あなたと私の腸内細菌叢
こんにちは!水曜担当のスタッフM子です
本日の金沢は曇り空
空気が湿っていて涼しく,過ごしやすい感じです♪
さてさて,今日のブログネタは何にしよう…と数日前から悩んでおりました。
ふと目をやると,「週刊医学のあゆみ」の2012年10月13日号「小児腸内細菌叢と病態形成」が…。
以前社長文庫から借りてまだ読んでいない雑誌です
早速ひとつめのお話から読んでみたら…まぁなんと目からうろこな!!
びっくりするようなお話がいっぱいです!
東京大学大学院の服部 正平先生のご寄稿からいくつかM子が気になったポイントをご紹介いたしますと…
1) ヒト1人にはおよそ1000兆個の常在菌が生息!
うち,腸内にいるのは100兆個と言われます。ちなみに我々の体を形作っている細胞数は約60兆個と見積もられています。体細胞より細菌の数の方が多い!!
2) 地球上には約70門の細菌種が見つかっているが,ヒト常在細菌叢の大部分はわずか4門で形成されている!
長い進化の過程で,ヒトの環境に適応した一部の菌種が増えているのですね~
3) 双生児(遺伝的に同一),家族間(生活環境が似ている)の腸内細菌叢の類似性は他人の間の類似性と区別できるほど高くない。
人はそれぞれ独自の腸内細菌叢を持つ!遺伝的素養や生活環境が似ていても腸内細菌叢には違いが…!
なんと~!
双子でも,また同じような生活をしている家族間でも腸内細菌叢は違うのですね~!?
なんだかびっくりです。
4) 腸内細菌叢の菌種には個人差があるが,遺伝子組成に大きな個人差はない。
必要とする腸内細菌の働き(機能)の面からいくと,ヒトはみな同じようなものを求める…でもその遺伝子(働き,機能)をどの菌種のものから得ているかは個人差があるってことですかね?
とはいいつつも,
5) 「乳児と離乳食以降の大人」は腸内細菌叢の構成が随分異なる。また,『「タンパク質・脂質等栄養状態がよく,摂取する食物の種類が多い民族」と,「地域的には離れていても食事が低タンパク質・単純な糖質摂取と似ている2種の民族」の3種間の比較』では食生活が近い者同士の腸内細菌叢が似ている。
食事の成分や食習慣はどういった腸内細菌叢を持つかに大きな影響があるようです。
文中には「大人の腸内細菌叢は総じて頑丈で,一生を通じて大きく変化しない」とありました。
ってことは,おなかの調子や腸内細菌たちの働きで影響を受けているといわれるさまざまな疾患を,宿主である個人の好ましい状態にするには,個々人が現在持つ腸内細菌叢の種類間の生存競争を,好ましい菌種優勢に持っていくことが大切!という話の説得力が増すのかな?
であるならば,そのための一手段として,生育環境を好ましい状態にすると考えられる純炭吸着剤を上手に使っていくことが大切なのではなかろうか~
腸内細菌はヒトに欠かせない共生生物ですが,一方でこれらがタンパク質を構成するチロシンからp-クレゾール,トリプトファンからインドールなどをつくり,これらは血中に移行して尿毒性物質となるということはよく知られています。
純炭はこうした物質を腸管で吸着し体外へ排出する働きもあり,こういったものを上手に利用することで,腸内細菌とよりよいお付き合いをしていくことが大切なのではないでしょうか?
ちなみに日本人特異的な腸内細菌の遺伝子として海苔などの水生植物の多糖類を分解する酵素があるそうな。
日本人の80%は持っているけれど,欧州の方は2,3%しか持っていないんですって!(これは仏の研究者チームによりnatureという最高峰の論文雑誌に掲載された文献のようです)
服部先生のところでも日本人に特徴的な細菌遺伝子をみつけていらっしゃるそうで,今後徐々に発表されていくことと思われます。
2008年から日本,米国,欧州,英国,豪,カナダなどが参加のヒト常在細菌叢の解明を目指した国際コンソーシアムが組織されたり,これとは別に米国とEUでは各々独自の国家プロジェクトがあったり…腸内細菌や人体の常在菌はかなり注目されているようです!
分子生物学や情報処理の技術革新が進んで,細菌自体の単離ができなかったり培養ができなくても,遺伝子情報を,しかも大量のデータを得て取り扱うことができるようになりつつあります。
その結果,こうした分野も解析が進められつつあるようで…新たなことがこれからもどんどん明らかになっていきそうでわくわくしますね
今後も気になる話を随時ご紹介できればと思っております~
- この記事を書いた人
- DF