慢性腎臓病(CKD )でも気軽にできるオススメの運動特集
こんにちは、純炭社長の樋口です。
先週(2024/11/5)配信したメルマガ「腎臓病対策上級編」の中で、”適度な運動が腎臓に良い”ことをご紹介したところ、登山はどうなの?キツイ運動は腎臓に悪いの?というご質問を複数いただきました。
そこで、登山のようなキツイ運動が腎臓に与える影響を追記してみました。
目次
腎臓病って運動した方がいいの?してもいいの?
弊社のフリーダイヤルや、夏冬のプレゼント応募はがき等で、たくさん腎臓病に関するご質問をお受けいたします。
特に多いのは腎臓病と運動について。
『腎臓病に良いエクササイズはないか?』
『自宅で簡単にできる運動を教えてほしい』
という内容を多数頂いております。
寒くなると体を動かすのがおっくうですし、弊社がある金沢市では雨や雪が多くてウォーキングもままなりません。
そこで、
・天気を気にせずお家の中でできる!
・特別な道具がなくてもできる!
・高齢者でもできる!
・普段運動していない人でもできる!
腎臓病だけど手軽に体を動かしてみたいなーと思っている方に向けて、簡単に始められる運動を調べてみました。
慢性腎臓病は太っていなくても運動が大切!
日本腎臓学会の最新ガイドライン『エビデンスに基づくCKDガイドライン2023』にも運動についての記述があります。
『肥満を伴わない慢性腎臓病患者でも日常的な運動は可能な範囲で行う事を推奨する』
この最新のガイドラインによると、運動を行ったグループでは、eGFRが+2.56も改善したという論文まであり、運動によってeGFRが悪化したという報告は出ていません。
若いころより足が細くなっていませんか?
足が細いと“スラっと見えてしてうれしい♪”と喜んでいいのは30代まで。
筋肉量は腎機能と同じように、加齢とともにどんどん減ってしまいます。
40代以降は年に1%ずつ筋肉が減っていき、80代になる頃には40%も減ってしまいます。
足の筋力が低下すると、体を支えきれず転倒しやすく、骨折→寝たきり…という悲しい結果にもなりかねません。
筋肉を付ける習慣を取り入れることで、骨の強化や、認知症の予防にも効果があるのです。
簡単!筋肉不足セルフチェック
両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲みます。
一番左の図のように、つかめなければ大丈夫!
しかし、ちょうど囲める場合や、すき間ができるような場合は、残念ながら筋肉量が落ちている証拠です。
これ以上筋肉が減ってしまう前に、ぜひご紹介するエクササイズを試してくださいね。
何歳になっても筋肉は増やせる!
適切な運動を行えば、何歳になっても筋肉を増やすことができるので安心してください。
75歳以上を対象とした調査では、1時間の運動を週2回、3か月行った所、足の筋肉量が2.4%アップ、歩行速度が14.5%アップしたという報告も。
歩行速度は、運動効果を実感しやすく、やる気がでる目標にもなります。
お子さんやお孫さんと同じ速度で歩ければ、毎日がたのしくなってきそうな気がしませんか?
※運動する際の注意点 運動する場所は、滑ったり転んだりしないか?安全を十分確認してください。 必要があれば介助してもらい、痛みを感じる場合は、痛みがない範囲で無理せず行うか、中止してください。 |
慢性腎臓病・サルコペニア対策にオススメの運動
純炭社長のワンポイントアドバイス
踏み台昇降をするとき、この歌を歌ってみるのはいかがでしょうか。
♪映画『男はつらいよ』の主題歌(俺がいたんじゃ お嫁にゃいけぬ わかっちゃいるんだ 妹よ~)
こちらを歌いながら昇り降りすると、ちょうど1分間に20回のペースになるんだとか。
※右足乗せる→左足乗せる→右足降ろす→左足降ろすの計4歩分で1回
「○○しながら運動」は、脳の機能が活性化されて認知症の予防にもなるので一石二鳥です。
TVをみながら、ラジオを聞きながら、家族と会話しながら…等でもOKです。
人生を楽しむためには“貯筋”が大事
仮に人生100年時代に備えた“貯金”が在ったとしても、そのお金を楽しく使えないと悲しくなってしまいます。
自分の意思で好きな時に好きな所へ行く、身の回りの世話を人の手を借りずにする・・・
これらは、当たり前の事のようですが、体を動かすための筋肉がないとかなえられなくなるかもしれません。
逆に言うと、筋肉を減らないようにしてあげれば、いつまでも叶える事ができるはず。
そんな想いで、今回のきよら通信は“貯筋”に役立つ簡単エクササイズを取り上げてみました。
冒頭でもご紹介しましたが、定期的な運動習慣は、腎機能の低下を抑制することも分かっています。
『どれか一種類だけ』でも『1日1セットだけ』でもいいので、テレビがCMに切り替わったら、“貧乏ゆすり”や“あしぶみ”をする癖をつけてみてはいかがでしょうか。
頑張りすぎにご注意ください!
運動が腎臓に良いと聞いて、ついついやりすぎてしまうことがあります。
しかし、激しい運動(高い山への登山やマラソンなど)は腎臓に負担をかけてしまう可能性があることも、頭の片隅に入れておいてください。
登山中、たくさん水を飲んでいるのに、おしっこの回数が少ない…といったことはありませんか?
この現象は、単に汗で水分が失われているだけでなく、激しい運動によってアルドステロンというホルモンが分泌されるためでもあります。
アルドステロンはミネラルコルチコイド受容体(MR)に作用して、尿量を減らし、体内に水を留める働きをしてくれますが、一方でナトリウムも留めて血圧をあげたり、炎症や線維化を介して腎機能を低下させる働きもあります。
ちなみに、2022年3月にはミネラルコルチコイド受容体の働きを止める薬(商品名:ケレンディア)が『2型糖尿病を合併する慢性腎臓病、ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く』で腎臓病治療薬として承認されました。
趣味の登山は止めた方がよい?
登山が趣味の方には(脅かすようで申し訳ありませんが)もうひとつだけ頭の片隅に入れておいて欲しいのが、”アルドステロンは低酸素でも分泌される”ということです。
3000 m級の登山は、より腎臓に負担をかける可能性があるわけですが、だからと言って趣味の登山を止めるべきなのか?
登山の達成感やストレス解消、自然と触れ合ったり趣味を持つことで人生が豊かになるなど、トータルに考えると良い面が沢山あるので、アルドステロンの悪い一面だけ切り取って「登山は腎臓に悪い」とは言えないと思うのです。
激しい運動を楽しみながら腎臓を守るには?
登山やマラソンなど、激しい運動を楽しんだあとには、①その後1~3か月は毎月検査を受けてeGFRや尿蛋白をチェックする、②2型糖尿病がある慢性腎臓病の場合はケレンディアの処方を相談してみる、などの方法で腎臓を守るすべはあると思います。
趣味をあきらめてストレスや喪失感を感じるのは腎臓に悪いので、程よい落としどころを見つけて人生を楽しみたいものです。
釈迦に説法ですが、運動直後は筋肉からクレアチニンが放出されてeGFRが低くでたり、尿蛋白も高くなって、一時的に腎機能が悪化したように見えてしまうことがあるので、血液検査や尿検査は運動から数日たって(3日程度で大丈夫だと思うのですが…)受けるようにしてくださいね。
(きよら通信2023.11月号として郵送した内容を加筆修正しました)
- この記事を書いた人
- ゆっきー
美味しいものを食べることと、山登りが趣味の”ゆっきー”です。
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