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きよら通信バックナンバー

慢性腎臓病の新薬や最新の研究報告をお届けします【2023年12月最新版】

腎臓病治療最新情報

1967年に人工腎臓装置が日本に輸入されるまで、腎臓病は死を待つだけの病でした。

しかし、透析などの腎代替療法によって、現代では腎機能が停止しても日常生活が送れるようになりました。

慢性腎臓病治療の新薬

昨今では、腎臓病の治療薬の開発も進んでいます。

現在、慢性腎臓病で処方できる治療薬は…

1)クレメジン(1991年承認)
2)フォシーガ(2021年承認)

これらの腎臓病治療薬の登場により、透析や移植を先延ばしにすることも夢ではなくなりつつあります。

そこで、今月号では2023年12月現在の腎臓病の新薬開発状況や、腎臓病治療の最新情報をお届けしたいと思います。

MR拮抗薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)

MR拮抗薬は主に血圧を下げる薬(降圧剤)として高血圧の治療に使われています。

ところが、腎臓の炎症や繊維化を起こす原因をブロックすることが分かってきたため、慢性腎臓病治療薬としての臨床試験が進んでいます。

腎臓病で期待されるMR拮抗薬は以下の2つです。

1)ミネブロ降圧剤として2019年に承認済、現在糖尿病性腎症に対し臨床試験が進行中。
2)ケレンディア2型糖尿病を合併する糖尿病治療薬として2022年3月に承認済。
ただし降圧剤としては未承認。

ARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)

ARNI(販売名エンレスト)はもともと心不全の薬でしたが、2021年に高血圧の薬としても使えるようになりました。

2023年6月の日本腎臓学会での報告によると、血圧は朝晩で変動しており特に、夜間の血圧が高い体質の人は腎機能への負担が大きいことが分かってきています。

ARNIは夜間の血圧に対して効果を発揮するため、慢性腎臓病で高血圧持ちの場合、体質に合えばARNIの腎保護作用が期待できるかもしれません。

目の前の患者に対して、どのタイプの降圧剤を処方するかが医師の腕の見せ所になりそうです!

その他の新薬開発状況は「開発パイプライン」で検索

製薬会社のホームページを検索すると、各社『開発パイプライン』というページで新薬の開発状況を公開しています。

今回取り上げた新薬以外にも、エンドセリンA受容体拮抗薬、GLP-1受容体作動薬、抗IL-33抗体薬、など様々な切り口で腎臓病薬の開発がすすんでいます。

選択肢増えるか?-SGLT2阻害薬続報-

冒頭で紹介したフォシーガの他にも薬効成分が異なるSGLT2阻害薬が発売されています。

2023年7月の糖尿病学会では、各種薬効成分の『特徴』や『効き目の違い』が報告されました。

1年以上いずれかのSGLT2阻害薬を服用した糖尿病患者の腎臓の点数(eGFR)を比較検討した結果、腎保護作用には薬剤間で差異がある可能性が示されたそうです。

今後、各SGLT2阻害薬の特徴が解明されれば患者ごとの背景に応じて、どのSGLT2阻害薬を使うと良いか?最も効果がある薬剤選択が可能になると思います。

進む技術革新!-透析からの離脱を可能とする腎臓の異種移植-

米国ハーバード大学とバイオ企業の共同研究で『ブタの腎臓をサルに移植し2年以上生存させることに成功した』という画期的な研究成果が科学誌ネイチャーに掲載されました。

通常、ブタの腎臓をサルに移植しても異物として拒絶されるため長期生存は困難です。

そこで、拒絶反応を抑えるため、ブタの遺伝子を操作(拒絶の原因となるブタ遺伝子を壊しヒト遺伝子に置き換え)したのち、サルに移植したというのです。

移植されたサル15匹のうち9匹は 100日以上も生存し、最長で758日も生存しました。

実験に使用されたカニクイザルの平均寿命は25~40年ですので人間の寿命を80年として換算すると、人間なら移植後4.9年生きたことになります。

また、今回はヒト遺伝子に置き換えているので、サルではなくヒトへの移植なら更に長生きできる可能性があります。

腎臓病解明のカギとなるか!-バイオバンクプロジェクト‐

なぜ腎機能が悪くなってしまうのか?明確な原因は解明されていません。

例えば糖尿病の場合、腎臓の血管が障害されて透析になる患者もいれば網膜の血管が障害され失明する患者もいて、その理由は分かっていません。

そこで日本腎臓学会の「バイオバンク」プロジェクトでは、15の大学病院から15万人分の生体資料(血液・尿・遺伝子)を集め、ビックデータを活用した研究が始まっています。

昨年度の報告によると、日本人特有の遺伝因子が腎機能に関係していることも分かってきました。

今後研究が進み、腎臓病の原因遺伝子などの解明がすすめば、腎臓病のリスク予測・重症化の抑制・オーダーメードでの腎臓病予防や治療ができる可能性が見えてくるはずです。

国を挙げて透析患者を減らす!-腎臓病早期発見-

診察

厚生労働省では年間4万人を超える新規透析導入患者を、2028年までに3万5千人以下にすることを目標に掲げ、地域ぐるみで「慢性腎臓病診療体制の充実」、「腎疾患の重症化予防」に取り組んでいます。

この取り組みにより、2016年と比べた5年間で透析導入数が5%以上減った都道府県は18もあり着実に成果を上げています。

腎臓病は早期発見がとても大切で、フォシーガやケレンディアはeGFRが25未満になってしまうと処方できないこともあるのです。

今後「地域のかかりつけ医」と「腎専門医がいる病院」の連携がすすみ、自覚症状のない腎臓病が見過ごされることのない社会へ前進してもらいたいですね。

ストレスや不安・心配を手放すことが病気を遠ざける!

末期がんで余命宣告を受けた後に、奇跡的にがんが消えてしまったという患者1500人以上を調査したところ、皆が「抑圧された感情を開放しストレスや不安・心配を手放す」という、メンタル面の改善に取り組んでいたそうです。

今回、腎臓病でも不安や心配が軽減するような最新情報を集めてみましたが、明るいニュースがたくさん見つかりました。

今後も定期的に最新情報をお届けいたしますので、きよらと一緒に腎臓にやさしい毎日をお過ごしください。

(2023.12月号として配布したものです)

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この記事を書いた人
ゆっきー

美味しいものを食べることと、山登りが趣味の”ゆっきー”です。
きよら通信やブログはゆっきーがお届けしています。
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「慢性腎臓病の新薬や最新の研究報告をお届けします【2023年12月最新版】」への2 件のフィードバック

  • 末期がんで余命宣告を受けた後に、奇跡的にがんが消えてしまったという患者1500人以上を調査したところ、皆が「抑圧された感情を開放しストレスや不安・心配を手放す」という、メンタル面の改善に取り組んでいたそうです。
    ↑の記事に興味が湧きました。人体の不思議ですね。

    • コメントありがとうございます。
      本当に「人体の不思議」だと感じています。
      「がんが自然に治る10の習慣」著者のケリー・ターナーさんは2014年に「がんが自然に治る生き方」を出版していて、私は後者の本をむさぼるように読みました。
      そして確信したのが、「この本に書かれていることは癌だけでなく、腎臓病も含めたすべての病気に関わる!」ということでした。
      2023年の新刊では以下の9個の習慣に「運動」が加わって10も習慣になったようです。
      1)抜本的に食事の内容を変える
      2)ハーブとサプリメントの力を借りる
      3)治療法を自分で選択して自分で決める
      4)体や心が発する直感に従う
      5)ストレスなどの抑圧された感情を解き放つ
      6)より前向きに生きる
      7)他者からの愛やサポートを受けいれる(孤独感を持たない)
      8)自分の魂と深くつながる
      9)「死にたくない」ではなく「どうしても生きたい理由や感情」を持つ

      読んで損はない本だと思いますので、是非手に取ってみてください。

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