慢性腎臓病(CKD)の人は運動をしてもいいの?腎機能を守るスポーツの秋のススメ
目次
秋といえば、何にチャレンジしたいですか?
すっかり日も短くなり、肌寒い季節になりました。
読書の秋、食欲の秋、芸術の秋・・・色々と意欲がわいてくるのではないでしょうか。
そこで、今月のきよら通信を読んだ人はぜひ“スポーツの秋”を意識してみてください。
爽やかな秋晴れの中、軽いウオーキングなどに取り組めれば、消費カロリー以上に健康に、腎臓に、良い効果がたくさんありますよ。
あなたは一日何歩歩いていますか?
腎臓病がそのまま進行してしまうと、やがて透析になってしまう日が来るかもしれません。
しかし、透析導入までの間に出来ることに取り組めば、透析を先延ばしに出来る可能性が十分あります。
食事や睡眠を気を付けることも腎臓病にとっては大切ですが、腎臓病の進行を抑制するには『適度な運動』にも取り組みたいものです。
ぜひ、今月号のきよら通信をよんで、新しい生活習慣を取り入れてみて下さいね。
末期の腎臓病の死因は…?
実は、末期の腎臓病の患者さんは、腎臓病だけが原因でなくなるよりも、血管の疾患で亡くなる人の方がはるかに多いのです。
血管の疾患の主な原因は、“運動不足”です。
一昔前は、腎臓病になると“体に無理をさせず安静に”と指導されていましたが、これは間違いだとアメリカの透析患者の臨床ガイドライン(2005 年版)にも明示されています。
また、運動不足からくる生活習慣病(高血圧、肥満、糖尿病、動脈硬化など)が悪化することで、腎機能に負担がかかるため、腎臓病の進行むという悪循環に陥ってしまう可能性があります。
※但し、激しいストレスを伴うような運動(後述)や過労は腎臓病には厳禁です!
30歳を過ぎると毎年筋肉が減少する
とくに普段運動をしない人は平均で、毎年1%ずつ筋肉量が低下していきます。
仮に、1 日中トイレと食事以外は横になって過ごすと、たった 1 日で1~2歳も体が老化するという試算もあります。
透析に入りたくないと、色々と我慢の生活をしていても、透析の前に別の病気で倒れたり、筋肉不足で寝たきりになってしまったら、悲しいですよね。
1日中座りっぱなしは要注意
運動不足によるデメリットはこんなものがあります。
実は、運動の習慣がないことは、様々な病気の原因となるタバコの害悪に匹敵するほどだ、と言われているんです。
1)腎臓病の原疾患の悪化 | 高血圧・糖尿病・脂質異常・メタボが悪化するとさらに腎臓に負担がかかります。 |
2)血流量の低下で腎機能のさらなる低下 | 運動不足で筋肉を動かさないと、全身の血流量が低下して、腎機能がさらに落ちてしまいます。 |
3)体脂肪が増えると慢性炎症の原因に | 脂肪細胞から分泌される TNF-αというホルモンが原因で、全身に慢性的な炎症が引き起こされます。 |
一見、腎臓病には関係なさそうな『運動不足』ですが、このように挙げてみると、体を動かさない害悪が沢山あることが分かります。
慢性腎臓病の進行を抑える運動量
まずは、2~3分程度の軽い散歩を数回に分けて取り組むところから始めてみましょう。
できるだけ歩幅は広くし、最終的には 20 分程度ウオーキングを週に 3 回程度出来るとよいですね。
※但し、息切れをしたり汗だくになったり、筋肉痛を招くような無理は禁物です!
強い運動は腎臓の細胞が酸欠になり腎機能が低下します。
また、ウオーキングの際はこまめな水分補給も忘れずにしましょう。
ウオーキングが効率的な理由
ウオーキングをすると全身の筋肉の 7 割を占める下半身が鍛えられます。
そうすると、足腰の筋肉がポンプの役割を果たし、全身の血行が良くなり、腎臓にもきちんと酸素や栄養が行き渡るようになります。
また、運動によりストレス解消や、血流量が増えることで、脳が活性化し認知症の予防などうれしい効果がいっぱいです。
医療機関で『腎臓リハビリ』の指導も受けられる
腎臓病の運動療法の第一人者、東北大学の上月正博教授が詳しい本を出しています。
過去にはNHK の健康チャンネルでもでも取り上げられた有名な先生です。
ウオーキング以外にも、効率的な筋トレの方法の取り入れ方などが書かれていますので、ぜひ書店等で探して読んでみてくださいね。
(著書名:腎臓病は運動でよくなる・マキノ出版)
腎臓病リハビリテーションの病院紹介
腎臓病リハビリテーションを行っている病院はこちらから検索できます。
専門の医師に腎臓リハビリの指導をしてもらいたい、という場合はこちらから検索してみてくださいね。
腎臓病リハビリテーション学会の HPへクセスし、施設会員というページから、最寄りの病院一覧を検索いただけます。
適度な運動で腎臓病の進行を抑えよう
運動すると気分がすっきりし、憂鬱な気分が軽減されます。
実際に運動後は脳のストレス反応が減り、不安を感じにくくなるという研究結果もあるのです。
いつもきよら通信をご覧いただいている方なら、”ストレスや不安な気持ち自体が腎臓に悪い”とお気づきのことと思います。
秋晴れで気持ちの良い日は、外の空気を吸いに、ウオーキングに出かけてみてはいかがでしょうか。
(2019.10月号として配布したきよら通信です)
- この記事を書いた人
- ゆっきー
美味しいものを食べることと、山登りが趣味の”ゆっきー”です。
きよら通信やブログはゆっきーがお届けしています。
また、お電話で商品をご注文のお客様は”ゆっきー”が電話対応させていただくことも。お客様に安心してご購入いただくことを信条としていますので、ご相談から世間話までお気軽にどうぞ♪いつも元気と笑顔がモットーです( *´艸`)
「慢性腎臓病(CKD)の人は運動をしてもいいの?腎機能を守るスポーツの秋のススメ」への6 件のフィードバック
[…] 10月号では“スポーツの秋”を意識しましょうというお話でした。運動の習慣がない人は、腎機能悪化による弊害よりも先に、心不全や心筋梗塞などの血管の病気で倒れてしまう人が多く、“腎臓病の人は安静にしていなさい”というのは一昔前の指導です。 […]
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