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無機リン(リン酸塩)は腎臓を悪くするのか?若くても危険?

「無機リン(リン酸塩)」は食品添加物として普通に使われていますが、

摂り過ぎた無機リンが「心血管疾患や腎臓病に関係しているかもしれない」ことが報告されています。

Web上では「リンを摂り過ぎることはない!」と断言するブログと

「リンの摂り過ぎは注意!」と警鐘を鳴らす記事の両方があり、情報が錯綜しています。

塩分(ナトリウム)ほどには周知されていない、腎臓病の新しいリスク因子「リン」について

腎臓病の方が顧客に多い、純炭粉末公式専門店がまとめてみました。

まず初めに、リンとは何か?

リン(元素記号はP)は人体に必要なミネラルの一種です。

体内には、500~700gのリンが存在しており、その約85%は骨や歯に含まれています。

また、生物が生きていくためのエネルギー源であるATP(アデノシン3リン酸)にもリンは含まれます。

リンが不足すると骨がもろくなったり、筋力の低下が起こりますが、リンは食品中に多く含まれるので、通常は不足することがありません。

むしろ多く摂りすぎるとカルシウムの吸収を阻害するため注意が必要です。

食品添加物に多くのリン使用されており、インスタント食品や加工食品の利用が多い場合は、知らず知らずのうちにリンを摂り過ぎてしまうので問題視されているのです。

また、肉類もカルシウムに対してリンの割合が非常に高いため、ステーキ三昧の食事を続けるのは考えものです。

最近では厚労省でもリンの摂りすぎを注意喚起しているんですよ。

厚生労働省e-ヘルスネット

Q.有機リンと無機リンの違いは何ですか?

リンは有機リンと無機リンの2種類があります。

有機リンは肉や魚などの動物性たんぱく質豆や穀類などの植物性たんぱく質に含まれています。

無機リンは食品添加物として、インスタント食品や加工食品、コンビニ弁当、菓子等に含まれています。

大きな違いは身体への吸収率です。

①有機リン(吸収率20~60%ほど)

有機リンとはたんぱく質に結合しているリンで、全ての生鮮食品に含まれています。動物性食品の有機リンと植物性食品の有機リンでは吸収率が違っていて、基本的は植物性食品の有機リンの方が吸収率が低いとされています。

吸収率植物性(大豆など)動物性(肉・魚)
有機リン20~40%40~60%
有機リンの吸収率

「植物性たんぱく質の摂取割合が多いほど腎機能低下が少ない」という研究報告がありますが、リンが関係しているかも知れませんね。

②無機リン(吸収率ほぼ100%)

無機リンは食材の保存性を良くする作用や、風味や食感を良くする作用があるため、食品添加物として使用されています。

有機リンとは異なり、ほぼ100%吸収されてしまいます。

この吸収率が良すぎる特徴と、リンは食品表示義務がないのでどれくらいの量を摂取しているか分からないこと無期リンの問題点なのです。

吸収率吸収率
無機リンほぼ100%
無機リンの吸収率

この無機リンの摂り過ぎを注意して欲しいのです。

腎臓病と血清リン濃度の関係

慢性腎臓病(CKD)では

たんぱく質摂取量が減少してるにもかかわらず、血清リン濃度が高い人の生存率が低く、

たんぱく質摂取量が増加していても、血清リン濃度が減少している場合には生存率が高い

ことが報告されています。

リンを制限するためにたんぱく質制限をするのは間違いであり、

たんぱく質はしっかり摂ることで必要最低限なリンを補給し、

吸収率が良すぎる余計な無機リンを制限する食事が理想です!

参考:腎臓ネット

Q:どうしてリンの摂り過ぎが問題になるのか

リンの問題点、4つの理由

理由①食べすぎたリンは血管を石灰化して動脈硬化を起こすから。
理由②吸収率が高い無機リンの摂取で、血清リン濃度が急激に上がる(リンスパイク)から。
理由③無機リンは食品を美味しく安全に流通のために多用されていて避けにくいから。
理由④血清リン濃度が正常値でも血管を傷つけていて、害が発見しにくいから。

血管の石灰化とは血管にリン酸カルシウムが沈着して、血管が骨のように固く折れやすくなった状態です。悪玉コレステロールによる動脈硬化とは違うタイプの血管障害です。

リンの摂り過ぎが血管を石灰化=血管を固くし脳卒中や動脈硬化や高血圧、腎臓病などを促進する恐れがあることが報告されてきました。

長らく、リンは血清リン濃度が正常であれば問題ない、気にするのは透析中の患者さんだけとされてきました。

しかしながら、最近の研究では

  1. たった1回の食事であっても、多すぎるリンは血管に負担をかける
  2. 血清リン濃度が正常でも、尿中にリンを排出する際に腎臓を傷つける

ことが分かってきました。

参考:Medipress

参考:日本国際医学協会誌

Q:現代人はリンをどれくらい摂っていますか?

日本人のリン摂取量を調べてみたところ、有機リンに関しては資料が見つかりました。

※注意!以下の表には無機リンの値は入っていません。

厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)より

有機リンの実際の摂取量

令和元年:国民健康・栄養調査より

年齢男性:
目安量
男性:
実際の摂取量
女性:
目安量
女性:
実際の摂取量
耐容上限
12~14歳  1200  1128  1000  1014  なし
15~17歳  1200  1066  900  985  なし
18~64歳  1000  1052  800  917  3000
65~75歳  1000  1127  800  1012  3000
75歳以上  1000  1157  800  1040  3000
リンの実際の摂取量(㎎/日)

※目安量とは:おおむね健康な状態を維持するのに必要な量

※耐容上限量とは:健康被害が起きないであろう最大量(見直される可能性あり)

※注意:この表は食材に含まれる有機リンの量から計算された摂取量です。食品添加物の無機リンは加算されていないため、実際の摂取量はこの値よりもはるかに多いと考えられています。

Q:無機リンはどれくらい摂っていますか?

では、警鐘を鳴らしている「無機リン」はどれくらい摂取しているのでしょうか。

食品加工のノウハウに該当するため情報公開されておらず、食品中の無機リンを正確に把握・計測することは困難です。

それでもいくつかの論文からの情報をご紹介します。

①アメリカの研究『一般的なアメリカ人の食事には1000 ㎎/日の「無機リン」が含まれている。』
②日本のコンビニ弁当の研究から推測すると『コンビニ弁当一つ辺り100~200 ㎎/食の「無機リン」が含まれている。
③パスタソースやレトルトカレーには1食当たり100 ㎎/食の「無機リン」が含まれている。

上記から惣菜や加工食品・弁当をメインに食事をする場合、600~900 ㎎/日程度の無機リンを摂取していると言えそうです。

参考:コンビニエンスストア弁当に含まれるリンの計算値と実測値の比較

参考:MSDマニュアル/リン濃度異常の概要

参考:若年者における24時間蓄尿法によるリン接種量の把握及びリン接種量に影響を及ぼす食品構成の評価

参考:加工食品における添加無機リン及び総リンの定量

参考:青・壮年期の食環境整備に向けた無機リン接種管理に関する研究

参考:市販ソーセージ類のリン含有量の実態について

参考:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013

無機リンに関するよくある質問

Q:リン耐容上限までであれば摂取しても健康に害はありませんか?

耐容上限以内の1200 mg/日であっても、血管を傷つけ動脈硬化を促進させてしまう恐れがあるという報告があります。

この論文で注目すべき点は

①対象者が22~28歳と若くて健康な男性でも血管障害が示唆させたこと。
②一回だけの高リン食でも血管内皮機能は損なわれたということ。

参考:Dietary Phosphorus Acutely Impairs Endothelial Function

今後の研究でeGFRの低下速度とリン摂取量相関が発見されるかもしれません。

閑話:そもそも3000 mg/日の耐容上限は本当なのか?吸収率を考量するとどうなるか?

1日3000 mgまでという耐容上限が吸収率を考慮していないとすれば、有機リンの吸収率が40%の場合、血液中に取り込まれても大丈夫なリンの量は1200 ㎎/日になります。

1日の有機リン摂取平均である1100 ㎎の40%が吸収されるので、440 ㎎/日がたんぱく質からの取り込まれるリン。

ここに吸収率100%とした無機リン600~900mg/日を加えると

リンの1日摂取量は1040㎎~1340mg/日となり、耐容上限を超えてしまうのです。

Q:血清リン濃度が正常範囲内であれば、無機リンを気にせず食べても大丈夫ですか?

脅かすようで申し訳ないのですが、血液検査でリンが正常範囲内だったとしても、慢性腎臓病の方や腎機能が落ちやすい方は無機リンを多く含む食品(ハムやソーセージなどの加工肉や練り物など)は控えた方が無難です。

なぜなら…

血清リン濃度とFGF23,PTHがeGFRの度の値から上昇を始めるかを表した図

このグラフで分かるように、血清リン濃度が上がってくるのはeGFRがかなり低下した(腎機能が相当低下した)段階です。

リンが上がってくる前にFGF23とPTHというホルモンが上昇していますが、これらのホルモンは過剰なリンを尿の中に捨てる働きを担っているのです。

すなわち、リンを沢山食べるとまず最初にFGF23が働いて血液中のリンを尿中に捨てて、血中リン濃度を正常に保ってくれます。

FGF23だけではリンを捨てきれなくなるとPTHが助っ人として働いて、血中リン濃度が上がらないように頑張りますが、両者が疲れてしまい余分なリンを捨てきれなくなってはじめて、血中リン濃度が上がってくるのです(リン吸着剤が処方されるのはこの段階)。

要するに、血中リン濃度が上がっていなくても、腎臓や尿細管は高濃度のリンに晒されて、障害を受けている可能性が高いのです。

更に、吸収率の高い無機リンは腎臓以外の血管にも負担をかけます。

「食後高血糖」とか「血糖値スパイク」という言葉を聞いたことはありますか?甘いものや炭水化物を食べた直後に血糖値が急上昇して、眠気やだるさを感じたり、高血糖によって血管が障害を受けることが知られています。

実は、リンでも「食後高リン血症」や「リンスパイク」が起こり、全身の血管に負担をかけている可能性があるのです。

一過性のリン上昇による血管障害と尿中に排泄されるリンによる腎臓障害が注目されています。

摂り過ぎたリンを正常値に戻すために、FGF23やPTHが働いて、余計なリンを尿中に排泄します。

尿を作るのは腎臓であり、腎臓は血管の塊なので、原尿中のリンは腎臓の組織を傷つけてしまうのです。

若いころからの過剰なリン(特に無機リン)を気にせず食べていると、将来的に腎機能が低下してしまう恐れが・・・

閑話:【高リン食のもう一つの弊害】食べる量が減ってしまう

高リン食と低リン食を比較した研究で、高リン食の方が食べる量が少なかったという報告があります。

つまり高リン食はすぐにお腹がいっぱいになってしまったり、食欲が低下してしまうということです。

ただでさえ、食べる量が減って、サルコペニアや体重減少に陥りやすい高齢者は、無機リンが多い加工肉は避けて、魚介類や肉、大豆などからたんぱく質を食べるように心がけて欲しいです。

今日からできるリン対策

①加工食品を避けて自炊するのが一番なのですが・・・まずは加工食品より生鮮品。

リン対策の基本は食事内容の見直しです。「無機リン」は食品工場で使われるものですので、自分で食材を購入し調理することで「無機リン」は減らすことができます。

とは言うものの、毎日毎食自炊するのは大変です。

そこで、1日1食は自炊にしてみてはいかがでしょう。

時間がある時に作り置きして、小分けした料理を冷蔵庫に入れておくと便利です。

毎日毎食コンビニ弁当という食生活を見直すだけでも大幅に減らすことが出来ると思います。

無機リンの種類と用途

品目用途(記載名)主に使用される食品
リン酸水素カルシウム
リン酸二水素カルシウム
栄養強化剤、膨張剤米、パン、みそ、漬物、シリアル
リン酸二水素カリウム
リン酸二水素ナトリウム
かんすい、結着剤、乳化剤、膨張剤、pH調整剤ラーメン、食肉製品、練り物、プロセスチーズ、ビスケット
ポリリン酸カリウム
ポリリン酸ナトリウム
メタリン酸カリウム
メタリン酸ナトリウム
乳化剤、結着剤、かんすい、膨張剤練り物、食肉製品、清涼飲料水、果実飲料、果実缶詰、野菜ジュース
ピロリン酸二水素カルシウム栄養強化剤、膨張剤、乳化剤パン、菓子、プロセスチーズ
無機リンの種類と用途

無機リン』は食品を美味しく大量生産し、安全に流通させるため工場で使われる添加物です。

なので入っているものは

コンビニ弁当加工食品

セントラルキッチンを用いているチェーンの飲食店の食事

に多く含まれていると考えて良いです。

また見落としがちなのが、素材につかわれていること。

ソーセージやハム、魚肉ソーセージやハンバーグ、麺、チーズなど形を変えて多く含まれています。

無機リンが多く使われている食品を把握し、毎日毎食ではなく、週一など嗜好品程度に抑えることが重要です。

②牛乳や清涼飲料水、野菜ジュースで水分補給をしない。

水分補給の際、牛乳やジュースなど清涼飲料水、少しでも健康にいいものをと野菜ジュースを飲む方がいらっしゃいます。

結論、こまめな水分補給にはやっぱりお茶や水が最適です。

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純炭社長:樋口正人 代表取締役社長CEO
中外製薬で腎臓病治療薬(エリスロポエチン)の創薬研究に従事。金沢医科大学医学部腎臓内科非常勤講師を経て、2009年株式会社ダステックを創業。 長期服用を前提とした安心・安全な食用炭「純炭粉末」の研究開発や自社製造を続ける傍ら、腎臓病の知識・腎臓内科の受診のすすめ、腎臓をeGFRで管理することの重要性など、慢性腎臓病患者さんに対する情報発信、啓蒙活動に取り組んでいる。

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この記事を書いた人
純炭社長:樋口正人

株式会社ダステック代表取締役社長。
1985年3月:千葉大学大学院理学研究科生物学専攻 修了
1985年4月:中外製薬株式会社入社。新薬研究所配属腎性貧血治療薬エリスロポエチン(ESA製剤)の創薬に従事。
1998年4月~2001年3月:通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(岡修一先生)技術研修員
1999年4月~2008年3月:筑波大学先端学際領域研究センター(山本雅之教授)客員研究員
2007年4月~2014年3月:金沢医科大学非常勤講師
2007年10月:中外製薬退社
2009年5月:株式会社ダステック設立
2015年5月:純炭粉末の米国特許取得(ADSORPTION CARBON, AND ADSORBENT Patent No.: US 9,034,789 B2)
2015年5月:純炭粉末の日本特許取得(吸着炭及び吸着剤 特許第5765649号)

「出す健康法」で健康寿命を延ばすのが夢!
最近は「腎臓にやさしい純炭社長食堂」のシェフとして社員さんの昼食を調理しています(笑)。

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