年頭挨拶(食べる純炭きよらの社長紹介)
今さら?という話題ですが、
1月24日の健康産業流通新聞に弊社代表の年頭所感が掲載されました。
よく見ていただくと分かりますが、
ミドリムシで一躍有名になった東大発ベンチャーのユーグレナや大手素材メーカーと肩を並べての掲載です。
わが社もIPO間近でしょうか
などという冗談?はさておき、
弊社代表を務める樋口は四半世紀にわたって大手製薬会社の研究所に勤務し、
バイオ医薬の先駆けとなった腎性貧血治療薬「エリスロポエチン」の開発に取組みました。
腎性貧血とは腎臓病で起きる重篤な貧血のことです。
今から50年ほど前までは、腎臓病は移植以外には治療法がない死の病でした。
昭和40年代に日本でも血液透析が導入され、患者さんは命を取り留めることができるようになりましたが、
体に酸素を運ぶ赤血球の数が健常者の半分程度しかなく、仕事などの日常生活は大きく制限されていました。
腎臓が悪くなると貧血が起きる理由は簡単です。
赤血球を増やすホルモン(エリスロポエチン)が腎臓で作られるため!
腎臓は血液中の老廃物をこす濾過機能のほかに、ホルモン産生臓器としても働いていたのです。
昭和60年に中外製薬(株)新薬研究所に入社した樋口は毎日毎日、
再生不良性貧血患者の尿からエリスロポエチンを精製する研究に明け暮れました。
日本中の血液内科にフリーザーを設置して、患者様の尿を集め、宅急便で東京・高田馬場にある研究所に運びます。
朝会社に出社すると、キューブ状に凍結した10リットルの尿の塊をフリーザーから10個ほど取り出し溶かします。
100リットルほどの尿を遠心分離機にかけて固形物を除き、膜を使って濃縮する作業を徹夜で繰り返しました。
当時は遺伝子組換え技術を用いたバイオ医薬など無い時代。
腎性貧血患者も国内に20万人程度しかいなかったため、
エリスロポエチン製剤の年間市場規模も20億円程度と言われ、
研究チームに対する社内の風当たりはとても強かったといいます。
研究所内で行っていた尿処理作業は周りの研究室からの苦情で中庭に移され、プレハブ小屋の中で徹夜作業が続きました。
そして遂に世界で最も活性が高いヒト尿由来エリスロポエチンが生まれたのです。
この研究で培われた精製方法が遺伝子組換え体の製造にも使われ、
中外製薬初のバイオ医薬品「エポジン」は当初の売り上げ予想をはるかに上回り、
700億円/年を超えるフラッグシップ商品に成長したのです。
「階段を数段上っただけでも息切れがして動けなくなる患者さんが、
エポジンの投与によって元気に働けるようになった姿を見て涙が出た」
と当時を振り返ります。
あの感動を再び。
炭は世界を救うを合言葉にして、
人間の健康のため、地球の環境を守るため、
日夜研究を続けています。
樋口正人(ひぐちまさと)の略歴
1960年新潟県新潟市生まれ。
千葉大学大学院理学研究科修了後、
1985年中外製薬入社。
金沢医科大学発ベンチャー企業を経て
2009年に株式会社ダステックを設立。
金沢医科大学非常勤講師兼任
専門:生化学、血液学
著書:エリスロポエチンのすべて(共著:メディカルレビュー社)など
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- higuchi02