腎臓病対策『上級編』腎臓の負担を減らす生活習慣について
目次
お家でできる!腎臓病対策~上級編~
腎臓に良いと言われる食事を頑張っているのにeGFRの低下が止まらない…
そんな時に役立つ、(実はとても重要な)腎臓病対策をピックアップしました。
歯磨き(腸内悪玉菌だけでなく、悪玉歯周病菌の存在も忘れずに!)
腎臓病と歯磨きなんて、関係なさそうなのですが、それは大間違いなんです。
お口の中の歯周病菌は心血管病(心筋梗塞や脳梗塞)や糖尿病を悪化させ腎機能にも負担をかけます。
しばらく歯医者さんへかかっていないな・・・と心当たりがある方は、腎臓の為にもぜひ見てもらいましょう。
腎臓を守る歯磨きのコツ
・1日最低1回は5分間かけ丁寧な歯磨きを!(就寝中に歯周病菌が増加する為、特に夕飯後推奨) |
・夜中や朝の水分補給前は、(歯周病菌を飲み込まないように)必ず洗口剤でうがいをしましょう! |
・定期的(大人は3~6か月に1度を推奨)に歯科を受診し、早期発見と治療をこころがける。 |
運動(腎臓に良い効果がありますが、腎機能を低下させることはありません!)
「腎臓病は安静に」は昔の話!腎臓学会は、腎機能の維持のために適度な運動を推奨しています。
運動により、高血圧や尿蛋白の改善が認められますが適度な運動が腎臓に悪さをする報告はありません。
適度な運動はストレスの解消や安眠、精神面の安定など腎臓病に良い効果が沢山あります。
少しずつでも良いので今日から体を動かしてみませんか?
腎臓を守る運動のコツ
・自分の腎機能(eGFR)に適した運動強度を確認!(下図参照) |
・脱水に気を付け、しっかり水分補給をしながら運動する。 |
・マラソンや登山等ハードな運動は医師に相談。※ハードな運動後は一時的にeGFRが低下する為。 |
質の良い睡眠(睡眠時間が短くても質が良ければ大丈夫!)
大阪大学の研究によると、睡眠の質が悪いと透析のリスクが1.3倍になるという報告があります。
睡眠に問題があると、高血圧や糖尿病も悪化してしまい腎臓にも負担がかかります。
しかし、加齢とともに睡眠時間が短くなるのは当たり前で、若い頃のように長時間は寝れなくなります。
睡眠は長さではなく質が大切と割り切って、次の方法を試してみて下さい。
腎臓を守る質の良い睡眠のコツ
・朝日をあびる(体内時計がリセットされて自律神経が整います) |
・夕食は就寝3時間前までに済ませる(遅い時間の飲食は睡眠の質が低下します) |
・寝る2時間前のテレビやスマホはOFF(機器からの光が脳を覚醒させ、眠りを妨げます) |
自律神経(自分の意志ではコントロールできない神経を落ち着かせる!)
自律神経とは、文字通り『自律』した神経で、生きていくために必要な体の動きを制御しています。
しかし、2つある自律神経(交感神経=アクセル)(副交感神経=ブレーキ)のバランスが崩れると様々な不調をきたします。
特に、交感神経は加齢とともに優位になりがちなので要注意。
交感神経が優位な状態が続くと、血圧が上昇したり、腸の動きが悪くなったり、血糖値もあがる為腎臓によくありません。
交感神経(アクセル)→副交感神経(ブレーキ)へ切り替えるコツ
・自然を感じる(例:花や植物を眺める・窓を開け風を感じる・波やせせらぎ等のBGMも◎) |
・ぬるめのお風呂にゆったり入浴 |
・鍼灸治療 |
・ストレッチ(下図を参考に無理のない範囲で) |
ストレス対策(怒りや不安は万病のもと!)
人間は怒りや不安といったネガティブな感情を感じると、交感神経が活性化しアドレナリンと言うホルモンが出て、
血糖値を上昇させたり、血圧や心拍数を上げて腎臓に負担をかけてしまいます。
感情が安定している人は長生きである という報告もあるので、ストレスを感じたら、以下の方法を試してみましょう。
腎臓に良いストレス対策
・笑う 口角を上げて笑顔を作ると、脳が騙されて幸せホルモン(セロトニン)が分泌されます。 人と楽しく会話したり、お笑いや落語、コメディ映画などを見るのも良い方法です。 箸を横向きに口にくわえて、意図的に口角を上げるだけでもセロトニンが分泌されますよ。 |
・瞑想 怪しく感じるかもしれませんが、グーグル等の大企業でも社員教育に取り入れています。 1分間でもいいので楽な姿勢で(座っても寝てもOK)「3秒で吸って~4秒で吐いて~」とゆっくりと深呼吸をしてみましょう。 呼吸に意識を集中させるだけでOKです。 |
おわりに
今回ご紹介した5項目のうち、歯周病菌と運動以外は「心の安定」に関わる内容です。(運動も心の安定に含まれるかも)。
古来より「病は気から」と言われますが、実は現代西洋医学でも証明されている事実なんです。
気になる項目があれば直感で“ピン”と、きたものから取り組んでみて下さいね。
(きよら通信2024年11月号として配布した内容です)
- この記事を書いた人
- ゆっきー
美味しいものを食べることと、山登りが趣味の”ゆっきー”です。
きよら通信やブログはゆっきーがお届けしています。
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「腎臓病対策『上級編』腎臓の負担を減らす生活習慣について」への2 件のフィードバック
適度な運動がお勧めされています。
以前は運動の結果クレアチニンが上昇するので運動はNGでした。小学生の時に尿蛋白がでたため体育授業を見学していました。
それがクレアチニン上昇が腎臓に悪さするのではないということで適度な運動が推奨されたと理解しています。
そうであれば適度な運動ではなくても激しい運動であっても問題はないのではないか?という疑問が生じます。
激しい運動で一時的にクレアチニンが上昇しても運動によって筋肉が増える等で腎臓に良い影響があるのであれば「適度」な運動でなくても激しい運動でも腎臓にはよいのではないか?と思われますがどうなのでしょうか?
シニア山岳会に入会し月に2回程度山に登っています。高低差1000m位の山にも登ります。翌日から少しの間は足の筋肉中心に筋肉痛で
翌日の身全身倦怠感を感じます。
鋭い質問とコメントありがとうございます。
腎機能の指標であるeGFRはクレアチニン値を使って計算するので「運動→筋肉がクレアチニンを放出→血中クレアチニン値が上昇→eGFRが低下」となり、腎機能が低下したように見えます。
また、尿蛋白も運動によって増加し、激しい運動後は25倍に達するとも言われています。
従って、運動後に血液検査や尿検査をすれば腎機能が低下したように見える訳ですが、これは真の腎機能低下ではなく、見せかけの腎機能低下かも知れないことを頭の片隅にとどめておいて、運動直後は検査を避けることが大切だと思います。
さて、登山のような激しい運動(7メッツ以上)は腎臓に対してどうなのか?
一般的に、激しい運動は脱水に陥りやすく腎臓に負担をかけやすいと言われます。
更に、激しい運動はアルドステロンというホルモンの分泌を促し、アルドステロンがミネラルコルチコイド受容体に結合すると腎臓に負荷がかかることも知られています。
近年、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(ケレンディア)が腎臓病の治療薬として承認されたことからも、「激しい運動→アルドステロン上昇」は腎臓に負担をかけてしまうことは間違いなさそうです。
だからと言って登山をやめる必要は無いと思っています。
筋肉を増やすことは良いことですし、ストレス解消や達成感を感じることは心身の健康につながります。
運動量の少ない人よりも少しだけ検査頻度を上げて、定期的に腎機能をチャックしてあげれば問題ないと思います。
余談ですが、私の妻も登山好きで富士山、北岳、台湾の玉山などを昇り、次は剱岳と言ってます(笑)。
クレアチニンで測定したeGFRが50台で心配していたのですが、シスタチンCで測定したeGFRは70台だったので、筋肉量が増えた影響だと考えているところです。