慢性腎臓病(CKD)の人はどんなたんぱく質を食べるべきか、世界腎臓病会議で報告されたレポートとは
目次
「植物性たんぱく質は腎機能低下を抑制」学会報告
こんにちは。純炭社長です。2019年4月12日~15日までオーストラリアのメルボルンで世界腎臓学会議が開催されました。学会レポートの中で純炭社長が注目したのはという記事です。
出典:国際腎臓学会
植物性たんぱく質とは
大豆製品(豆腐・おから・油揚げ・納豆など)、穀類(お米・雑穀・小麦など)、野菜(青菜やブロッコリー)、イモ類、海草、などに多いので摂りすぎないように控えましょう・・・と指導されている人が多いのではないでしょうか。
対して動物性たんぱく質は
肉、魚、卵、乳製品などを指します。こちらはその中でも加工食品(ハムやウインナー・練り物など)はリンや塩分などに気を付けて、摂りすぎないように・・・という風に言われることが多いと思います。
学会のガイドラインで言われるたんぱく質摂取の現状は
慢性腎臓病の食事指導は「低たんぱく食」が一般的です。病院でたんぱく質制限を言われている方は多いでしょう。
腎臓病学の国際組織KDIGO(Kidney Disease : Improving Global Outcomes)のガイドラインでは、徐々に腎機能が低下する可能性が高い大人の慢性腎臓病患者では、体重1 kgあたり、たんぱく質1.3 g/日を超えないことを推奨しています。
出典:KDIGO
どのようなたんぱく質を食べれば腎臓に負担をかけずに済むのか?
加齢にともなう腎機能低下は避けられません。しかし、今回の研究で、たんぱく質の種類(動物性か?植物性か?)によって腎機能低下のスピードが変わるのか?という今まで見過ごされてきた問題が一般の高齢女性で検討されました。
植物性たんぱく質を増やすと腎機に優しい
この検証では(平均年齢75歳の女性約1300人を対象に5年後・10年後と各たんぱく質摂取量の割合と腎機能の低下率を追った)なんと、植物性たんぱく質の摂取量を10g増やすごとに腎機能の低下速度が18%改善するとのデータが出ました。
対象者はそれぞれ平均で
植物性たんぱく質を一日22g~33g/日
動物性たんぱく質を37g~60g/日
摂っていたとの事で、植物性たんぱく質の割合が多いほど腎機能の低下率が低くなったそう。
※但し、極端に植物性たんぱく質だけ食べて動物性たんぱく質を一切食べなければいいという話ではありませんので注意が必要です!!
植物性たんぱく質でオススメの食材
では、植物性たんぱく質の摂取量を増やすためには何を食べたらよいのでしょう?
植物性たんぱく質といえば・・・豆ですよね。大豆製品(豆腐・おから・油揚げ・湯葉)や小豆・煮豆なんかが思い浮かびます。他に、くるみやピーナッツなども多いようですが、まずは手軽に手に入る大豆製品で比較してみました。
大豆製品の中でもリンやカリウムが低いのはどれ?
植物性たんぱく質の代表格である(純炭社長の大好物の)納豆!
※納豆は栄養価が高い優秀食材!1パック50gでたんぱく質が8.3g(卵1個分よりも多いんです!)入っています。でも残念なことにカリウムが多いんですよね。
カリウムを気にしなくて良い方は、ビタミンKが豊富な納豆は体に良いと思うのですが(但し、生卵と納豆を混ぜて食べるのは栄養価的にもったいないという説もあります)
そこで、納豆50gに相当するたんぱく質を別の食材で摂るとしたら・・・何をどれくらい食べれば良いのか?その時のカリウムやリンは?という視点で表を作りました。まず最初に、納豆とおなじ大豆食品を比較してみます。
優秀食材は高野豆腐
納豆(タレなし) 1パック50g | 絹豆腐 125g | 高野豆腐 16.4g | 生揚げ 77g | 油揚げ | 生湯葉 | |
塩分 | 0 | ほぼ0 | 0.2 | 0 | 0 | 0 |
たんぱく質 | 8.3 | 8.3 | 8.3 | 8.3 | 8.3 | 8.3 |
カリウム | 330 | 189 | 5.8 | 92 | 30 | 111 |
リン | 95 | 102 | 134 | 116 | 124 | 96 |
脂質 | 5 | 3.8 | 5.6 | 8.8 | 12.2 | 5.2 |
炭水化物 | 6.1 | 2.5 | 0.7 | 0.8 | 0.18 | 1.5 |
カロリー | 100 | 70 | 88 | 116 | 145 | 88 |
カリウム制限がある方は凍り豆腐(高野豆腐)がおすすめです。豆腐を凍らせて一度水分を抜くことによってカリウムが一緒に流れ出て少なくなるのでしょう。
生揚げや油揚げもカリウム控えめでカロリーが多いので(良質な油で揚げた商品であれば)良いようです。
お米からも植物性たんぱく質が摂れる
毎日大豆製品ばっかりじゃ、飽きてきそう(*´Д`)
でも、一定量はたんぱく質でかつ”植物性たんぱく質”を多めに摂るには・・・?
と思ったあなた!
そんなに『大豆大豆大豆・・・』と思いつめなくても、”日本人の基本のお米”からも植物性たんぱく質を摂ることが出来ます。
え?、お医者さんや栄養士さんに『低たんぱく米』を勧められたんだけど・・・という慢性腎臓病の方も多いはず。
でも、今回の研究結果は違うのです。食事のメインとなる主食(ごはん・パン・麺類など)に含まれる植物性たんぱく質を積極的に摂った方が腎機能の低下を防ぐことができるのではないか?という、ちゃぶ台をひっくり返すような結論なのです。
主食の植物性たんぱく質含有量
白米だけでなく(塩分が気にはなりますが)食パンやパスタは小麦由来の植物性たんぱく質が豊富ですね。
白米を2杯食べれば、納豆1パックと同じ量の植物性タンパク質が取れます。しかしながら、腎臓病食として売られている低たんぱく質米ではご飯から植物性たんぱく質を摂ることはできません。
低たんぱく米をすすめられる理由は?
はたしてご飯からのたんぱく質摂取を減らすことは腎臓に優しいことなのでしょうか?
今回の研究から考えると、普通の白米を食べて、その分は動物性たんぱく質で調節する方が良いのかも知れません。腎臓病用に作られた低たんぱくの主食は、割高で風味も劣って美味しくない・・・という声を聞いたことがあります。
注:アミノ酸スコア(たんぱく質を作っているアミノ酸のバランスのこと)が100に近いほど栄養価が高いとされています。米や小麦の植物性たんぱく質はリジンというアミノ酸がすくないので、リジンを豊富に含みアミノ酸スコア100の大豆食品と一緒に食べると良いと思います。
終わりに
純炭社長は慢性腎臓病用の低たんぱく米を食べた経験がありませんが、たんぱく質を減らした分だけ糖質が増えているはずです。
だとしたら、同じ量を食べた時の血糖値の上がり方は普通の白米よりも激しいのではないか?とも推察します。糖尿病からくる慢性腎臓病の場合、血糖値の乱高下は腎臓を傷つけてしまうので、この点については純炭社長が体をはって実験してみます。
参考文献:腎臓病の食品早わかり
手軽にたんぱく質を補給するならプロテインもおすすめです
エンジョイプロテインはホエイプロテインなのでどちらかと言えば動物性たんぱく質ですが、
気になるリンやカリウムの値が低く調整されており人工甘味料も不使用なので、一般的な食物性たんぱく質や若年層向けプロテインと比べ、
腎臓にかける負担が小さい成分構成になっているおすすめのプロテインです。
この記事で紹介する商品
植物たんぱく質がおすすめされる要因【リン】についてはこちら
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- この記事を書いた人
- ゆっきー
美味しいものを食べることと、山登りが趣味の”ゆっきー”です。
きよら通信やブログはゆっきーがお届けしています。
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「慢性腎臓病(CKD)の人はどんなたんぱく質を食べるべきか、世界腎臓病会議で報告されたレポートとは」への12 件のフィードバック
私は低タンパク質米を食しています。ブログを読むと、まるで低タンパク質米が無駄である、と読めます。腎臓病医療関係者もそういう人がいる、と言うことですか。低タンパク質米の効果をそちらで確認して、ブログで報告してください。一部の情報だけで、全体を判断していると、思いませんか。
匿名 様
コメントありがとうございます。
日本の腎臓病食は低たんぱく食が一般的ですが、どのようなたんぱく質を減らすべきか?に関しては知見がありませんでした。
ブログを通じてお伝えしたかったのは、「低たんぱく食を行う際にどのようなたんぱく質を減らした方が腎機能の低下を抑えることができるのか?」という問題に関して新しい研究成果が報告されたという点です。
今年4月の世界腎臓学会議で報告された研究では「植物性たんぱく質」を多くとるほど腎機能の低下スピードを緩やかにできるという結果を示しています。
であるならば、低たんぱく食を行う際にも、米に含まれる植物性たんぱく質を減らすのではなく、動物性たんぱく質を減らす方法の方が腎臓には優しいのではないか?という仮説が成り立ちます。
もちろん仮説には検証が必要ですが、少しでも腎機能を守れる可能性があるのであれば情報をお伝えしたい!という思いでブログを書いています。
以前のブログで、腎機能8%でも透析を回避してきたリュウ・ウェイさんが雑穀中心の食生活だったことを紹介してきました。
https://u0u1.net/WoUk
また、植物性たんぱく質は動物性たんぱく質に比べてリンの吸収効率が低いことも紹介しました。
http://dastec.cms.future-shop.jp/blog/2018/12/23/how-can-a-person-with-kidney-disease-consume-protein/
リュウ・ウェイさんの本を読んだ時にはカリウムやリンが多い雑穀米が腎臓を守る理由が解りませんでしたが、植物性たんぱく質の多さ、リンの吸収率の低さ、飽和脂肪酸の少なさに起因するのかも知れません。
ところで、アメリカ糖尿病学会は(すくなくとも)糖尿病性腎症では低たんぱく食は推奨しないと発表しています。
これは、たんぱく摂取量を減らしても腎機能の低下スピードを緩やかにできるというエビデンスは無いと判断されたためです。
(日本でも高齢腎臓病患者では筋肉量低下による寝たきりやフレイル・サルコペニアを引き起こす可能性があるためステレオタイプに低たんぱく食を勧めるべきではないとされています。日本腎臓病学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018、14頁、75頁)
これに対して、今回の研究は植物性たんぱく質摂取量が多いほど、加齢にともなう腎機能低下が抑制できる(可能性がある)という注目すべき内容だと思いました。
決して低たんぱく米を食べることを否定しているのではなく、たんぱく制限を行うのであれば、どの食品のたんぱく質を減らすのか?という新しい視点を持ってご自分の食生活を医師や栄養士とともに考えて欲しいという想いで書いた次第です。
日本腎臓病学会は低たんぱく食によって腎機能低下のスピードを抑制できる中程度のエビデンスは存在すると報告しています(日本腎臓病学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018、14頁)。
しかし、私が調べたところ、少なくとも現時点で低たんぱく米が腎臓を守るというエビデンスは見つけられませんでした(引き続き調べてみます)。
匿名者様の主治医や栄養士が低たんぱく米のエビデンスを知っている様でしたら、是非、教えてください。本ブログを通じて同じ悩みを抱える皆様に共有させていただきたいと思います。
普通米と低たんぱく米の血糖値上昇に関しては実験してみた上で報告させていただきます。
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