イカ墨は炭に非ず|美白と皮膚がんの関係
こんにちは。
「食べる純炭きよら」を製造販売する(株)ダステック代表のhigumonです。
先週、健康食品を販売する会社の社長さんとお話をして、こんな話題になりました。
A社長「イカ墨を食べると便が真っ黒になりますが、貴社の純炭でも黒くなりますよね」
私「そうですね。確かに純炭を食べると便が黒くなり、便臭が変わります」
私「イカ墨は食べたことがありませんが、体に良いのですか?」
A社長「イカ墨も純炭と同じように吸着作用があるんでしょ?」
私「????」
A社長と同じ誤解をしている方に時々遭遇します。
実は
イカ墨と純炭は・・・
まったくの別物なんです
純炭の成分は炭素
元素記号はC
カーボンです。
一方のイカ墨は?というと・・・
日焼けの原因、メラニン色素と同じもの。
メラニンは炭素の他に、酸素・水素・窒素が複雑に絡み合ったインドール骨格を持つ物質で、
チロシンというアミノ酸がチロシナーゼという酵素で分解されて作られます。
そういえば、巷で問題になっている美白化粧品のターゲットもメラニンでしたね。
皮膚のメラニンは表皮と真皮の境目にあるメラノサイトという細胞で作られます。
メラノサイトは皮膚1mm2あたり約1000~1500個存在しますが、意外なことに人種が異なってもメラノサイトの数や分布に違いはないのだそうです。
紫外線を浴びたり、皮膚にストレスが加わると、
プラスミン(タンパク分解酵素の一種:セリンプロテアーゼ、血栓溶解などに働く)や
アドレノメジュリン(血管拡張、細胞遊走、抗炎症など多彩な作用を示す)が、
メラノサイト活性化因子として働き、
銅含有酵素であるチロシナーゼを活性化して
チロシンからメラニンを作り出します。
メラノサイトで作られたメラニンはメラノソームというボール状の中に詰められて、
細胞膜の表面に向けて運ばれていきます。
メラノサイトから放出されたメラノソームは、メラニンを欲しがっている他の細胞に運ばれ、
再び細胞内に取り込まれます。
すると、今度はDNAが詰まった核に向かって輸送されて行き、
核の上方に集結してメラニンキャップ(核帽)という構造を形成し、紫外線からDNAを守ります。
生物の仕組みってスゴイですね
女性には毛嫌いされるメラニンですが、DNAを傷つけないために頑張っていることをご理解いただけたでしょうか?
日焼けの心配がないイカやタコは、別の意味で身を守るためにメラニンを使っているんですね。
チロシナーゼ活性やメラノサイト刺激因子の働きを抑える美白化粧品を使うということは、
DNAが傷つきやすい(皮膚がんになりやすい)状況を作っていることになります。
ですから、日焼け止めをしっかり使って紫外線をカットすることが大切です。
ところが、皮膚科の先生がこんなことを言っていました。
「日焼け止めに書いてあるSPF(Sun Protection Factor)という数値は、
日焼け止めを厚さ2mmに塗った時の値なんです。
ところが、日本人はせいぜい1mm程度しか塗っていない。
これでは効果が無いんです。
外用剤はしっかりと量を使うことがとても大切です!」
美白化粧品は、シミやソバカスの部分だけに使い、
日焼け止め(サンスクリーン)は全身にたっぷり塗って、
大切なDNAを紫外線から守りましょう!
- この記事を書いた人
- 純炭社長:樋口正人
株式会社ダステック代表取締役社長。
1985年3月:千葉大学大学院理学研究科生物学専攻 修了
1985年4月:中外製薬株式会社入社。新薬研究所配属腎性貧血治療薬エリスロポエチン(ESA製剤)の創薬に従事。
1998年4月~2001年3月:通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(岡修一先生)技術研修員
1999年4月~2008年3月:筑波大学先端学際領域研究センター(山本雅之教授)客員研究員
2007年4月~2014年3月:金沢医科大学非常勤講師
2007年10月:中外製薬退社
2009年5月:株式会社ダステック設立
2015年5月:純炭粉末の米国特許取得(ADSORPTION CARBON, AND ADSORBENT Patent No.: US 9,034,789 B2)
2015年5月:純炭粉末の日本特許取得(吸着炭及び吸着剤 特許第5765649号)
「出す健康法」で健康寿命を延ばすのが夢!
最近は「腎臓にやさしい純炭社長食堂」のシェフとして社員さんの昼食を調理しています(笑)。
「イカ墨は炭に非ず|美白と皮膚がんの関係」への2 件のフィードバック
めちゃ、勉強になりました。美白クリームって、こわいですね?
匿名様
コメントありがとうございます。
毛嫌いされるメラニンも実は頑張って体を守ってくれているんですね^^