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腎臓病食生活食事制限

75歳以上の慢性腎臓病(CKD)患者の低たんぱく食の注意点

こんにちは、純炭社長の樋口です。
電話やメールでお客様とコミュニケーションを取っていると、低たんぱく食を実践している方が圧倒的に多い印象です。低たんぱく米を食べていたり、たんぱく質を制限した冷凍の腎臓病食を活用している方も多いですね。

タンパク質制限食のお悩み

物忘れ シニア男性
でも、たんぱく質を減らした分、カロリーを補うために揚げ物を沢山食べたり、冷凍の腎臓病食を電子レンジで温めて食べるのは、AGE(糖化物質)による腎障害を助長しないか心配なところもあります。

何歳で透析に入る人が多いか

透析に入るのは何歳くらいの人が多いの?
さて、透析に入る患者さんの年齢って何歳くらいの方が一番多いのでしょうか?
日本透析医学会が定期的に発表している「わが国の慢性透析療法の現状2017年版」によると、透析に入る患者さんの年齢は男性が75~79歳、女性は80~84歳がトップとなっています。
(追記:2022.4)透析医学会の2020年末の集計では、男性は70~74歳、女性は80~84歳となっています。

高齢者のタンパク質制限の不安

サルコペニア 運動不足 高齢者
腎機能を維持するためには適度な運動が欠かせませんが、75歳を超えてくると筋肉量が減ってきて若いころのように身体を動かすことが容易ではない場合もありますよね。そんな時に食事中のたんぱく質を制限したら・・・・・いったいどうなってしまうのでしょうか?

日本腎臓学会の見解は


そこで、75歳以上の低たんぱく食に関して学会はどの様な見解を示しているのか?を調べて見ました。
日本腎臓学会の学会誌では、
「75歳以上の高齢慢性腎臓病ステージG3b~5患者(eGFRが44以下)に対して食事たんぱく質制限は、透析や腎移植が必要な末期腎不全への進展・生命予後の観点から推奨されるか?」
との問いに対して以下の回答が示されています(※1)。

高齢者のたんぱく質制限の導入条件

「75歳以上の高齢慢性腎臓病ステージG3b~5患者(eGFRが44以下)に対して末期腎不全(透析や腎移植が必要な状態)への進展抑制を目的として食事たんぱく質制限を実施するに際しては、患者個々の以下の点を総合的に勘案し、その要否を判断する必要があります。」
タンパク質制限を導入するには以下の条件を満たしており、たんぱく質制限をしても大丈夫か確認する必要があります。

タンパク質制限導入の条件
身体状況 体重変動、BMI=ボディーマスインデックス(※2)、見た目の印象など。
栄養状態 上腕二頭筋周囲径(力こぶの太さ)、GNRI=血清アルブミン値と体重から算出する栄養状態(※3)など。
身体機能 筋力、運動機能など
精神状態 うつ状態、認知機能など
生活状況 独居、施設入居など

数値だけで制限すべきか判断できません

eGFRを中心とした腎機能評価に基づいて一律にたんぱく制限を行うことは勧められていません。
つまり、
『BMIが〇以下ならたんぱく質制限』
『GNRI(栄養状態)が〇以下なら…』
『クレアチニン値が〇以上になったら…』
『e-GFRが〇を下回ったら…』
などと一概に決められるものではない、という事なのです。

BMIやGNRIといった指標は、
・体重
・身長
・血清アルブミン値
が解れば計算式で算出することができます(詳しくは後述※2.3を参照)計算が面倒な方は電話やメールでご連絡いただければ純炭社長が計算しますよ(笑)

もしたんぱく質制限が必要な場合は


たんぱく質制限を始める場合はどれくらい制限するのでしょうか?
実施にあたっては0.6~0.8 g/kg体重/日が目標となります。但し、患者さん個々の状態を定期的に評価しつつ、必要に応じて重曹、リン吸着薬、カリウム吸着薬などを適切に使用し、アシドーシス(血液が酸性に傾くこと)、高リン血症、高カリウム血症の是正を心がけることが大切です。

過剰なたんぱく質制限は禁物

タンパク質をどれくらい食べると腎臓に負担?卵や肉魚乳製品豆類もみんなタンパク質
必要以上にたんぱく質制限をしてしまうと、サルコペニア(筋力が減ってしまう状態)などを引き起こします。寝たきりなどになってしまうと、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=人生や生活の質)低下やさらには生命予後悪化にもつながる可能性があることに注意しなければなりません。

たんぱく質制限をするべきか悩んだら


低たんぱく食を実践するには、ご自分の筋肉量や栄養状態をきちんと把握することが大切なようです。
最近の体重計には筋肉量や体脂肪量が表示されるものもありますし、3万円程度の体組成計であれば部位別の筋肉量がわかる製品もあります。スマホが使える方であれば自動的にデータを取りこんでグラフ化してくれる機能もあるのでお医者さんに相談するときに便利ですね。

たんぱく質不足が原因の不調も

元気の出ない高齢者
それ以外にも、
・なんとなくやる気がおきなくて、なにをやるのも億劫に感じる。
・体重が徐々に減り続けている。
・立ち仕事や歩く時間が減っている
なんて感じるときは、たんぱく質不足や栄養全体の不足が考えられます。たんぱく質制限を続けるべきか一度医師に相談しましょう。

おわりに

健康補助食品 プロテイン
最近ではリンやカリウムが少なく、アミノ酸スコア100のプロテインドリンクも販売されているので筋肉量の低下が気になる場合には(お医者さんと相談のうえ)活用してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、純炭粉末公式専門店でもプロテインをお求めいただけます。エンジョイプロテインのご購入はこちら。

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出典・参考
(※1)
CKDステージG3b~5診療ガイドライン2017  日腎会誌2017 ; 59(8) : 1160-1164

(※2)
BMIボディーマスインデックスの計算の仕方
BMI=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}
体重60kgで身長165mだと60÷(1.65×1.65)=BMI22
※一般的にはBMI=22の体重が理想体重、BMIが20を下回っている場合は痩せすぎと言われます。

(※3)
GNRI(Geriatric Nutritional Risk Index)高齢者の栄養状態を評価する指標。血清アルブミン値と体重から以下の式で算出できます。理想体重は自身の身長でBMIが22になる体重の事です。理想体重の方が現体重より重い場合は1として算出します。
GNRI=14.89×血清アルブミン値(g/dL)+41.7×{現体重(kg)/理想体重(kg)}
※ちなみにGNRI=91未満で栄養障害リスク大、91以上で栄養障害リスク小と判定、96以下の場合には栄養障害状態と言えます。

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純炭社長:樋口正人 代表取締役社長CEO
中外製薬で腎臓病治療薬(エリスロポエチン)の創薬研究に従事。金沢医科大学医学部腎臓内科非常勤講師を経て、2009年株式会社ダステックを創業。 長期服用を前提とした安心・安全な食用炭「純炭粉末」の研究開発や自社製造を続ける傍ら、腎臓病の知識・腎臓内科の受診のすすめ、腎臓をeGFRで管理することの重要性など、慢性腎臓病患者さんに対する情報発信、啓蒙活動に取り組んでいる。

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この記事を書いた人
純炭社長:樋口正人

株式会社ダステック代表取締役社長。
1985年3月:千葉大学大学院理学研究科生物学専攻 修了
1985年4月:中外製薬株式会社入社。新薬研究所配属腎性貧血治療薬エリスロポエチン(ESA製剤)の創薬に従事。
1998年4月~2001年3月:通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(岡修一先生)技術研修員
1999年4月~2008年3月:筑波大学先端学際領域研究センター(山本雅之教授)客員研究員
2007年4月~2014年3月:金沢医科大学非常勤講師
2007年10月:中外製薬退社
2009年5月:株式会社ダステック設立
2015年5月:純炭粉末の米国特許取得(ADSORPTION CARBON, AND ADSORBENT Patent No.: US 9,034,789 B2)
2015年5月:純炭粉末の日本特許取得(吸着炭及び吸着剤 特許第5765649号)

「出す健康法」で健康寿命を延ばすのが夢!
最近は「腎臓にやさしい純炭社長食堂」のシェフとして社員さんの昼食を調理しています(笑)。

「75歳以上の慢性腎臓病(CKD)患者の低たんぱく食の注意点」への2 件のフィードバック

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