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食生活きよら通信バックナンバー

腎臓病対策『中級編』は食事について

シニア夫婦の食事風景

こんにちは、純炭社長の樋口です。

今月お送りした「きよら通信」では、透析を遠ざけるために避けたい”食”について、電子レンジ調理によるAGE(糖化物質)もお伝えしました。

電子レンジの話を書くと必ず質問をいただきますので、ウェブ版きよら通信では紙面で説明しきれなかった電子レンジの不思議にも触れたいと思います。

お家でできる!腎臓病対策『中級編』

2024年9月号のきよら通信でお送りした腎臓病対策初級編では、脱水、減塩、腸内環境改善についてお伝えしました。

2024年10月号のきよら通信では中級編として、もうすこし踏み込んで、腎臓病なら避けたい“食”についてお伝えしたいと思います。

腎臓を治す食品は無い、長持ちさせる食品はある、悪くする食品は沢山ある!

残念ながら「これを食べれば腎機能が回復する」という食べ物はありません。

逆に「これを食べ続けると腎臓に負担がかかる食べ物(※)」は沢山あります。

(※)それはカリウムやたんぱく質ではありません!

カリウムやたんぱく質制限をする前に知っておきたい、腎臓に悪い食品を3つにまとめました。

これらの食品を食べ過ぎなければ、腎臓を長持ちさせることができるはずです。

【その1】血糖値が上がりやすい食品

うどんにおにぎり

血糖値とは血液中を流れる“糖(ブドウ糖/グルコース)”の量の事。通常、全血液中に角砂糖1個分の糖しかありません。

ところが、白米一膳(150 g)には角砂糖14個分の糖が含まれています。

糖質(ご飯、麺類、パン、スイーツ、菓子、煎餅、果物、芋類、ジュースなど)が消化吸収されると大量の糖が血液中に流れ込みます。

血糖値が高い状態が続くと血管が傷ついてしまうので、動脈硬化や心筋梗塞の原因となったり、腎臓の細かい血管も傷ついて腎機能が低下してしまうのです。

でも大丈夫!ちょっとした工夫で血糖値を上げすぎずに食事ができます!

血糖値が上がりやすい糖質を意識しよう

血糖値を意識せずに糖質を摂りすぎてしまうと、腎機能低下の一因となります。

まず、どんな食品に糖質が多く血糖値が上がりやすいのかを覚えましょう。

様々な炭水化物のイメージ画像
主食(白米、パン、麺類、フレークなど)
芋類のイメージ画像
芋類
果物(果物の糖はブドウ糖ではなく果糖なので血糖値としては測定されません。しかし、ブドウ糖の10倍もAGEを作ります)
スイーツバイキングのイメージ画像
スイーツ(ケーキ、チョコレート、アイスクリーム、クッキーなど)
粒あんの豆大福とお茶
和菓子(まんじゅう、大福、だんご、ぜんざいなど)
せんべい
せんべい・スナック菓子(おかき、柿ピー、コーンスナック、ポテトチップスなど)
野菜ジュースのイメージ画像
ジュース(フルーツジュース、野菜ジュース、トマトジュースなど)
事犯金のペットボトル飲料のイメージ画像
清涼飲料水、缶コーヒー、スポーツドリンクなど

血糖値が上がりやすい食品を食べるときの工夫

このような糖質の多いものを食べるときは、選び方や食べる量をこんな風に工夫してみましょう。

それだけで、血糖値が上がりづらくなったり、糖質の摂取量も抑えることが出来ます。

雑穀米のイメージ画像
1)主食
→精製度の低い穀物(雑穀、全粒粉等)を使用した主食に変えてみましょう。

例:
白米
雑穀米やもち麦を加えると、食物繊維が増えるので消化に時間がかかり血糖値の上昇が緩やかになります。

食パン
→白いパンは、食物繊維が少なめなので血糖値が上がりやすいので、全粒粉のパンなどを選んでみましょう。

麺類
→パスタやうどん、そうめん、ラーメン…などの生成された小麦を使った麵類も血糖値が上がります。
全粒粉を使った麺、低糖質麺(大豆やこんにゃくなどの原料を使用したもの)を選んでみましょう。
小鉢に入った肉じゃが
2)芋類、果物
→小鉢1杯程度にして食べ過ぎない

例:
肉じゃがや里芋の煮物など
→芋以外の具材を多めにして、芋ばかり食べ過ぎないようにする。

果物
旬の果物はビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富ですが、カリウムも多いので食べ過ぎは厳禁。
※りんご丸ごと1個、バナナ3本、いちご1パック…といった極端な量は食べ過ぎです。果物を食べるときも、1食あたり小鉢1杯程度にしておくとAGE的にも安心です。
上質なチーズケーキ
3)スイーツ、菓子、煎餅
→質の良いものを少量に。
砂糖の沢山はいったコーヒー
4)甘い飲み物
→甘い飲み物は慢性腎臓病のリスクを増やすという報告が出ています。なるべく飲まない方が◎です。

参考:加糖飲料と人工甘味料はCKDリスクを増やす(日経メディカル)

血糖値の上昇を緩やかにする裏技

さらに、食事の際、血糖値の上昇を緩やかにするには、こんな裏技があります。

酢のイメージ画像
1)酢を大匙1杯飲む
食事と一緒に酢をとると、血糖値の上昇が抑えられます。
酢は甘味の無いものを選び水で薄めて飲んだり酢の物を食べるのも◎

参考:食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果(ミツカンHP)
おかずの多いメニュー
2)食べる順番を変える
ご飯や麺などの糖質は、食事の一番最後に!
野菜や肉魚などのおかずを先に食べるのが、腎臓を守るコツです。

メニュー選びも、具が多いものや、おかずの多い定食メニューを選ぶのがオススメです。

階段で運動するシニア女性のイメージ画像
3)食後に軽い運動
エネルギーとして糖を消費すると、血糖値がストンと下がります。
 
食後15分程、踏み台昇降やウオーキングするとGOOD!
 

【その2】吸収率の高い『無機リン』を多く含む食品

添加物の多そうなお弁当を食べる男性のイメージ画像

無機リンは、食品添加物として多用されており、摂りすぎは血管石灰化や腎機能低下の原因に。

表示義務が無く、難解な成分名で添加されるので、避けたい加工食品と添加物名を覚えましょう。

無機リンが多い加工食品

忙しい現代人の見方である加工食品やお惣菜。

特に手軽に食べられる食品や、食材の原型がわからない食品には、人間の都合で沢山の無機リンが使用されています。

特に、以下の3種類は食べる頻度を控えた方が無難です。

ベーコン、ソーセージ
1)加工肉
ベーコン、ウインナー、ハム等
練り物のイメージ画像
2)練り物
ちくわ、はんぺん、かまぼこ等
コンビニ弁当、おにぎりのイメージ画像
3)お惣菜、コンビニ弁当、カップ麺

無機リンが隠れている添加物名

食品の裏側には、成分表示が義務付けられていますが、残念ながら添加物名には”無機リン”とは記載してありません。

酸味料、調味料、乳化剤、pH調整剤、膨張剤かんすい、イーストフード

これらは無機リンが使用されている可能性が高いので、なるべく避けましょう。

成分名をすべて覚えるのは大変なので、こんな風に見分けましょう。

①○○剤、●●料、アルファベット表記は注意

②原材料名の/(スラッシュ)の後ろは添加物ですので、原材料名の/以降を見る癖を付けて下さい!

その3】AGE(糖化物質、エージーイー)が多い食品

あげもののイメージ画像

加熱などによって、糖がたんぱく質にべたべたと焦げ付いた物がAGEだとイメージしてください。

糖が焦げ付くことによって、たんぱく質の機能が損なわれてしまうだけでなく、腎臓病の大敵である炎症を引き起おこし、腎機能低下の一因になります。

AGEが多い食品

天ぷら盛り合わせ
1)揚げ、焼き、炒め
これらの調理方法は、高温になるのでAGEが多くなります。
電子レンジのイメージ画像
2)電子レンジ加熱したもの
チンしても焦げ目はつきませんが、AGEができやすいので要注意。
ベーコンが入ったカルボナーラのイメージ画像
3)加工食品が多く含む料理
加工食品は製造過程の加熱でAGEが生じますが、更なる加熱調理でAGEが増大。

AGEを意識した食事へ

お刺身のイメージ画像
1)生で、蒸す、茹で、煮る
低温で油を使わない調理メニューを増やすと◎

例:
焼肉→しゃぶしゃぶ
焼餃子→水餃子
目玉焼き→ゆで卵
焼魚→お刺身など
電子レンジ使用時のイメージ画像
2)電子レンジは短時間(控える)
常温に戻してからチンしたり、温めなくても食べられるものは、そのまま食べた方がGOOD!

野菜の下ごしらえも、電子レンジ加熱ではなく茹でた方がカリウムも少なくできます。

AGEから体を守る食品

それでも、揚げ物や焼肉が食べたい日もありますよね。

AGEが多そうなメニューの時は、以下のお助け食材をプラスしてみましょう。

レモンのイメージ画像
レモンや酢
肉や魚を焼く前に塗ると、AGEができづらくなります。
きのこのイメージ画像
きのこやネバネバ食材
含まれるキトサンや食物繊維がAGEから体を守ってくれます。

炭も食品中のAGEを吸着してくれますよ。
ブロッコリースプラウトのイメージ画像
ブロッコリースプラウト
スルフォラファンという成分がAGEの生成を抑えます。
サラダや付け合わせに◎

電子レンジ調理とAGEの関係について

電子レンジによるAGEのでき方は、温める食材によって違います。

電子レンジ加熱でできるAGE量は温める食材によって相当違います
電子レンジ加熱で生じるAGE量は温める食材によって違います

豚肉(Pork)は電子レンジ調理でAGEが急上昇しますが、魚(Fish)や卵(Chicken egg)はそれほどではありません。

その理由は、食材に含まれる水分量が違うから!(だと思います)

AGEのでき方は水分量・温度・pHなどの影響を受けますので、以下のポイントを覚えておいてください。

水分量の多い食材はAGEができにくい

パックご飯を電子レンジでチンするのはダメ?という質問が多いのですが、ご飯は水分が多いのでそれほど心配する必要はありません。冷凍ご飯は解凍してから温めた方がAGE量は少ないと思います。

逆に天ぷらや唐揚げは水分が抜けているので、電子レンジ調理でAGEが急増する可能性があります。

高温・長時間でAGEが増える

蒸す(調理温度100℃)よりも揚げる(調理温度200℃前後)の方がAGEが増えます。

蒸し料理は温度が低いことに加えて、水分も多い調理法なのでAGE的には◎

一方、揚げ物は温度が高い上に、食材の水分が抜けていくのでAGEは増えてしまいます。

電子レンジの場合、高いワット数で長時間チンするのはNG。低いワット数で短時間が◎

余談ですが、自然解凍OKの冷凍食品が増えつつあるのはAGEを意識しているから?と推察しています。

酸性(pHが低い)ではAGEができにくい

AGEはアルカリ性で作られやすく、酸性では作られ難い性質があります。

そこで、肉や魚などを酢やレモン汁などでマリネしてから加熱料理すると、AGE量を抑えることができます。

おわりに

食事を気にする男性のイメージ画像

知らずにうっかり食べていたメニューや食材はありませんでしたか?

先生はここまで詳しく教えてくれないので、「そんなこと聞いてないよ!」とか「もっと早く知りたかった!」とならないように、ぜひ中級編の注意点を覚えて今日から対策してみて下さいね。

食事は毎日の積み重ねなので、腎臓に良い食事をコツコツ続けていけば透析を遠ざけられるはずです。

次回の上級編もお楽しみに☆彡

(きよら通信2024年10月号として郵送した内容に加筆修正しました)



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この記事を書いた人
ゆっきー

美味しいものを食べることと、山登りが趣味の”ゆっきー”です。
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