慢性腎臓病(CKD)の疑問を解決!たんぱく質の摂りかたは?積極的に食べるべき食品は?腎臓に負担の少ないお酒は?

※食べる純炭きよら通信vol.36(2022.6月号)に加筆修正してお届けしております。
今月は迷いがちな“腎臓病とお食事のお悩み”特集です。
目次
Q.たんぱく質の摂りかたがよくわかりません。
腎臓に悪いから食べすぎるなと言われましたが、高齢者は避けすぎも良くないとも聞きます。どうしたらよいでしょうか。

(回答)
2024年に国内で透析を開始した患者の約38%は、糖尿病が原因の腎臓病でした。
ところが、米国糖尿病学会は2013年の時点で、「たんぱく質制限食は腎機能にも心血管疾患にも血糖にも無効であり、糖尿病性腎臓病患者でも一般人と同様のたんぱく質摂取でよい」としています。
実は今、「低たんぱく食が本当に腎臓に良いのか?」という問題が世界を揺るがしており、科学的根拠をもって「1日〇〇gが良い」とは言えないのが実情なのです。
日本でもたんぱく質不足による高齢者のサルコペニアが問題視されていて、日本腎臓学会は「一律的なたんぱく質制限食の指導は控えるように」提言しています。
従来の「クレアチニンが〇〇(eGFRが〇〇)だから、たんぱく質は1日●●グラムに控えて」という食事指導はNGで、「患者さんの筋肉量や運動能力などを総合的に診て指導する!」が正解なのです。
そこで今回は、たんぱく質の摂り方のポイントをご紹介します。
ポイント①高齢腎臓病患者ではたんぱく摂取量が少ないほど死亡リスクが高い。

過度なたんぱく質制限は、透析になるより先に、寝たきり状態や栄養不足で健康を損なう心配があります。
「小太りの方が長生きする」のは医学的にも証明されており、逆にBMIが20以下の痩せすぎは良くありません。
筋力や筋肉量の低下、体重減少を感じたらたんぱく質摂取量を見直してください。
ポイント②過度なたんぱく質制限はむしろ有害かも

eGFR30未満であっても、”体重1㎏あたり0.8g/1日”以下の低たんぱく食に意味はありません。
むしろ、サルコペニア(筋肉や筋力不足によって健康を損なう状態)予防には、十分なたんぱく質摂取量が大切です。
サルコペニアを予防するためには 標準体重1㎏あたり1.0g/1日以上 のたんぱく質量が目安です。
ポイント③タンパク質は朝昼晩の三食まんべんなく、色々な食材から摂る!

朝食はパンとコーヒー、昼食は麺類といった軽いメニューで済ませて、夕食だけ肉や魚をしっかり食べる…という食生活は腎臓にも筋肉にも良くありません。
一回の食事で消化吸収できるたんぱく質量には限りがあります。
夕食でまとめて食べても血や肉にならないばかりか、消化しきれなかったたんぱく質が大腸に運ばれて、悪玉菌の餌となり、腎臓に負担をかける尿毒素が発生してしまうのです。
筋肉を増やすため(減らさないため)にも、腎臓への負担を減らすためにも、朝・昼・晩ともに、まんべんなくたんぱく質を摂ることがとても大切です。
下記の表を参考にして、朝昼晩とすべてのメニューにたんぱく質を加えて下さい。

ポイント④24時間畜尿検査を受けてみる

1日分の尿を全てためて分析することで、1日に食べた食事中のたんぱく質量を知ることができます。
ちゃんとたんぱく質を摂れているのかな?と心配でしたら、24時間畜尿検査を受けてみてはいかがでしょう。
この検査を受けることで、1日の塩分摂取量や1日の尿蛋白排出量も知ることができ、血液検査ではわからない正確な腎機能を把握できるメリットもあります。
Q.腎臓病で“積極的に摂るべき食品/避ける食品”を一覧にしてほしい

(回答)
万人に共通する一覧表を作るのは難しいです。
なぜなら、腎臓病には、糖尿病・高血圧・炎症・・・といった様々な原因があり、原因ごとに避けるべき食事の内容が違うからです。
また、腎臓病の進行度合いによっては、カリウムやリンの摂取制限も必要となります。
ですので、腎臓病に適した食品は個々人で異なるのです。
まずは、自分の原疾患(腎臓が悪くなった原因の病気)と血液検査のカリウム・無機リンの値を知ってから、それを意識した食品の選び方をしていきましょう。
糖尿病が原因の腎臓病

糖尿病が原因で腎機能が落ちている人は、血糖値が上がりにくい食事を心がけ、血糖値が急上昇する食品を避けた方が無難です。
なぜなら、糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、腎臓の血管がダメージを受けてしまうからです。
血糖値の上がり方を緩やかにするため、糖質(ご飯やパン、麺類など)を控えめにして、血糖値の上昇を緩やかにする食物繊維(※)を多めに摂ると良いでしょう。
(※)雑穀、キノコ類、海藻類、豆類など
一方、清涼飲料水に含まれる異性化糖(果糖ブドウ糖液糖などと表示されています)は血糖値が急上昇してしまうので、成分表示を確認するようにしましょう。
また、果物に豊富な果物は血糖値を上げません(※)が、腎臓に負担をかけるAGE(糖化物質)を作りやすいので、食べすぎには要注意です。
※血糖値測定器では血液中の果糖を検出できないため、血糖値が上がっていないように見えるだけなのでご注意ください。
高血圧が原因の腎臓病

血圧が高い人は、腎臓の血管に高い圧力が加わり続けることで、腎臓がダメージを受けている状態です。
塩分(ナトリウム)を控えて、カリウム制限の指導がなければ多めに生野菜を摂ると良いでしょう。
カリウムは余分なナトリウムを尿中に捨てる働きがあります。
炎症が原因の腎臓病

IgAのような抗体が腎臓内に沈着して炎症を引き起こし、腎臓がダメージを受けている状態です。
炎症を悪化させるオメガ6脂肪酸を控えて、炎症を鎮める働きがあるオメガ3脂肪酸(※)を摂ると良いでしょう。
(※)亜麻仁油、えごま油、魚の油(EPA・DHA)、ナッツなど。但し、ワーファリンなど血液サラサラの薬を飲んでいる場合は、オメガ3脂肪酸で出血しやすくなることがあるので、医師にご相談ください。
原因に関わらず摂りたい食品

どの腎臓病でも、共通して摂りたい食品があります。
| 腸内環境に良い食品 | 多種多様な食物繊維、発酵食品、乳酸菌、酪酸菌など |
| オメガ3が多い食品(注) | 亜麻仁油、えごま油、EPA、DHAなど |
注:ワーファリンなど血液サラサラの薬を飲んでいる場合は、オメガ3脂肪酸で出血しやすくなることがあるので、医師にご相談ください。
原因に関わらず避けたい食品

以下はどの腎臓病の人でも出来るだけ避けた方が無難な食品です。
| AGEの多い食品 | 高温調理の揚げ物、電子レンジ調理 |
| 添加物の多い食品 | 無機リンが多い加工肉(ハム、ソーセージ)や練り物(ちくわ)など |
| 血糖値が上がりやすい食品 | 果糖ブドウ糖液糖、砂糖など |
| 炎症の原因となる食品 | オメガ6が多いサラダ油、トランス脂肪酸が多いマーガリンなど |
簡単に良し悪しを分けられない

全ての食品を善悪に二分することは不可能です。
「オメガ3が豊富な青魚が健康に良い」と聞いて、毎日サバ缶を食べていたら、塩分過多で血圧が上がってしまった…というお客様がいらっしゃいましたが、本末転倒です。
上手に透析を遠ざけるコツは、神経質にならずに、様々な種類の食材を少しずつ取り入れ、食材の味をゆっくり味わって、食事を楽しむことに尽きると思います。
Q.味のない水を2L飲むのが辛い。良い方法はありませんか?
(回答)
「水道水やミネラルウォーターが苦手」という場合、様々な原因があるようです。
子供の頃から水を飲む習慣がない場合

清涼飲料水やスポーツドリンクで水分を補給していると水が苦手になりがち。
そんな時は、麦茶やルイボスティー(ノンカフェインのお茶)、ミントやレモンを浮かべたフレーバーウォーターはいかがでしょうか。
だんだん薄めていって、水に近い状態で飲めるようになるといいですね。
味覚障害や栄養障害がある場合(急に水がまずく感じるようになった場合)

体内の亜鉛が不足していると、味覚障害をおこし「水がまずい」と感じてしまうことがあるそうです。
また、胃に障害があると水で胃が痛くなることも。
亜鉛が豊富に含まれている牡蠣や牛肉などを加えたバランスの良い食生活を心掛けましょう。
水の質が問題の場合

日本は世界でもまれにみる水道水が飲める素晴らしい国です。
しかし、地域や水道設備によって味わいに差がでてしまうことも。
汲み置きや煮沸をして塩素を減らしたり、浄水器を利用してみましょう。
Q.腎臓に負担の少ないお酒はありませんか?

(回答)
お酒の種類にかかわらず適量(※1日アルコール量で20gまで)であれば大丈夫と言われています。
お酒を選ぶときは、着色料や甘味料などの添加物の有無、お酒に強いかどうかの体質、おつまみのメニューなどを考えて選ぶのが大切だと思います。
| ビール(5%) | 500ml |
| 日本酒 | 1合(180ml) |
| 焼酎(25°) | 100ml |
| ワイン | 200ml |
| チューハイ(7%) | 350ml |
ちなみに、ゆっきーは人工甘味料や着色料が使われていない缶チューハイを選ぶようにしています。
また、糖尿病家系の純炭社長は、血糖値が上がりやすい日本酒やビール、ワインに注意して、おつまみも血糖値が上がりにくいメニューを選んでいるようですよ。
ちなみに、鹿児島大学の研究では、芋焼酎を食中に飲むと、他のお酒より食後の血糖値の上昇を抑えるという事が分かっています。
甘い味付けの豪快な料理が多い鹿児島ですが、糖尿病での死者が少ないのは(都道府県ランキングで6番目)芋焼酎の健康効果かも知れませんね。
参考文献:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018(日本腎臓学会)
(きよら通信2022.6月号として配布した内容に加筆修正しました)
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- この記事を書いた人
- ゆっきー
いつまでも、生き生きと元気で暮らすには『心と体』双方のケアが欠かせません。
最新の健康情報や論文情報に目を光らせ、様々な角度から腎臓病に役立つ『きよら通信』として編集し、お届けいたします。
長年不眠症、腰痛持ち、食べるの大好きな万年ダイエッター(糖質制限ダイエット、ケトン体ダイエットも実践済)です。
気になることは実践することにしているので、食事・体の事・メンタルの事まで、経験に基づいた健康オタクでもあります。
フリーダイヤルでの相談にも、親身にお答えいたします。


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