2024年版:ブタの腎臓の異種移植技術で腎臓病が治る日が来る?
目次
腎臓病が治る日が来るか!?
こんにちは純炭社長の樋口です。
現在産休中のゆっきーが最初にブタ腎臓移植を紹介したのが、2023年10月。
そして1年後の2024年10月現在、日本においてもブタ腎臓を使った腎移植が現実味をおびてきました。
今回のブログでは最新情報を追記しつつ、「透析が必要なくなる日」を期待したいと思います。
こんにちは、ゆっきーです。先日の日経新聞(2023年10月27日朝刊)に、慢性腎臓病の方への朗報が載っていましたのでご紹介します。
記事によると、ハーバード大学と臓器移植向けの豚を開発するアメリカのバイオ企業(イージェネシス)は、
移植用に開発されたブタの腎臓をサルに移植したところ、最長で758日間生存させることに成功した
と英科学誌ネイチャーに発表しました。
今後、ブタの腎臓をヒトに移植する臨床試験がすすめば、透析に入ることなく腎臓病が治る日が来るかもしれません。また、すでに透析を行っている方も透析から離脱できることになります!
慢性腎臓病の現状の選択肢は
腎臓のろ過機能が完全に機能しなくなった場合、現状では以下の治療法の何れかを選択しなければ生きていけません。
1)血液透析 | 週3回程通院し、3~5時間かけてダイアライザーという透析器に血液を循環させ透析をする方法です。 |
2)腹膜透析(おうち透析と呼ぶことも) | 自分の体の「腹膜」を利用して血液をきれいにする方法です。 医療機関に行かずに、自宅や会社にいながら透析を行う事ができます。 |
3)腎移植 | 他の人の腎臓をもらって移植する方法。 血縁者や配偶者から提供を受ける「生体腎移植」と、脳死や心臓死などの人から提供を受ける「献腎移植」があります。 |
従来の選択肢の特徴
1)の血液透析は最もポピュラーな治療法です。
週に3回透析センターに通って1回3時間~5時間程の透析を受けますが、通院の負担や時間の制約が大きく、一般的なサラリーマンは仕事終わりに夜間透析を受ける場合もあります。
本来は老廃物が沢山抜ける長時間透析が望ましいので、自宅に透析設備を設置する在宅血液透析も広まりつつあります。
2)腹膜透析は、自分の腹膜を利用して24時間ゆっくりと透析をすることができます。
医療機関にかからなくても、寝ている間や仕事中に透析できることが利点ですが、透析液が入ったバックを自分で交換する手間や感染リスクがあります。また、腹膜透析を長期間続けると徐々に腹膜機能が低下して血液透析に移行する場合もあります。
3)腎移植は透析から離脱できる唯一の方法です。しかし、他の人から腎臓をもらわなければならないので(特に日本では)ドナーが少ないという問題点があります。そこで、ブタを使った腎移植やiPS細胞を使った腎再生が研究されているわけです。
第4の選択肢になるか?
今回ご紹介した「ブタの腎臓を移植する」技術がヒトでも実用化されれば。血液透析や腹膜透析といった血液を浄化する手間が不要となります。
また、ヒト同士の腎移植では、”ドナーが少ない”という問題点を克服することができます。
ちなみに、”なぜブタ?”という点に関しては、①腎臓や心臓などの臓器がヒトの臓器と大きさが似ている、②大規模飼育が容易、といった理由があり、ドナーに最適な動物だと考えられているそうですよ。
実際に脳死患者へ豚の腎臓を移植した例も
2021年10月、アメリカの外科医チームがブタの腎臓をヒトに移植することに成功したというニュースもあります。
(参考:ブタの腎臓、ヒトに試験的に移植 米外科医チーム・BBCニュース)
※移植を受けた人は脳死状態で特例として異種移植が認められたようです。
2時間にわたる移植手術の後、正常に機能するか詳しく調べられましたが、拒絶反応などは起きず、ヒトの腎臓を移植したのと同様に機能していたそうです。
進む異種移植研究
このような異種移植は新しいことではなく、心臓病の分野では牛や豚からとった『心臓弁』が、多数ヒトへ移植されています。
(参考:QOLの向上に貢献!ブタやウシから作られる「生体弁」とは?)
また、アメリカでは、ブタの心臓をヒトに移植して(一時的ではありますが)フットボールを観戦できるほどに回復するなどの成果を上げています。
(参考:世界初の豚心臓移植 BBCニュース)
異種移植には、様々な課題は残っていますが(動物福祉など倫理上の問題、ブタ特有の感染症の問題)、メリットも大きく今後の技術革新が期待されています。
2024年3月、ついにヒトへのブタ腎臓移植が成功
脳死状態ではない患者へのブタ腎臓移植が、世界で初めて米国マサチューセッツ総合病院で行われました(執刀医は日本人)。
移植後のブタ腎臓は順調に機能して、透析を行う必要がなくなりましたが、不幸なことに2か月後に患者さんはお亡くなりになりました。
しかし、病院側は死亡の原因は「移植の結果ではない」としており、今後も同様の移植が続けられると思います。
日本でも臓器移植用のブタが誕生、国内初の移植へ!
2024年2月、明治大学発のベンチャー企業「ポル・メド・テック」は、アメリカのバイオ企業が開発した臓器移植用のブタが国内で初めて生まれたと発表しました。
(参考:ヒトへの臓器移植を想定した特殊なブタ 国内で初めて誕生 NHKニュース)
更に、2024年10月、東京慈恵会医科大学などのグループが、重い腎臓病の胎児にブタ腎臓を移植する計画を発表しました。
(参考:重い腎臓病の胎児にブタの腎臓移植 国内初の手術 計画書提出へ NHKニュース)
おわりに
腎臓は体内の老廃物をろ過して体外に排出する臓器です。
ろ過機能が失われて老廃物が体にたまり続けると、残念ながら生きていくことはできません。
日本に血液透析のための人工腎臓装置が導入されたのは1967年のこと。
つい60年前までは、腎臓病は死を待つだけの病だったのです。
しかし今は違います。血液透析を受けながら何十年も仕事を続けている方も珍しくありませんし、今回ご紹介した異種移植も遠くない未来に実現することでしょう。
とは言うものの、長時間透析器につながれたり、体にメスを入れる治療法は受けないに越したことはありません。
慢性腎臓病と診断されたら、なるべく腎臓の負担を減らす生活を心掛けて、きよらを飲みながら、老廃物から体を守ってくださいね。
- この記事を書いた人
- ゆっきー
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