイルですが…
確かに、オリーブオイルであれば1リットル800円程度で買えるので、えごま油やアマニ油が割高に感じる気持ちは分かります。また、オリーブオイルを多用する地中海食は健康に良いというデータが世界的医学誌に発表されているので、オリーブオイルを推奨するテレビ番組は多いです。しかし、オリーブオイルの質まで言及する番組は少ないのも事実(というか皆無かも)。
オリーブオイルは質を重視して
そんな中、先日放送された朝の番組で斎藤糧三先生が『エクストラバージンでなければダメです!』と強調していたのが印象的でした。
実は、医学会では表面上、「オリーブオイルを推奨するお医者さま」と「オリーブオイルを推奨しないお医者さま」の真っ二つに分かれます。表面上と書いたのは、「質の良いオリーブオイルであれば推奨する」という意見では一致しているのですが、「質の良いオリーブオイルを選び出して購入し、正しく使えるか?」という点で意見が分かれてしまうからです。
オリーブオイルの選び方
先日、ゆっきーが紹介してくれた山嶋哲盛先生(元金沢大学医学部准教授、現有松医科歯科クリニックCEO)の『「サラダ油」をやめれば脳がボケずに血管も詰まらない!』には様々な油の選び方が書かれており、オリーブオイルの危険性と安全なオリーブオイルの選び方についても詳しく記されていますのでご紹介します。
なぜ安易にオリーブオイルを使ってはいけないのか
答えは「食品偽装」と「品質劣化」です。まず最初に、日本で売られているオリーブオイルには「ピュアオリーブオイル」と「エクストラバージンオリーブオイル」の2種類があることを覚えておいてください。
安い”ピュアオリーブオイル”の正体
ピュアオリーブオイルは食用として使えないような工業用の油を脱臭、脱色、脱酸した後にエクストラバージンオイルを少しだけブレンドして香りづけした加工品です。ピュアという言葉は純粋で自然というイメージを抱かせますが、英語では「精製された」という意味もあるのです。ピュアオリーブオイルには健康に良い成分は含まれないに等しいですので、積極的に摂取する油では無いのです。
日本のオリーブオイルは偽装だらけ?
健康意識の高い方は「エクストラバージンオリーブオイル」を選んでいる方も多いと思います。ですが、ここにも落とし穴が潜んでいます。山嶋先生によると『日本で売られているエクストラバージンと明記されたオリーブオイルの少なくとも2~3割は「偽証」だと言われています』とのこと。その理由のひとつとして、山嶋先生は『日本が国際オリーブ協会(IOC=International Olive Council』に加盟していないため。』と説明しています。(書籍の発行は2014年だったので、純炭社長もIOCのホームページで確認してみましたが、2018年10月時点でも日本は未加入でした)。
日本のオリーブオイルの規格とは
日本では、規格や品質表示はJAS法で規定されていて、国際規格よりも基準がゆるいばかりか、『そもそも日本ではオリーブオイル製品に「エクストラバージン」と表示するための規制がまったくありません。』という驚くべき現実を知っておく必要があります。
2021年9月追記
2021年9月時点のIOCホームページでも日本は未加入でしたが、「一般社団法人日本オリーブ協会」という組織がIOCの一員として国際規格の品質検査を受けることが可能となり、独自のJOA認定マークをつけて販売しているそうです。
【参考】オリーブオイルの品質について -一般社団法人日本オリーブ協会
脳と体にいいオリーブオイルを選ぶ7つのポイント
オリーブオイルの選び方 | ||
1. | 光を通さない濃い色のガラス瓶に入っている事 | 酸化した油は危険なので、酸化しやすい(酸素を通しやすい)プラスチックボトルは避ける。日光での劣化もあるので色付きの瓶入がGOOD |
2. | 原産地で瓶に詰められているもの、詰められた日が明記されているもの | IGP・DOP・有機マークがついていることも目安となります。 |
3. | 高品質のオリーブオイルの味を覚える事 | とろみがあってピリッとした辛味があるものを選ぶ(辛味や苦みは抗酸化成分です) |
4. | 価格の目安は1cc=10円以上するもの | 品質が値段に比例します。 |
5. | なるべく寒い山地で産出されたタイプを選ぶこと | 南イタリアよりも北イタリア。山嶋先生はトスカーナ産を選んでいるそう。 |
6. | 1-2か月以内に使い切る程度の量を購入し、頻繫に買い替えること。 | 酸化してしまう前に使い切りましょう。 |
参考文献:「サラダ油をやめれば脳がボケずにずに血管も詰まらない」 |
(以上、山嶋先生の著書から改変)気になった方は「サラダ油をやめれば脳がボケずにずに血管も詰まらない」【書評】もお読みください。
テレビで取り上げられると消える商品
健康情報番組が「〇〇は体に良い」と言うとスーパーから商品が消えるという現象は珍しくありません。オメガ3脂肪酸が豊富な亜麻仁油やエゴマ油も数年前にスーパーから消えました。最近では同じくオメガ3脂肪酸が豊富なサバ缶が品薄になっています。
しかし、テレビ局は「〇〇の摂り過ぎは体によくない」という内容の番組は作りたがりません。なぜなら、今回のオリーブオイルの質のような問題を取り上げると、食品メーカーがスポンサーになってくれなくなるという大人の事情もあるのでしょうね。
参考に弊社社食のオリーブオイル
ちなみにこちらの3種類↑のオリーブオイルは純炭社長食堂で実際に使っているもの。普通のスーパーやちょっといいスーパー(デパ地下など)で買えます。
見事に松竹梅(残念ながら、1cc=10円するレベルのものはありませんでした。今度買ってきます!)
よくある市販のオリーブオイル例 | |||
左 | コンビニでも買える価格帯 | 色付のプラスチック容器 | 500㏄で約500円(1cc=1円) |
中 | 某大手メーカーの上位品 | 色付瓶入 | 500㏄で約1000円(1㏄=2円) |
左 | 良いスーパーに売っている一番高い品 | 色付瓶入 | 250㏄で約1000円(1㏄=4円) |
腎臓病食でも採用されているオイル
えごま油、アマニ油、オリーブオイルに比べたら知名度の低いMCTオイルですが、実は50年以上に渡り、エネルギーを積極的に必要とする慢性腎臓病(CKD)患者や未熟児、高脂肪食を必要とするてんかん患者、消化器系の手術後の栄養補給に使われてきました。
MCTオイルの特徴は一般的な油の約4倍も早く吸収・分解されて、速やかにエネルギーとして使われること!
「体を動かさないからエネルギーなんて必要ない」、「油は脂肪として蓄えられるから控えている」という考えは肥満体の大食漢でないと当てはまりません。
【純炭粉末公式専門店が腎臓病の方におすすめする良いオイル】
腎臓病のエネルギー補給に
「慢性腎臓病食は、いろいろな食事制限があって、何を食べて良いか分からない」「減塩の味気ない食事ばかりで食が細くなってしまった」
そんな時こそ、MCTオイルでエネルギーを補給してあげてください。
【純炭粉末公式専門店】でもMCTオイルをご購入いただけます。
最近では高齢者のサルコペニア(低栄養からくる筋力低下や筋肉量低下)の予防にも使われていますよ。※サルコペニアについては「知らないと意外に怖い腎臓病のサルコペニア」もお読みください。
まとめ
●えごま油、アマニ油、オリーブオイルは酸化しやすいので、酸化した油の臭いがしたら(もったいないと思わずに)捨てましょう!
●えごま油、アマニ油、MCTオイルは加熱せず、料理にかけて使いましょう(特にMCTオイルは炒め油や揚げ油に使うと燃えるのでご注意ください!)
【参考】
・そもそも「MCT」ってなに? -日清オイリオ
・CKDの食事療法を学ぶ マクトンオイル・マクトンゼロパウダーの使い方 -キッセイ薬品工業
純炭ブログは玉石混交の健康情報の中から、純炭社長が間違いないと思う情報や、スタッフが身を持って体験した情報を発信し続けたいと思い、学会やセミナーで情報収集を続けています。ぜひ参考にしてみてくださいね!
【関連記事】
・たんぱく質ってどうやってとればいいの?
・腎臓に優しい調理方法は?
- この記事を書いた人
- 純炭社長:樋口正人
株式会社ダステック代表取締役社長。
1985年3月:千葉大学大学院理学研究科生物学専攻 修了
1985年4月:中外製薬株式会社入社。新薬研究所配属腎性貧血治療薬エリスロポエチン(ESA製剤)の創薬に従事。
1998年4月~2001年3月:通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(岡修一先生)技術研修員
1999年4月~2008年3月:筑波大学先端学際領域研究センター(山本雅之教授)客員研究員
2007年4月~2014年3月:金沢医科大学非常勤講師
2007年10月:中外製薬退社
2009年5月:株式会社ダステック設立
2015年5月:純炭粉末の米国特許取得(ADSORPTION CARBON, AND ADSORBENT Patent No.: US 9,034,789 B2)
2015年5月:純炭粉末の日本特許取得(吸着炭及び吸着剤 特許第5765649号)
「出す健康法」で健康寿命を延ばすのが夢!
最近は「腎臓にやさしい純炭社長食堂」のシェフとして社員さんの昼食を調理しています(笑)。
「慢性腎臓病(CKD)に良い食べ物、そのオリーブオイルは大丈夫?」への5 件のフィードバック
[…] の油です。成分的にはオレイン酸など。オリーブオイルに多く含まれます。オリーブオイルを多用している方は「ちょっと待って!そのオリーブオイルは大丈夫?」も読んでみて下さい。 […]
[…] 関連ブログ:慢性腎臓病(CKD)に良い食べ物、そのオリーブオイルは大丈夫? […]
いつも、腎臓についてのお話をありがとうございます。
オイルについては試行錯誤していますが、
ココナッツオイルについては、どうでしょうか。
ご意見をお聞かせ頂けたら幸いです。
コメントありがとうございます。
ココナッツオイルは約60%がブログ本文中にあるMCTオイルと同じ中鎖脂肪酸、残りの40%は長鎖脂肪酸(ラードなどと同じ)と不飽和脂肪酸(オリーブオイルやサラダ油と同じ)で出来ています。
中鎖脂肪酸は昔から腎臓病食として使われているので、中鎖脂肪酸含有量が高いココナッツオイルは腎臓病食のカロリー補給には適したオイルだと思います。
注意点としては以下があげられます。
1)酸化してしまう不飽和脂肪酸を含むので、酸化臭がする場合は使わない。
2)カビが生じる場合があるので早めに使い切る。
ココナッツオイル特有のココナッツ臭や冬場に固まってしまう性質が気になる場合は中鎖脂肪酸100%のMCTオイルが使いやすいと思います。
但し、MCTオイルは引火点が低いので炒め物や揚げ物には使えません。
炒め物にはココナッツオイル、MCTオイルはそのまま野菜や納豆にかけて、と使い分けてはいかがでしょう。
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