便秘を治す薬に関するQ&A 市販の便秘薬を飲み続けても大丈夫?
こんにちは、純炭社長の樋口です。
お客様とお話していると、便秘や腸内環境の乱れを感じている方が多いことに気が付きます。
今回は日本消化管学会編集の「便通異常症診療ガイドライン2023慢性便秘症」を参考にしながら、便秘薬に関する疑問にお答えしたいと思います。
目次
Q:慢性便秘の解消は腎臓や心臓にも良い?
A:便秘を解消すると腎臓や心臓、脳に良い効果が期待できます。
2014年12月に「慢性腎臓病マウスにおいて、便秘を改善すると腎臓病の進行が抑えられる」という画期的な論文が東北大学の研究グループから報告されました。
出典:東北大学プレスリリース2014年
その後、2017年には人間の慢性便秘症で腎機能が低下しやすく、慢性腎臓病や透析(又は腎移植)になるリスクが高いことも確認され、人間でも便秘解消が透析を遠ざける有効な手段だと考えられるようになりました。
また、慢性的な便秘は心血管病(心臓病や脳卒中など)による死亡リスクを高めたり、パーキンソン病の発症リスクを2倍以上に高めることも報告され、便秘解消が心臓や脳にも良い効果をもたらすと期待されています。
参考:東北大学プレスリリース2019年
一方、便秘と大腸がんの発生に関しては、意外なことに「便秘が大腸がんリスクを低下させる」という研究結果もあり、今のところ結論が出ていません。
Q:市販の便秘薬を飲み続けても大丈夫?
A:腎機能が低下している場合、市販の便秘薬の常用は避け、病院で適切な便秘薬を処方してもらいましょう。
マグネシウムを含む市販の便秘薬に注意!
酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムなど、マグネシウムを含む便秘薬は便を柔らかくして排便を促してくれます。
しかし、腎機能が低下しているとマグネシウムが体内に溜まってしまい、高マグネシウム血症になることがあります。「eGFRが30未満であったり、高齢腎臓病患者にはマグネシウム製剤の投与は慎むべき」とされています。
また、腎機能が正常であっても、以下の薬とマグネシウム製剤を併用すると、思わぬ副作用が出ることがあるので、薬剤師さんや主治医に相談してください。
・胃もたれや逆流性食道炎で胃酸の分泌を抑える薬を飲んでいる場合
・骨粗しょう症の薬を飲んでいる場合
・腎臓病で活性型ビタミンD3製剤を飲んている場合
漢方便秘薬は長いあいだ飲み続けない!
漢方薬は体にやさしいイメージを持ちがちですが、センナ・センノシド・ダイオウ(大黄)などの成分が入っている便秘薬は注意が必要です。
腸を刺激して動きを活発にし、排便を促すタイプの便秘薬で、良く効きます。
しかし、長期間飲み続けると体が慣れてしまい、量を増やさないと効かなくなってしまうので、苦しい時に頓服として飲むか、できるだけ短期間の服用にとどめることが大切です。
ビサコジル、ピコスルファートナトリウムも長期間服用しない!
ビサコジルやピコスルファートナトリウムが入っている便秘薬も、腸を刺激するタイプなので、漢方便秘薬と同じように、苦しい時の頓服や短期間の服用にとどめて、病院で適切な薬を処方してもらいましょう。
Q:病院ではどんな便秘薬が処方されるの?
10年ほど前までは、病院でもマグネシウム製剤や漢方系の刺激性便秘薬の処方がほとんどでした。
ところが2010年代に新しいタイプの便秘薬が次々に現れて、ちょっとした便秘薬ブームが訪れました。
以下に紹介する新薬は、それぞれ働き方が違うので、自分の症状や体質に合った便秘薬を処方してもらうことが大切です。
商品名と特徴をご紹介しますので、しばらく飲んでみて効果を感じなかったり、逆に下痢や悪心などの副作用が現れたら、別の薬に変えてみるなど、病院で相談するときに活用してくださいね。
腸の細胞に働きかけて、便を柔らかくする新しい便秘薬
・アミティーザ(一般名:ルビブロストン)
・リンゼス(一般名:リナクロチド)
胆汁を増やして腸を刺激しつつ便を柔らかくする薬
・グーフィス(一般名:エロビキシバット)
便に水を含ませて柔らかくする薬
・モビコール(一般名:マクロゴール4000)
Q:薬の副作用で便秘になることはある?
A:慢性の便秘症を引き起こす薬はたくさん存在します。
以下は純炭粉末公式専門店のお客様が服用していそうな便秘の副作用がある薬です。
・痛み止め(ロキソニンやイブプロフェンなどのNSAIDs)
・血圧を下げる薬(ニフェジピンやアムロジピンなどのカルシウム拮抗剤)
・利尿剤(ラシックス、フロセミド、ミネブロなど)
・カリウム吸着薬(カリメート、アーガメイト、ケイキサレートなど)
・リン吸着薬(炭酸カルシウム、レナジェル、フォスブロックなど)
・球形吸着炭製剤(クレメジン、球形吸着炭日医工、マイランなど)
・抗不整脈薬(アミオダロン、アンカロンなど)
薬剤性の便秘であれば、原因となる薬の服用を止めれば便秘は解消するはずですが、他の病気との兼ね合いでやめられないことあります。
そんな時には安易に市販の便秘薬を使わずに、病院で適切な便秘薬を処方してもらってください。
まとめ
・便秘を解消することで、腎機能低下を緩やかにすることが期待できます。
・便秘を解消することで、心血管病の死亡リスクを減らすことが期待できます。
・便秘を解消することで、パーキンソン病の発症リスクを減らすことが期待できます。
・eGFRが30未満の腎臓病や高齢の腎臓病では、マグネシウム製剤の服用は控える。
・マグネシウム製剤は飲み合わせに注意が必要(胃薬・骨粗しょう症薬など)。
・刺激性下剤(漢方やビサコジルなど)は漫然と長期服用しない。
・薬剤性の便秘は薬を変えるか、適切な便秘薬を処方してもらう。
- この記事を書いた人
- 純炭社長:樋口正人
株式会社ダステック代表取締役社長。
1985年3月:千葉大学大学院理学研究科生物学専攻 修了
1985年4月:中外製薬株式会社入社。新薬研究所配属腎性貧血治療薬エリスロポエチン(ESA製剤)の創薬に従事。
1998年4月~2001年3月:通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(岡修一先生)技術研修員
1999年4月~2008年3月:筑波大学先端学際領域研究センター(山本雅之教授)客員研究員
2007年4月~2014年3月:金沢医科大学非常勤講師
2007年10月:中外製薬退社
2009年5月:株式会社ダステック設立
2015年5月:純炭粉末の米国特許取得(ADSORPTION CARBON, AND ADSORBENT Patent No.: US 9,034,789 B2)
2015年5月:純炭粉末の日本特許取得(吸着炭及び吸着剤 特許第5765649号)
「出す健康法」で健康寿命を延ばすのが夢!
最近は「腎臓にやさしい純炭社長食堂」のシェフとして社員さんの昼食を調理しています(笑)。