腸内環境とアレルギー、Th17という新しいヘルパーT細胞のお話
ヨーグルトなどで腸内環境を整えると、
・アトピー性皮膚炎が軽くなった
・花粉症が治まった
という話をよく耳にします。
もちろん、個人的な感想で、感じ方は人それぞれなのですが、「なぜアレルギー症状が治まったと感じたのか」を考察し、語ってみたいと思います。
人間は細菌やウイルスから身を守るために高度な免疫システムを進化させてきました。その全容は今の科学をもってしても謎が多いところですが、アレルギーや喘息は
・Th1(ティーエイチワン)細胞
・Th2(ティーエイチツー)細胞
という2種類のヘルパーT細胞のバランスが崩れることによって引き起こされると考えられていました。
ところが、Th17という新しいヘルパーT細胞が注目されています。
Th17細胞は慢性関節リウマチや潰瘍性大腸炎といった重篤な自己免疫疾患を引き起こす悪玉T細胞です。このTh17細胞がアトピー性皮膚炎患者の血液中や皮膚炎を起こしている場所に沢山集まっていることが京都大学皮膚科によって報告されました。
Th17細胞はIL-17(インターロイキン17)を放出し、これを受け取った表皮角質細胞がIL-8(インターロイキン8)やケミカルメディエーターと呼ばれる炎症惹起物質を放出して痒みや炎症を引き起こすという訳です。
したがって、Th17細胞の機能を抑制したり、Th17細胞ができないようにしてしまえば自己免疫疾患やアレルギーが抑えられるはずです。
実際のところ、慶応大学の吉村先生はTh17細胞産生に関わるEomes(エオメス)蛋白を発見し、これを使ってTh17細胞のでき方を調節しようと試みています。
また、大手製薬会社である協和発酵キリンは、Th17細胞が作るIL-17の機能を抑える完全ヒト抗体を医薬品にしようと研究に励んでいます。
ところが、Nature(2011年7月28日号Vol.475 No.7357)に、悪玉Th17細胞が小腸で再教育を受けて、過剰な免疫反応を抑える抑制性のT細胞に変化することが報告されたのです。
ここからは私の想像の世界ですが、現代人(特に先進国)に花粉症やアトピー性皮膚炎が多いのは、食品中に含まれる保存料や発色剤などで、小腸の腸内細菌フローラに乱れが生じ、悪玉Th17細胞を腸に呼び寄せられなくなっているのではないか?その結果、炎症反応がダラダラと続いてしまうのでは?
弊社が開発したダイエタリーカーボンは、ソルビン酸などの保存料や、亜硝酸ナトリウムのような発色剤を吸着するだけでなく、腸内環境を酸性化し、善玉菌を増やすことが確認されています。
今後はTh17細胞との関係を調べることで、ダイエタリーカーボンの作用を解明できるのではないか?との作業仮説のもとに研究を進めて行きます。
- この記事を書いた人
- 純炭社長:樋口正人
株式会社ダステック代表取締役社長。
1985年3月:千葉大学大学院理学研究科生物学専攻 修了
1985年4月:中外製薬株式会社入社。新薬研究所配属腎性貧血治療薬エリスロポエチン(ESA製剤)の創薬に従事。
1998年4月~2001年3月:通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(岡修一先生)技術研修員
1999年4月~2008年3月:筑波大学先端学際領域研究センター(山本雅之教授)客員研究員
2007年4月~2014年3月:金沢医科大学非常勤講師
2007年10月:中外製薬退社
2009年5月:株式会社ダステック設立
2015年5月:純炭粉末の米国特許取得(ADSORPTION CARBON, AND ADSORBENT Patent No.: US 9,034,789 B2)
2015年5月:純炭粉末の日本特許取得(吸着炭及び吸着剤 特許第5765649号)
「出す健康法」で健康寿命を延ばすのが夢!
最近は「腎臓にやさしい純炭社長食堂」のシェフとして社員さんの昼食を調理しています(笑)。