慢性腎臓病(CKD)の承認された”新薬”フォシーガ(SGLT2阻害薬)の最新情報をお届けします
食べる純炭きよら通信vol.29(2021.11月号)
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きよら通信担当のゆっきーです!
今回はこの夏に承認された慢性腎臓病(CKD)治療薬“フォシーガ”についての最新情報をお届けします。
目次
慢性腎臓病(CKD)についに新薬登場
『慢性腎臓病(CKD)の治療薬が国内初の承認』と報道されたのは記憶に新しいところです。
腎臓病には薬がないと言われていましたが、着実に研究は進んでいたのです!
今回承認された“フォシーガ” (一般名:ダバグリフロジン)って一体どんな薬なのでしょうか?
フォシーガの歴史
日本では2014年に2型糖尿病の治療薬として承認され、2019年に1型糖尿病、更には2020年に慢性心不全治療薬として承認されました。
そして2021年8月糖尿病の有無に関わらず慢性腎臓病の治療薬としても承認されました。
(但し、末期腎不全または透析施行中の患者は除く)
ちなみに薬価は10㎎(1日分)で274円、3割負担だと1か月で2500円ほどの費用になります。
フォシーガってどんな薬?
この薬は腎臓にあるSGLT2(尿中に捨てられた糖を再吸収して血液に戻す物質)の働きを阻害することで、尿中に糖を捨てて血糖値の上昇を抑える働きがあります。
フォシーガのような働きの薬を総称してSGLT2阻害薬と呼んでおり、ほかにも数種類あります。
承認のための臨床試験では
フォシーガの国際的な臨床試験(DAPA-CKD)では糖尿病の有無を問わない4,304例の慢性腎臓病(CKD)患者を対象に実施されました。
選ばれたのは慢性腎臓病のステージ2~4(eGFRが75~25)、尿蛋白が出ており、降圧剤(ARBまたはACEI)を服用の人です。
対象者を半分ずつに分けて、フォシーガを飲まなかったグループと1日1回フォシーガ10㎎飲んでもらったグループを比較しました。
フォシーガを飲んでいたグループは
①腎機能の悪化
②末期腎不全への進行
③心血管死または腎不全での死亡
①~③のいずれかへ移行するリスクが39%低かったという結果がでました。
腎臓病の原因が違っても効果が期待できる
2019年の透析導入患者の原疾患は以下の順になっています。
1位:糖尿病性腎症 | 41.6% |
2位:高血圧が原因の腎硬化症 | 16.4% |
3位:糸球体腎炎 | 14.9% |
4位:原因不明 | 13.9% |
全透析導入患者の86.8%が1~4位のいずれかが原因です。
嬉しいことにフォシーガは1~4位すべてのタイプの慢性腎臓病でも効果が期待できることがわかっています。
今回の承認取得で何が変わるの?
欧米諸国では、一足早く慢性腎臓病の治療薬として効能効果が追加承認されました。
しかし日本では、糖尿病や心不全がなければフォシーガは使用できませんでした。
今回の承認によって日本国内でも糖尿病や心不全に関係なく、腎臓病治療を目的として保険適応されるようになりました。
わたしは処方してもらえる?
フォシーガ添付文章の「効能又は効果」に慢性腎臓病が追加され、糖尿病の有無に関係なく、eGFRが25以上あれば基本的に処方の対象になると思います。
しかしながら、『ただし末期腎不全又は透析施行中の患者を除く』とも記載されているのでeGFRが25未満の場合は、リスクとベネフィット(恩恵)に関して医師との協議が必要になると思います。
また、糖尿病でインスリン治療を受けている場合も医師に相談が必要です。
フォシーガを服用する際の注意点
フォシーガは期待の腎臓病治療薬ですが、良薬は口に苦しという言葉がある様に、いくつか懸念材料(副作用)もあります。
eGFRの低下速度を緩やかにし“透析を遠ざける”という長所と“副作用”という短所を天秤にかけて、フォシーガを使うか否かを医師に相談してみましょう。
フォシーガの主な副作用5種類を挙げてみました。
低血糖
もともと糖尿病患者の血糖値を下げる薬なので、低血糖を起こす可能性があります。
極端に血糖値が下がると意識を失う事もあるので、車の運転や激しい運動には注意が必要です。
ケトアシドーシス
ブドウ糖を捨てることでエネルギー不足になると、血液中のケトン体が増え、血液が酸性に傾く事も。
悪心、嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害などの症状がでたらすぐに病院へ。
体重減少
エネルギー源であるブドウ糖を尿に捨てる為、体重減少の可能性があります。
エネルギー不足が続くと、筋力の低下を招くので、高齢者は特に気を付けて体重のチェックをしましょう。
脱水
尿の中に糖やナトリウムを捨てる作用がある為、多尿や頻尿となり、脱水を起こす可能性があります。
急な血圧降下や体重減少も脱水の注意信号です。
性器感染、尿路感染、腎盂腎炎
尿中のブドウ糖濃度が高くなると、細菌が繁殖しやすくなり、炎症が起こる場合があります。
陰部のかゆみや排尿時の違和感、尿の異常(濁り・血尿)に気付いたら泌尿器科へ。
痩せすぎの人も服用には注意
腎臓病の食事制限によりBMIが20を切ってしまうほど痩せている場合はSGLT2阻害薬の副作用の影響を受けやすくなるので注意が必要です。
フォシーガのような新薬を用いる場合には、薬の処方に加え、患者個々人に適した食事指導がより一層重要になってくるのではないかと思います。
健康コラム~免疫力アップのツボ
寒くなってくると、体が冷えて免疫力も落ちてしまいます。
そこで、指の間の水かき部分にある『八邪(はちじゃ)』というツボを親指と人差し指で挟むようにつまんで揉んでみましょう。
普段揉むことはないのでちょっと痛いのですが、驚くほど手先の血行が良くなり冷えが和らぎます。
ぜひ試してみてくださいね。
(2021.11月号として配布したものです)
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「慢性腎臓病(CKD)の承認された”新薬”フォシーガ(SGLT2阻害薬)の最新情報をお届けします」への9 件のフィードバック
[…] さて、2021年のトピックスは何といってもフォシーガが慢性腎臓病治療薬として承認されたこと!1991年に球形吸着炭である「クレメジン」が慢性腎臓病用の医薬品として発売されて以来、なんと30年ぶりの新薬なのです。 【関連記事】 食べる純炭きよら通信vol.29-慢性腎臓病(CKD)の承認された新薬”フォシー… […]
[…] また、2021年8月に糖尿病治療薬(SGLT2阻害薬)であるフォシーガが慢性腎臓病治療薬として承認され、日本でも処方してもらえるようになりました。 関連記事:食べる純炭きよら通信vol.29-慢性腎臓病(CKD)の承認された新薬”フォシー… […]
[…] フォシーガと同じSGLT2阻害薬のカナグルでこのような臨床データが出ています。 飲み始めの1か月目ではeGFRが低下しますが、3か月目でeGFRが安定し、12か月目以降は偽薬(SGLT2阻害薬を飲んでいなかった群)よりも腎機能が保たれているという結果になっています。 弊社のお客様でも「フォシーガを処方してもらって、飲み始めた」というお客様が沢山いらっしゃいます。しかし、安定してくるまでに副作用(糖を尿に捨てる作用があるため、脱水になりやすい)の影響で数値が悪くなり、途中で服用を断念したという方のお話もチラホラお伺いします。 飲み続けた方がよいのか?一時的な数値の悪化をどう見るのか?は、主治医の先生とよく相談してくださいね。 飲み始めるときは、デメリットや注意事項を先生と一緒に十分確認しましょう。 参考:きよら通信vol.29-フォシーガを服用するときの注意点 […]
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