夏場は何飲む?腎機能を悪化させる飲み物にご注意を

投稿日: カテゴリー ■腎臓病について
熱中症対策に何を飲むかで腎臓病の明暗が分かれます

こんにちは!日中の気温がぐんぐん上がってきており、日に日に夏の足音が近づいてきておりますね。知らず知らずに腎臓を傷つけてしまうこともある夏場、本格的な夏が到来する前に、こちらのブログで予習しておきましょう♪

☞夏は腎臓病にとって注意シーズン?
熱中症対策に何を飲むかで腎臓病の明暗が分かれます
暑い季節になると、お客様からのお電話で「腎臓が悪くなった…」というお声をよく耳にするような…??と思い、以前論文検索したところ『脱水症状が繰り返されると慢性腎臓病(以下,CKD)の危険性が高まる』という主旨の論文が複数見つかりました。

☞暑い地域で外仕事をする人は腎臓病発症率が高い
サトウキビ畑で働く人は腎臓病になってしまう?
中央アメリカ中部のニカラグア共和国のサトウキビ農園で働く人のCKD発症率が非常に高いという疫学データ1-3に始まり、近年では南インドやスリランカ・エジプトでも同様の報告4があるようです。
この原因のひとつとして、(気候と労働環境から)周期的に脱水症状を繰り返すと腎臓が障害されるということが提示されました。

☞脱水は腎機能低下の要因

また、脱水症状による腎障害の一因として、脱水症状になると体内のポリオール経路という代謝経路が活性化し、腎臓で「果糖」が合成され,この果糖が「フルクトカイネース」という酵素で分解されていく過程で腎臓に傷害をもたらすということがマウスの実験で示されました。※5
人為的に脱水症状を起こさせたマウスでは、血清クレアチニン濃度が上昇し,尿中のNGAL(急性腎障害の指標物質)が上昇、近位尿細管という腎臓の栄養成分等の再吸収に大切な組織が傷害され,腎臓の炎症や線維化が見られたそうです。5
脱水状態にならないように、暑い時期の水分摂取は腎臓を大切する上で非常に大切だと言われています。

☞暑い中脱水を繰り返したマウスはどうなった?
ネズミにストレスを与える実験では

こちらの論文※6では1日のうちに1時間,36℃の中で自由に水分を摂取できる環境下で4週間飼育したラットについて,腎機能に関する各種の分析が行われました。暑さに誘導された自由給水を伴う脱水症状の繰り返しは、抗利尿ホルモンの刺激により血しょうと尿が高浸透圧になり、その結果マイルドな尿細管の傷害と腎臓への酸化ストレスがみられたそうです。
マウスは以下の3種類(A~C)にわけいずれかの飲料を与えられていましたがどのグループが一番腎機能が落ちてしまったでしょうか?
A:普通の水
B:11%濃度のブドウ糖と果糖の溶液(一般的な清涼飲料の濃度だそうです)
C:甘いがカロリーのない「ステビア(人工甘味料)」の溶液

☞腎臓によい水分は次の内どれ?

答えはA。
Bの甘い水は、マウスがたくさん飲んでいたにも関わらず、より強い脱水症状に陥り、腎機能が悪化していました。
一方、Cのステビアで甘みを付けた水ではBに比べて、腎機能の低下はわずかでした。
人工甘味料のデメリットに関しては議論が分かれるところですが、どうしても甘いものが飲みたい時には、砂糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖などの表示がある飲料は避けた方が良さそうです。

☞甘い飲み物での水分補給に待った!

先ほどのマウスの実験がそのまま人で確認されている訳ではありませんが、夏場の水分補給、炎天下での運動中の水分補給には「ブドウ糖果糖液糖」というような成分の含まれるソフトドリンク類は避ける方がよいでしょう。また、スポーツドリンクや経口補水液には塩分も入っています。多量に飲むと塩分過多になるのでかえって腎機能を悪化させてしまいます。血糖値が上がり体内でのAGEも生成されやすくなります。

もちろんリンやカリウムの摂取制限がある方はそのあたりの濃度も確認必要です!気がついたら腎機能が非常に悪くなっていた!ということが少なくなるように,夏場の水分摂取には「量」も「質」も気をつけましょう!!

また、カフェインの入った飲み物やアルコールは利尿作用があるので注意が必要です。それらを飲む場合は余分に水分摂取をするようにしましょう。

 

参考文献

1.  Torres C et al.
Decreased kidney function of unknown cause in Nicaragua: a community-based survey.
Am J Kidney Dis 2010; 55: 485–496.

2.  O’Donnell JK et al.
Prevalence of and risk factors for chronic kidney disease in rural Nicaragua.
Nephrol Dial Transplant 2011;26: 2798–2805.

3.  Peraza S et al.
Decreased kidney function among agricultural workers in El Salvador.
Am J Kidney Dis 2012; 59: 531–540.

4.  Chatterjee R
Occupational hazard.
Science 352: 24–27, 2016.

5.  Roncal Jimenez et al.
Fructokinase activity mediates dehydration-induced renal injury.
Kidney Int. 2014 Aug;86(2):294-302.

6.Rehydration with soft drink-like beverages exacerbates dehydration and worsens dehydration-associated renal injury.
García-Arroyo et al.
Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2016 Jul 1;311(1):R57-65.
ちなみにラットの平均体温は37-38℃だそうで※7,36℃で1時間/日を4週間という条件は,我々が32,3℃で1日6時間を6日間ほど過ごすのを3.5年ほど経験するのと同じような感じでしょうか??(いくつかの値を参考にした推測です)となると近年の日本の気候と、この季節の温度,持続期間から考えて普通に生じうる環境ではないでしょうか?

7.  総務省
<平成12年度>高周波電磁波曝露による脳高次機能への生物学的影響評価 研究報告書

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dastec

投稿者: dastec

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「夏場は何飲む?腎機能を悪化させる飲み物にご注意を」への3件のフィードバック

    1. 申し訳ありません。
      一部、文章を書き変えました。
      水分補給には水が一番良いと思います。
      緑茶やコーヒーは体に良い成分も含まれているのですが、カフェインによる利尿作用もあるので、その分を加味して水分を追加補給して下さい。
      一方、動物実験の結果から最も腎臓に負担をかける飲み物は砂糖やブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖などで甘みを付けた清涼飲料でした。
      市販の飲み物を買う時には、成分表示を確認して下さいね。

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