ディスバイオーシスを遠ざけよう!慢性腎臓病(CKD)と腸内環境の深い関係
目次
腎臓病と腸内環境
腸内環境は古くから免疫機能と関係していることが知られていましたが、その後、肥満・心臓病・認知症・糖尿病、大腸がんなど様々な病気とも関係していることが報告されてきました。
つい最近では顔面の皮膚老化と腸内環境が関係しているとの論文も出ているんですよ。
当然のことながら、腸内環境と腎臓にも深い関係があることが分かっています。
さて、腸内環境を左右する腸内細菌は、体内にどれくらい住んでいるかご存知でしょうか?
共生する細菌たち
人間の腸の中には約100~1000兆個の腸内細菌が住み着いており、その重さは脳とほぼ同じ1.5㎏にも及びます。
私たちの体は、約37兆個のヒト細胞と、100兆~1000兆個の腸内細菌に加え、皮膚や口腔内にすみ着いている様々な常在細菌で成り立っています。
細胞の個数で言えば、私たちの体は『人間(ヒト細胞部分)が10%、残りの90%は共生する細菌たち』と言える訳です。
細菌たちが暴走すると
わたしたちと一緒に暮らしている“細菌たちの存在”を無視すると、人間の体はどうなるでしょうか?
近年、共生する細菌たちと人間の健康に関する研究が進み、病気の原因となりうる腸内細菌の乱れを『ディスバイオーシス』と呼ぶようになりました。
更に慢性腎臓病(CKD)ではこの『ディスバイオーシス』が生じやすいことがわかってきたのです。
慢性腎臓病と腸内細菌叢
腎臓病の人と、健康な人の腸内細菌叢と比べると、善玉菌が減っていることが分かっています。
ちなみに、善玉菌とはビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌などの人間に有益な物質を体内で作ってくれる腸内細菌をさします。(善玉菌については巻末付録もご覧ください)
逆に、腎臓病の人の便からは以下の種類の細菌が増加しているということもわかっています。
・Brachybacterium(ブラキバクテリウム) ・Catenibacterium(カテニバクテリウム) ・Enterobacteriaceae(エンテロバクテリエイシス) |
※現在のところ…どうしてこの菌が増えるのか?増えたことによる弊害は何か?などの詳しいメカニズムは分かっていません。
腎臓病で生じる腸内細菌叢の異変
『腎臓が悪くなったからディスバイオーシスが起こるのか』
『ディスバイオーシスが起こった結果、腎臓病になってしまうのか』
鶏が先か?卵が先か?は(今のところ)わかっていません。
しかし、慢性腎臓病と診断される段階では既にディスバイオーシスの状態であり、ディスバイオーシスを正す(腸内環境を正常化する)ことが腎臓病の改善につながると考えられます。
ディスバイオーシスが腎機能を落とすメカニズム
まずディスバイオーシスによってリーキーガットが起こります。
リーキーガットとは腸のバリア機能に障害が起こっている状態で、腸内細菌叢が変化することで腸壁の細胞や、腸の粘膜層にダメージが生じます。
その結果、本来は腸から吸収されない有害物質(菌・ウイルス・たんぱく質等)が、弱った腸壁から血中へ流れ込んでしまいます。
そして、腸から流れ込んだ有害物質が引き金となり、腎臓内や全身に慢性炎症が起こり腎機能の低下につながると考えられています。
腎機能が低下すると尿毒素がたまる
腎機能が低下していくと、本来は尿として排泄されるべき尿毒素を上手に捨てられなくなり、血液中に尿毒素が溜まってきます。
(しかも、その尿毒素を作っているのが、諸悪の根源である腸内の悪玉菌です。)
すると、蓄積した尿毒素が更に腎機能を低下させる・・・という悪循環の構図が出来上がってしまいます。
ディスバイオーシスを遠ざける方法
そこで、純炭粉末公式専門店からご提案したいことは、『まごはやさしい』食生活の実践です。
ま (豆) | 食物繊維が豊富(なんとゴボウの2倍、さつま芋の3倍) ポリフェノールも豊富で免疫力UPに効果的です。 | |
ご (胡麻) | ごまやナッツ類には良質な油が多く含まれ、便秘解消に効果的。 食物繊維や、活性酸素を抑えてくれるポリフェノールも豊富。 | |
は (若芽) | ワカメだけでなく、海藻類全般に含まれるネバネバ成分は“水溶性食物繊維”ですので善玉菌の大好物です。 1日1食は海藻(目標40g)をメニューを取り入れると◎ | |
や (野菜) | 多種多様なビタミンやミネラル、食物繊維が豊富。 いろんな種類の野菜を摂るようにしましょう。 | |
さ (魚) | 良質な脂質(EPA・DHA)が豊富。 魚に含まれるグルタミンが腸を動かすエネルギー源に。 | |
し (椎茸) | 食物繊維が豊富。 きのこに多く含まれるベーターグルカンは免疫を活性化します。 | |
い(芋) | 不溶性食物繊維と水溶性食物繊維両方が含まれている。 善玉菌のえさとなります。 |
食物繊維は善玉菌の餌となり、食物繊維を多く含む食事が腎保護効果を示すことは動物実験でも示されています。
多種多様な食物繊維を摂ることは腎臓病に良いと言えるでしょう。
カリウム制限がある場合は
病院でカリウム制限を指導されている場合は、野菜や根菜類を避けてしまい、食物繊維不足でディスバイオーシスに陥ることがあります。
野菜を水にさらしたり、茹でこぼすなどしてカリウムを洗い流し、残った食物繊維(この場合は不溶性食物繊維が主となると思います)をしっかり摂ってくださいね。
また、水溶性食物繊維はイヌリンや難消化性デキストリンなどのサプリメントで補給するのも良いとおもいます(ちなみに「きよらプレミアム」は水溶性食物繊維を4,000 mg配合しており、カリウムやリンが極めて少ないのが特徴です)。
たんぱく質制限がある場合は
「たんぱく質は尿毒素に変わるので減らした方が良い」と考える前に、たんぱく質の食べ方を見直しましょう!
本来、たんぱく質は小腸で消化吸収されますが、一度にたくさん食べると未消化のたんぱく質が大腸に運ばれて悪玉菌の餌になり尿毒素が増える原因になります。
ですので、たんぱく質は朝・昼・晩3食まんべんなく食べるようにしてくださいね。
朝食と昼食はパンやおやつで軽くすませ、夕食にたんぱく質を集中させるのは腸内環境にも腎臓にもよくありません。
善玉菌に「住みやすい腸」と思われるために
多種多様な細菌たちに、『これさえ食べれば大丈夫』という考えでは太刀打ちできません。
様々な善玉菌たちに「この腸内は住みやすい!」と思ってもらうには、単一の栄養素では不十分です。
善玉菌が好む『多種多様な栄養素を含んだ食材をまんべんなく摂ること』(まごはやさしい)を毎日の食事に取り入れてみて下さいね。
~巻末付録~身近な善玉菌たち
乳酸菌 | 発酵によって乳酸を作り出し、悪玉菌の繁殖を抑制します。 ヨーグルトやチーズ、漬物など |
酵母菌 | 糖をアルコールと炭酸ガスに分解するはたらきがあり、糖が体内に吸収されるのを抑制。 また、酵母自体に食物繊維が含まれているので腸の働きをたすける。 ビール、ワイン、パン、日本酒、紅茶、味噌、醤油、漬物、かつお節、塩辛、くさや、納豆など多くの発酵食品の発酵工程で酵母が作用している。 |
酢酸菌 | アルコールから酢酸を作り出す菌。 免疫機能を整えたり、アルコールの分解を助ける為肝臓の負担も軽減する。 お酢のほかにナタデココもこの菌が作り出す。 |
麹菌 | たんぱく質をアミノ酸に分解する様々な酵素を作り出す。 腸内で乳酸菌を増やし、腸内のバリア機能(ムチン層)を増やすことなども分かっている。 味噌、醤油、みりん、米酢、甘酒、日本酒、焼酎、漬け物など、日本由来の発酵調味料や発酵食品の多くに麹菌が用いられている。 |
枯草菌 | 納豆菌もコレの一種。 たんぱく質や炭水化物を分解する酵素を産出し、それらの酵素が腸の消化活動を助け便秘解消に一役買う。 過酷な条件下でも生き延びることができ、生きて腸に届く。 |
(2023.4月号として配布した「きよら通信」を加筆修正しました)
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- ゆっきー
美味しいものを食べることと、山登りが趣味の”ゆっきー”です。
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