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腎臓病対策透析・移植

腎臓病になったらいつから透析導入されるのか

こんにちは、純炭社長の樋口です。
先日のブログで、お医者さんは「eGFRが15~30になったら透析や腎移植の説明をするのが望ましい」と診療ガイドラインに書かれていることを紹介しました。

いつから透析に?

診察 医師 女性患者
では、実際にeGFRがどれくらいの値になったら透析になってしまうのでしょう?実は、明確な基準はありません。
※まず最初に、eGFR(推定GFRと書かれている場合もあります)って何?クレアチニンとは違うの?と思った方はこちらのブログを先に読んだあとに本題を読み進めて下さい。

日本腎臓学会では

血液検査の結果
素人考えでは、なんとなく、腎機能が低下しすぎない比較的早期に透析に入ってしまったほうが、その後の経過は良いように思ってしまいます。

しかし、日本腎臓学会が発表している”エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013”には、『尿毒症症状の出現のないeGFR 8~14 mL/分/1.73m2程度での早期導入は、透析導入後の予後改善に寄与しない。一方で、症状がなくともeGFR 2 mL/分/m2までに導入しないと生命予後が悪化する可能性がある。』と書かれています。

尿毒症症状とは


尿毒症症状とは、腎臓の働きが悪くなったために血液から除去しきれなかった毒素が、だるさや食欲不振、呼吸困難、睡眠障害などを引き起こす状態です。
このような尿毒症症状が出現したり、赤血球を増やす注射が効きにくくなったり、カリウムがコントロールできなくなったりした時にはeGFRに関係なく、早期に透析を受けたほうが身体は楽になります。

eGFRが1桁でも元気な人も


一方で、eGFRが一桁に低下しても食欲旺盛で元気な方もいらっしゃいます。このような場合は早期の透析導入はあまり意味がなく、むしろeGFRが6程度まで透析に入らないほうが、その後の生命予後は良いとされています。

ガイドラインでは

1) 2010年に報告されたオーストラリアとニュージーランドの研究では、eGFR 10~14の「早期透析導入群」とeGFR 5~7の「晩期透析導入群」では、その後の死亡率に違いはない。
2) 日本における2007年の新規透析導入患者の検討では、eGFR 4~6で透析に入った患者に12か月死亡率は低く、逆にeGFR 8以上で透析に入った患者に死亡率が高かった。eGFR 2未満まで透析に入らなかった患者の死亡率は統計学的に高いとは言えなかったが、死亡リスクは増大する傾向は認められた。
3) 日本において1988年と1989年に透析に入った患者では、eGFR 4~6で透析に入った患者に比べて、eGFR 6以上で透析に入った患者の方が16~17年後の予後は統計学的に悪かった。

つまり、早期で透析に入らざるを得なかった患者は、既に全身状態が悪化していた可能性がありますが、尿毒症の症状がない場合にはeGFRが6を切るくらいまで透析を回避することはできそうです。

シャント手術だけは先に


ただし、シャント手術は早めに準備しておいた方が良い場合もあります。通常の採血は血管の静脈に針を刺して血液を取り出しますが、血液透析の場合は1分間に200~300 mLもの血液を透析器に送り込まなくてはなりません。細い静脈からこれだけの血液を抜くことは不可能なので、腕の静脈と動脈をつなぎ合わせた「シャント」を作るのが普通です。

先にシャント手術をすすめる理由

救急車
シャントがない状態で緊急透析になると、心臓に近い中心静脈にカテーテルを入れて透析を受けることになります。この方法は生命予後を悪化させる可能性があるので、お医者さんは「シャントだけ作っておきましょう」とすすめてくれる訳です。

こちらのブログ「「腎臓の数値が横ばい状態で良くならないんだけど…」では、自身のeGFRを記録していくと、どれくらいで透析になるか予測することができます。(もしかしたらお医者さんが脅しているだけで、透析になる年齢は120歳とかかもしれませんよ?)気になる方はチェックしてみましょう。

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純炭社長:樋口正人 代表取締役社長CEO
中外製薬で腎臓病治療薬(エリスロポエチン)の創薬研究に従事。金沢医科大学医学部腎臓内科非常勤講師を経て、2009年株式会社ダステックを創業。 長期服用を前提とした安心・安全な食用炭「純炭粉末」の研究開発や自社製造を続ける傍ら、腎臓病の知識・腎臓内科の受診のすすめ、腎臓をeGFRで管理することの重要性など、慢性腎臓病患者さんに対する情報発信、啓蒙活動に取り組んでいる。

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この記事を書いた人
純炭社長:樋口正人

株式会社ダステック代表取締役社長。
1985年3月:千葉大学大学院理学研究科生物学専攻 修了
1985年4月:中外製薬株式会社入社。新薬研究所配属腎性貧血治療薬エリスロポエチン(ESA製剤)の創薬に従事。
1998年4月~2001年3月:通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(岡修一先生)技術研修員
1999年4月~2008年3月:筑波大学先端学際領域研究センター(山本雅之教授)客員研究員
2007年4月~2014年3月:金沢医科大学非常勤講師
2007年10月:中外製薬退社
2009年5月:株式会社ダステック設立
2015年5月:純炭粉末の米国特許取得(ADSORPTION CARBON, AND ADSORBENT Patent No.: US 9,034,789 B2)
2015年5月:純炭粉末の日本特許取得(吸着炭及び吸着剤 特許第5765649号)

「出す健康法」で健康寿命を延ばすのが夢!
最近は「腎臓にやさしい純炭社長食堂」のシェフとして社員さんの昼食を調理しています(笑)。

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