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腎臓病対策治療薬

【2022年最新版】フォシーガに続け!米国でMR拮抗薬(血圧を下げる薬)が慢性腎臓病(CKD)治療薬の承認を取得

こんにちは。純炭社長の樋口です。
2021年8月6日に公開した慢性腎臓病薬の紹介ブログでは、糖尿病治療に使われているSGLT2阻害薬(販売名フォシーガ)が慢性腎臓病(CKD)治療薬として使えるようになることを紹介しました。更に本ブログを追記している2022年8月現在ではカナグル(SGLT2阻害薬)とケレンディア(MR拮抗薬)が慢性腎臓病薬として承認されています。
「腎臓病は不治の病、治療薬はない」と言われ続けてきましたが、続々と新薬が登場しますので、慢性腎臓病と診断されても、決して落胆しないでくださいね。

あなたが処方されている血圧の薬はどのタイプ?

血圧
さて、今回紹介する慢性腎臓病(CKD)治療薬はMR拮抗薬という血圧を下げる降圧剤の一種です。
あなたは血圧の薬を飲んでいませんか?
実は血圧を下げる薬には大きく分けて4種類あります。

1)RAS阻害薬:ACE阻害薬(アンジオテンシンII変換酵素阻害薬)やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)
2)カルシウム拮抗薬
3)利尿剤
4)MR拮抗薬

お薬手帳であなたが飲んでいる降圧剤のタイプを確認してみてくださいね。
(上記4種類を組み合わせた合剤もあります)

MR拮抗薬フィネレノンが2型糖尿病合併の慢性腎臓病(CKD)の適応承認を取得

カプセル 薬
米国食品医薬局(FDA)は2021年7月9日に独バイエル社が開発したMR拮抗薬フィネレノンについて、2型糖尿病に合併した慢性腎臓病(CKD)の治療薬として承認を与えました。ちなみに、糖尿病には1型と2型の2種類があり、1型は自己免疫などで膵臓が障害を受け、血糖値を下げるホルモン(インスリン)が出なくなるタイプの糖尿病。2型はインスリンは分泌されるものの、インスリンの効きが悪くなって血糖値が下がり難くなるタイプの糖尿病です。
【参考】
Novel Drug Approvals for 2021 -FDA

フィネレノンの臨床試験結果

臨床結果
慢性腎臓病(CKD)を伴う2型糖尿病患者5,674例が臨床試験の対象に選ばれました(糖尿病がない慢性腎臓病患者は除外されています)。
アルブミン尿があり、eGFRが25~60未満でRAS阻害薬(前述のACE阻害薬やARB)が継続して処方されている事と、血清カリウムが4.8以下である事が選択基準です。
すなわち、フィネレノンとRAS阻害薬の両方を飲んだ場合、腎機能の低下が緩やかになり、その効果は心血管病(心筋梗塞など)の既往がある患者ほど高かったとのことです。
【参考】
・FIDELIO-DKD -糖尿病トライアルデータベース
・バイエルのフィネレノン 2 型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者を対象に心血管系アウトカムを検討した第Ⅲ相臨床試験 FIGARO-DKD において主要評価項目を達成 -バイエル薬品株式会社

2022年8月追記:日本でもフィネレノンが使えるようになりました!

薬局
2022年6月2日、バイエル薬品は日本国内でフィネレノン(商品名:ケレンディア)の発売を開始しました。しかし、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)の治療に限定されており、高血圧が原因の腎硬化症や炎症が原因の慢性糸球体腎炎などの治療に使うことができません(健康保険が使えない自由診療の病院であれば処方してもらえる可能性はあります)。

一方、フィネレノンと同じMR拮抗薬であるミネブロ(一般名エサキセレノン:第一三共)は高血圧の治療目的で日本でも使うことができます。更に、ミネブロは慢性腎臓病を合併した高血圧症患者で臨床試験が進んでいます。
ミネブロの臨床試験が順調に進んで、腎硬化症のような糖尿病ではない慢性腎臓病でもMR拮抗薬が使える日が1日も早く来て欲しいものですね。
【参考】
ケレンディア添付文書 -pmda医薬品医療機器総合機構
・「ミネブロ®錠」新発売のお知らせ -第一三共株式会社
・慢性腎臓病を合併した高血圧症患者に対するエサキセレノンとヒドロクロロチアジドの腎保護効果に関するランダム化比較試験 -UMIN

慢性腎臓病(CKD)治療のゴールとは?

ゴール

医師の目指す治療のゴール

ある医師から「死は医療の敗北と教育されてきた」と聞いたことがあります。
ですから、多くの医師たちは、あなたやあなたの家族のためを思って透析をすすめるのではないでしょうか。医師の目指すゴールは「透析しながらでも患者が充実した人生を歩んでくれること」なのだと推察します。

患者側が願う治療のゴール

しかし、あなたは「透析はイヤ!なんとしても透析を回避したい」という気持ちではないでしょうか?
保存期腎臓病(透析に入っていない腎臓病)患者にとって、治療のゴールは、「透析に入らずに天寿を全うすること」なのではないか? 医師と患者の目指すゴールに乖離があるのではないか?
そんなことを日々感じています。

エビデンス医療から物語医療へ

カウンセリング 医師と患者
今の日本では、検査数値や診断結果に基づいた「標準治療」を行うエビデンス医療(EBM=Evidence-Based Medicine)が主流です。そこでは「マニュアルどおりの治療をおこなえばいい」とか「マニュアルに従わない治療をおこなったら患者や家族に訴えられるかもしれない」という心理が生まれているかもしれません。高名な遺伝学・腫瘍学者である中村祐輔先生は、このような医療の現状を「医療のファーストフード化」と表現しているそうです。

エビデンス医療の問題点の解決法

しかし、1990年代後半から欧米を中心にエビデンス医療の問題点を反省するかのごとく「物語(ナラティブ)に基づいた医療(NBM=Narrative-Based Medicine)」という概念が広がってきました。
この物語医療とは、「病気をもつ患者には物語があり、その患者の病気にかかわるナレーションをよく聴き、対話をはかることが医師の診断プロセスに役立ち、しかもよく聴くこと自体に治療的役割がある」という考え方です。

医師たちは気が付いているのです。

「臓器(ここでは腎臓)に対する最適医療だけでは患者の病態は改善しないケースがある」ことを。「病は気から」とは「悪い気が病を引き起こす」という意味ではなく「病気は気の持ちようで重くもなるし軽くもなる」と解釈できます。
病気に対する自分の気持ちを聴いてもらうこと、吐き出すこと、安心すること、が透析を遠ざける第一歩なのかもしれません。

おわりに

ウオーキングする女性
以前のブログ「可愛がられる患者さんになろう!」で紹介されているように、医師に遠慮して言いたいことも言えず、すべてを医師任せにしてしまう患者は意外なことに医師に敬遠されてしまうとのこと。

あなたが医師に対して「どう生きたいか」、「どんな治療を受けたいか」を物語として語れるお手伝いをすることが純炭粉末公式専門店スタッフの仕事でもあります。今後も「透析に入らずに天寿を全うする」ために役立つ情報を発信し続けたいと思っています。

【参考】
・「マクドナルド化」する日本のがん治療、世界から取り残されて破綻寸前 -DIAMOND  online 
・患者の物語りに耳を傾ける医療 -深井保健科学研究所

後半はMR拮抗薬の話題から大きく脱線してしまいました。
申し訳ありません。
m(_ _)m

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この記事を書いた人
樋口正人(純炭社長)

株式会社ダステック代表取締役社長。
1985年3月:千葉大学大学院理学研究科生物学専攻 修了
1985年4月:中外製薬株式会社入社。新薬研究所配属腎性貧血治療薬エリスロポエチン(ESA製剤)の創薬に従事。
1998年4月~2001年3月:通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(岡修一先生)技術研修員
1999年4月~2008年3月:筑波大学先端学際領域研究センター(山本雅之教授)客員研究員
2007年4月~2014年3月:金沢医科大学非常勤講師
2007年10月:中外製薬退社
2009年5月:株式会社ダステック設立
2015年5月:純炭粉末の米国特許取得(ADSORPTION CARBON, AND ADSORBENT Patent No.: US 9,034,789 B2)
2015年5月:純炭粉末の日本特許取得(吸着炭及び吸着剤 特許第5765649号)

「出す健康法」で健康寿命を延ばすのが夢!
最近は「腎臓にやさしい純炭社長食堂」のシェフとして社員さんの昼食を調理しています(笑)。

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