【2022年追記】頭痛で鎮痛剤を手放せないと考えないで!腎臓に負担をかける鎮痛剤に頼らずに頭痛をコントロールする方法。
こんにちは。
先日から右背中痛に悩まされている純炭社長の樋口です。
ベッドで横になると痛みが強くなり、立っている姿勢が一番痛みが少ない状況で、痛みが体力も気力も奪い去っていくことを実感しています(現在は意外な方法で痛みが軽減しているのですが、それは文末で紹介しますね)。
さて、純炭粉末公式専門店のお客様も腰痛や頭痛にお悩みの方が多く、痛み専門医が考案した腰痛がラクになる「酸素たっぷり呼吸法」をブログで紹介したこともあります。
そこで、今回はお悩みが多い頭痛に関して新しい治療薬を紹介しますね。
三人に一人は頭痛もち
日本臨床内科医会が発行している資料によると、日本人の三人に一人は慢性頭痛に悩む”頭痛もち”なのだそうです。しかし、病院で治療を受けているのは10%足らずで、NSAIDs(※)のような市販の鎮痛剤を飲んでいるのが55%、何もしないで我慢しているのが35%とのこと。
10~20歳代で発症することが多い片頭痛を緩和するためにNSAIDs(ロキソニンやボルタレンなどの非ステロイド性鎮痛剤)をドラッグストアで購入し、慢性的に飲み続けていたら、知らず知らずのうちに腎機能が低下してしまった…というお話も良く耳にします。
【参考】わかりやすい病気のはなしシリーズ11 頭痛 -中間法人日本臨床内科医会
従来の片頭痛治療法と問題点
痛みが辛いときにはNSAIDsのような鎮痛剤やトリプタンのような処方薬で痛みを取り除き、頭痛を予防するためには抗てんかん薬(デパケンなど)、抗うつ薬(トリプタノールなど)、狭心症治療薬(インデラルなど)が予防薬として転用されてきました。
しかし、これらの薬は(ふらつきや便秘、血圧低下が起こりやすいため)高齢者では慎重投与が必要であったり、(胎児に影響が出る)催奇形性のために妊婦や妊娠の可能性がある女性には使えない欠点がありました(デパケンなどのパルプロ酸が該当)。
【参考】慢性頭痛の診療ガイドライン2013 一般社団法人日本頭痛学会
抗体医薬の新薬で片頭痛を予防する時代に!
「慢性腎臓病」を適応症としてフォシーガが承認されたように、「片頭痛発作の発症抑制」を適応症として3種類の抗体医薬が2021年に相次いで承認されました。
これらの抗体医薬はいずれもCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質の作用をブロックする働きがあります。
疲労やストレスで三叉神経からCGRPが分泌されると、血管が拡張したり、血管から様々な物質が漏れ出して頭痛を引き起こすと考えられていました。そこでCGRPに結合して作用をブロックする抗体医薬(商品名:エムガルティ、アジョビ)とCGRP受容体(CGRPがはまり込む鍵穴のようなもの)に対する抗体医薬(商品名:アイモビーグ)が開発されたわけです。
既存の予防薬に比べて副作用が少なく効果も早くあらわれるため、「片頭痛に苦しむ患者にとっては生活を一変させるインパクトを持つ」という声もあるとのこと。腎機能が低下していても、高齢者であっても、安心して使える薬です。
これまでは病院に通って注射してもらう必要がありましたが、2022年6月にはアジョビの自己注射が認可され、更に2022年9月にはアイモビーグの在宅自己注射も保険適用になりました。自宅で鎮痛剤を飲む感覚で、自己注射することが可能になったので、今後は片頭痛やNSAIDsによる腎機能低下は確実に減っていくと思います。
【参考】
・エムガルティとともに進める片頭痛治療 -イーライリリー、第一三共
・片頭痛発作の発症を抑制する薬剤「アジョビ®皮下注225mgシリンジ」の国内における製造販売承認取得について -大塚製薬
・アムジェン、片頭痛発作の発症抑制薬「アイモビーグ®皮下注70mgペン」新発売のお知らせ —アムジェン
・アジョビ皮下注225mgオートインジェクターの承認申請について-大塚製薬
・アイモビーグ皮下注70mgペンの在宅自己注射が保険適用に-アムジェン
私でも処方してもらえるの?
約840万人の片頭痛患者全員が高価な抗体医薬を使いだすと国民医療費を圧迫しかねないためか、「専門医でないと処方できない」などの縛りがあります。以下に投与対象の要件と専門医一覧のリンクを貼ってありますので、お近くの専門医に相談してみてください。
【参考】
・ガルカネズマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドライン(片頭痛発作の発症抑制)について - 一般社団法人日本神経学会
・認定頭痛専門医一覧 - 一般社団法人日本頭痛学会
片頭痛以外の疼痛はどうなるの?
CGRPの作用をブロックする抗体医薬の登場で片頭痛の苦しみは大幅に減りそうです。しかし、他の痛みはどうなるの?という点が気になりますよね。調べてみたところ、NGF(神経成長因子)に対する抗体医薬が変形性関節症の疼痛を大幅に軽減したとの情報が見つかりました。
NSAIDsやモルヒネなどを使わずに抗体医薬で痛みをコントロールできる時代がやってくるかも知れませんね。
【参考】進行中のTanezumab第3相プログラム初の試験の結果を発表、変形性関節症の患者さんの疼痛および身体機能が大幅に改善 -ファイザー
(おまけ)純炭社長の背中痛は?
原因不明の背中痛で、仰向けに寝ても、横向きに寝ても痛くて眠れず、昼間は椅子に座っているのも苦痛で、立ったまま仕事をするような状況が数か月続きました。NSAIDsの飲み薬や塗り薬、コルセットなどを試してみましたが効果なし。
ところが、枕を変えただけで翌朝には痛みがウソのようにやわらぎ、数日で痛みが完全に消失。その後1年以上再発はありません。人間の体って本当に不思議ですね。
- この記事を書いた人
- 純炭社長:樋口正人
株式会社ダステック代表取締役社長。
1985年3月:千葉大学大学院理学研究科生物学専攻 修了
1985年4月:中外製薬株式会社入社。新薬研究所配属腎性貧血治療薬エリスロポエチン(ESA製剤)の創薬に従事。
1998年4月~2001年3月:通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(岡修一先生)技術研修員
1999年4月~2008年3月:筑波大学先端学際領域研究センター(山本雅之教授)客員研究員
2007年4月~2014年3月:金沢医科大学非常勤講師
2007年10月:中外製薬退社
2009年5月:株式会社ダステック設立
2015年5月:純炭粉末の米国特許取得(ADSORPTION CARBON, AND ADSORBENT Patent No.: US 9,034,789 B2)
2015年5月:純炭粉末の日本特許取得(吸着炭及び吸着剤 特許第5765649号)
「出す健康法」で健康寿命を延ばすのが夢!
最近は「腎臓にやさしい純炭社長食堂」のシェフとして社員さんの昼食を調理しています(笑)。