純炭社長の研究日誌10、中外製薬を辞めたわけ

投稿日: カテゴリー 【純炭社長のつぶやき】

こんにちは。

純炭社長@糖質制限中の樋口です。

「どうして中外製薬を辞めたのですか?」
「脱サラなんて勇気がありますね」
と良く聞かれました。

ベンチャービジネスに身を置くようになって収入は半分以下になりました。

毎月20日ころになると資金繰りで胃が痛くなる日々が続きました。

中外製薬に残っていればそれなりの地位になれただろうと思います。

少なくともお金の心配をすることは無かったでしょう。

昨日のブログ「お金と幸せの答え」で紹介した川村元気の「億男」を読んでいて次のように考えました。

人間は明日を生きるために何かを欲する。

しかし、お金を手に入れるために生きる人生では幸せにはなれない。

お金は”生きるための欲”を満たすために使う手段でしかない。

私にとって”生きるための欲”は何なのか?

会社にとって”存在するための欲”は何なのか?

中外製薬での生活はいつのまにか、お金を得る手段でしかなくなっていました。

中外製薬の中で”生きるための欲”が感じられなくなってしまったのです。

私が作ったエポジンという薬は、ロシュが作ったミルセラという次世代型EPOに切り替えられることが決まっていました。

しかし、私はその選択に納得できませんでした。

なぜなら、患者にとっても会社にとってもメリットが無いから。

腎性貧血治療薬であるエポジンは腎不全患者さんが透析を受ける時に毎回投与されます。

しかし、ミルセラという薬は月に一回投与すれば良いというふれこみの薬でした。

普通の病気であれば週3回の注射が月1回になれば、通院回数が減るし注射の痛みも減るので良いに決まっています。

しかし、透析患者さんは週に3回、透析を受けに病院に来なければなりません。

ですから、月1回のEPO製剤が出ても通院回数が減る訳ではありません。

注射といっても透析回路のチューブに注射するので痛みが減る訳でもありません。

患者さん側には何のメリットも無いのです。

それどころか、ポリエチレングルコールを結合させたEPOを非生理的高濃度で投与することに不安さえ持っていました。

会社にとっても自社製品のエポジンからロシュ製品に切り替えれば利益は確実に減ります。

透析に入る前の保存期腎不全であればミルセラのメリットは生かせるが、透析患者はエポジンの方が良い!

なぜ、そんなことが分からないのか?

私はエポジンという薬を自分の子供のように愛していました。

育薬研究部を自らの手で作ってエポジンの研究を継続し、

副作用対応なども積極的に行ってきましたが、

ミルセラの育薬研究には情熱を傾けることはできない・・・・・

そう思った時が、中外での”生きるための欲”が消えた時だったのでしょう。

職業を変えるときに誰もが心配になるのがお金ですよね。

高校1年生と中学2年生の子供がいたので、私の場合もお金が心配でした。

幸いなことに妻は公務員なので収入はあります。

子育てが大変な時期、私が家事を分担することで妻が仕事を辞めずにすんだことが、

今になって私の背中を押してくれました。

我が家は私が家計簿を付けており、尚且つ、フィナンシャルプランナー講座も受講していたので、

子供たちが自立するまでの家計収支シミュレーションを何通りも考えました。

次の職が見つからずにバイトで働いたとしたら何年後に貯金が底をつくか?

月収50万だったらどうなるか?

何をどう節約すれば子供の大学卒業まで資金が持つか?

エクセルの画面を見ながらシミュレーションした結果、

最悪の場合でもなんとかなる!という結論に至ったのです。

純炭社長

投稿者: 純炭社長

純炭粉末の(株)ダステック代表取締役社長。中外製薬で腎性貧血治療薬エリスロポエチン(ESA製剤)の創薬に携わった後に、ESA製剤が不必要になる世の中(すなわち腎臓病が無くなる世の中)を目指して47歳で起業しました。元金沢医科大学腎臓内科非常勤講師。ケトジェニックダイエットシニアアドバイザー・AGE研究協会認定講師でもあります。「出す」健康法で健康寿命を延ばすのが夢! 最近は「腎臓にやさしい純炭社長食堂」のシェフとしてサラメシも提供しています(笑)。

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