慢性腎臓病(CKD)の疑問&お悩み解決1~腎臓病と食事編~
目次
Q.食事に気を付けていてもカリウムがなかなか下がらない。何か良い方法はありませんか?
腎機能が落ちてくると、腎臓からカリウムを十分に捨てることが出来ず、体内のカリウム濃度が高くなりすぎることがあります(これを高カリウム血症と呼びます)
カリウムそのものが腎臓に悪さをするわけではないのですが、高カリウム血症が重症化すると不整脈が起こりやすくなり、心臓が止まってしまうこともあるので、病院の先生は心配するわけです。
先生からの指示でカリウム制限をしている人は、野菜や果物を自由に食べられず、水にさらしたり茹でこぼす…等の手間も大変ですよね。
また、野菜や果物の摂取量が減ってしまうと、微量ミネラルやビタミン摂取量が減ってしまったり、食物繊維不足で便秘になったり…弊害が出てきてしまう事もあると思います。
現在では、カリウムの吸着剤(高カリウム血症治療薬)が主に3タイプ出ていますので、上手に薬を利用しながら食事もとれるようにできないか、先生に相談してみましょう。
(参照:【薬剤師執筆】カリウム吸着薬の使い分け | こころセルフ (kokoroself.com))
薬の種類 | 成分 | 特徴 | その他 |
ケイキサレート | ポリエチレンスルホン酸ナトリウム | ナトリウムが含まれるので、塩分制限がある人や、高血圧の人、むくみがある人は注意が必要。 便秘の頻度は少なめで、逆に下痢を起こすことも。 | 散剤とドライシロップから選べる |
カリメート | ポリスチレンスルホン酸カルシウム | カルシウムが含まれるため、高カルシウム血栓に注意が必要。便秘の頻度がやや高く、腸閉塞などの弊害も。 | ジェネリックのアーガメイトゼリーも広く使用されている。 |
ロケルマ | ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物 | 非ポリマー性で水分によって膨潤しないため、便秘・腸閉塞・腸管穿孔といった副作用の回避ができる。 カリウムイオンに対する選択性が高い為、カルシウムやマグネシウムを含む薬剤等により効果が減弱することも少ない。 | 透析のある日は服用しない。 |
薬の副作用でもカリウムが高くなることも知られています。
一部の降圧剤(ACE阻害薬・ARB)や一部の利尿剤(カリウムを保持するタイプのもの)は、高カリウム血症の原因となる場合もあります。
カリウムの値を食事でうまくコントロールできない場合は、カリウム吸着剤を検討したり、既に出ている処方薬で副作用が起きていないか、先生に相談してみるのも一つの手ではないでしょうか。
≪注意≫カリウム制限は全ての慢性腎臓病(CKD)の方に当てはまる訳ではありません
カリウムは生きていくうえで必要なミネラルですし、塩分(ナトリウム)を排泄する作用もあります。
不必要なカリウム制限で低カリウム血症に陥ると、筋力低下や筋肉の痙攣、不整脈を起こすことがあるので、自分はカリウムを制限する必要があるのか?を主治医の先生に確認してくださいね。
Q.腎臓病でオススメのおやつがあれば教えてください。
塩分量を気にして、甘いおやつを選びがち…でもたまにはしょっぱいおやつも食べたい!オススメはありませんか?とのご質問をいただきました。
オススメのおやつはズバリ、ナッツです(但し、無塩で素焼きのものを選んでください)
ナッツには良質な油や栄養素がつまっています。
種類 | 特徴 |
アーモンド | 食物繊維やビタミンEが豊富。ビタミンEには抗酸化作用があるので、老化や免疫機能の低下、動脈硬化の予防が期待できます。 |
ピーナツ | ほかのナッツと分類は違い、豆の仲間です。ナイアシンが豊富で血行をよくする作用が期待できます。 |
クルミ | 多価不飽和脂肪酸を多く含み、高血圧や生活習慣病の予防が期待できます。 |
ピスタチオ | 近年流行りの黄緑色をしたナッツ。ビタミンB6が豊富に含まれており、免疫機能の維持に役立ちます。 |
マカダミアナッツ | 可食部の70%が脂質で、その脂質の多くはオレイン酸をはじめとした一価不飽和脂肪酸です。 |
カシューナッツ | マグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラルが豊富。他のナッツ類に比べてカロリーも控えめ。 |
ヘーゼルナッツ | 鉄や銅などのミネラルや、パントテン酸、葉酸などが多く含まれます。粘膜を強くし、病気に対する抵抗力を高めてくれることが期待できます。 |
ナッツを食べるときの注意点が2つあります。
①酸化しないように気を付ける
開封したら早めに食べる。
嫌な臭い(酸化臭)がしたら食べずに捨てる。
個包装のものを選ぶのがオススメです。
②適切な量を食べる
何事も食べ過ぎは×。
目安は1日25g程度とし、いろんな種類を少しずつが◎
様々なナッツで満足感もアップしますよ。
≪注意≫カリウム制限の指導を受けている場合は食べすぎに注意が必要です。1日にどれくらい食べて良いか?を主治医や管理栄養士に確認してくださいね。
Q.腎臓病の人は乳製品を食べても大丈夫か?
腎臓病の人が乳製品の摂取を懸念する理由は、『リンが多いと聞いたから』ではないでしょうか?
病院でタンパク質制限(リンを摂りすぎないように)と言われていなければ、特に乳製品だけを避けすぎる必要はありません。
ただし、現段階では、腎臓病でなくても乳製品を積極的に摂るべきか否かという問題は、議論が分かれています。
メリット | 体に必要なすべてのアミノ酸が含まれている。カルシウムやビタミンAも豊富。安価で保存性も高い。 |
デメリット | アレルギーや病気の原因になりやすいとの説があります(カゼインによる慢性炎症、乳糖による消化不良、前立腺がんや乳がんとの相関が指摘されている) |
牛乳に含まれるカゼインは、人間の母乳に含まれるものとは種類が異なり、腸管の炎症を引き起こしやすく、慢性的なアレルギーの原因になりやすいものです。
牛乳の摂取に関する研究はまだわからないことも多いので、研究がすすむのを待つほかないのですが、デメリットの可能性がある以上、積極的に摂らなくても良いのかもしれません。
なぜなら牛乳の栄養素はほかの食品からでも代用は可能だからです。
牛乳が好きで飲みたい!という人は、低温殺菌でノンホモ牛乳(乳脂肪分を均質化していない牛乳)を選ぶのがオススメです。
消化吸収が緩やかなため、ホモ牛乳(均質化したもの)に比べてお腹を壊しにくいそうです。
Q.腎臓病の人の塩分の選び方、精製塩と天然塩のどちらがよい?
塩にもいろいろな種類がありますよね。
慢性腎臓病(CKD)や高血圧の場合、「塩分を摂りすぎないように!」と言われることが多いので、なるべく体に良い塩を選びたいと思うのは自然なことです。
弊社の代表である純炭社長が愛用しているのは精製塩。
しかも、イオン膜を使っている精製塩を選んでいるそうです。
健康オタクの純炭社長が精製塩を選んでいると聞いて、ゆっきーは不思議に思いましたが、その理由を聞いてみると…
精製塩をすすめる理由
『理由は簡単!有害物質を摂りたくないから』 『世の中には天然は安全、精製されたものは危険という摩訶不思議な説があるけれど、そんな単純なものじゃない! 海水を煮詰めて作った塩はミネラル豊富で確かに美味しい。 その理由は、塩味のもとである塩化ナトリウムの他にマグネシウムやカリウムなど様々成分が混じっているから。 でも、海水には体に良い成分だけが含まれている訳じゃない。 工場排水だって農薬だって海に流れ込んでいるでしょ? 海に捨てられたプラスチックが細かく砕けたマイクロプラスチックだって海水には含まれている。 だから、海水を天日で乾燥させたり窯で煮詰めて作る天然塩は積極的には使わないようにしているんだ。 体に必要なミネラルは塩以外からも摂れるからね。 でも、刺身にスダチをしぼって塩をパラパラっとふって食べるときには、能登の揚げ浜塩を使ってるよ(笑)』 |
なるほど~
腎臓への負担を考えると精製塩が良いのかもしれないけれど、何事もストイックになりすぎずに、それぞれの塩の特徴を知った上で、適度に使い分けながら食を楽しむ事が大切なのかも…
と納得したゆっきーなのでした。
- この記事を書いた人
- ゆっきー
美味しいものを食べることと、山登りが趣味の”ゆっきー”です。
きよら通信やブログはゆっきーがお届けしています。
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「慢性腎臓病(CKD)の疑問&お悩み解決1~腎臓病と食事編~」への4 件のフィードバック
精製塩の方がリスクが少ない・・・目から鱗でした。
いつもブログの感想を頂き、誠にありがとうございます。
たしかに未精製の塩の方が風味が豊なこともありますが、体に取り入れたくない不純物が含まれてしまう事は心配ですよね。
純炭社長のように、使用する量や調理方法によって塩を使い分けるのも賢い方法だと思います。
ぜひお試しくださいね。