慢性腎臓病(CKD)の食事制限で不足しがちな栄養素を養う”チョイ足し食材”のススメ
腎臓病の食事は、あれもダメ、これもダメ…(※)という情報が多く、ストレスが溜まりますよね。
しかも、頑張って制限食を避け続けていたら、なんだか元気が出ない、体重が減ってしまった、便秘になって検査値も思うようにいかない(涙)という方はあなただけではありません。
(※)カリウムやタンパク質の制限は自己判断で行うと危険です。食事制限が必要かどうか、必ず主治医に確認しましょう。
そこで、腎臓を労わりながら楽しいお食事になるコツをお届けします。
目次
手軽に腎臓を労わる食事方法ってないの?
腎機能が不安な人は、
・塩分控えめ
・生野菜控えめ
・たんぱく質控えめ
・加工食品はダメ
・添加物はダメ
・電子レンジも要注意
・・・といった、「とにかく制限する食事」の情報があふれています。
でも、忙しいし、面倒だし、なかなか実践できない(+o+)…と思いませんか?
そこで、今回は「制限」ではなく「ちょい足し」の食事方法をご紹介します。
なんとなく元気が出ない…は食事が原因かも?
病院の食事指導を受けて、”たんぱく質やカリウムが諸悪の根源”と思い込み、やみくもに制限をしすぎてしまったり、量を計算するのが大変で、単一のメニューに偏ってしまうことがあります。
また、食事制限する必要がなく、医師の指導を受けていないのに、ネットや書籍の情報を見て、自己流の制限食メニューに偏ってしまう人が多いのも事実です。
栄養のバランスが取れていないと肉体だけでなく、精神的に不安定になることも知られています。
なんとなく元気が出ないなぁ…
いつも気分が晴れないなぁ…
そんな日がつづく場合は、もしかしたら必要な栄養が足りていないのかもしれません。
参考:心の健康にも食事は大切!メンタルヘルスと栄養の関係(サワイ健康推進課)
6大栄養素をバランスよく食べるのが理想
人間の身体は筋肉・骨・臓器などの組織で出来ていますが、この材料が1群(たんぱく質)と2群(ミネラル)。
身体を動かすエネルギー源が5群(炭水化物・糖質)と6群(脂質)
身体が滑らかに活動するための潤滑油的な役割(ビタミン類など)が3群(緑黄色野菜)と4群(その他の野菜や果物)
更に、心身の健康維持に重要であることが分かってきた「腸内細菌」の餌となる食物繊維が1~5群に含まれています。
偏った食事を続けるとどうなるの?
制限食で栄養素が偏った食事を続けると、身体はどうなるのでしょうか?
たんぱく質が足りなくなると、筋肉があっという間に減ってしまったり、免疫力が低下して病気にかかりやすくなることも。
一方、たんぱく質の食材でも、卵や肉に偏って魚介類は食べない…といった食生活では、腎臓を守るオメガ3脂肪酸が不足するなど、足りない栄養素が出てきてしまいます。
また、一皿で済むメニュー(うどんだけ、丼だけなど)を多用していると、野菜が足りない、炭水化物の摂りすぎ…といった食材の偏りがでてきます。
食材の偏りがつづくと体に必要なミネラルも不足してしまうので、様々な弊害が起こります。
参考:偏食が健康に与える影響(サントリーウェルネスオンライン)
いつもの食事にチョイ足しのススメ
そこで、いつもの食事に少しだけ工夫して、腎臓にも優しく簡単に食事を改善するワザを試してみてください。
今回ご紹介するのは、スーパーですぐ手に入る食材ばかり!
しかも、簡単なチョイ足し作戦はたった3種類だけです。
チョイ足しその1
液体をチョロリ(酢と良質の油)
食卓やキッチンにボトルを出すだけで、簡単にチョイ足しできますね。
その液体は、酢と良質の油です。
酢・・・三杯酢や寿司酢はNG、砂糖などの他の調味料の入っていない物を 減塩で味気ないメニューのお助けマン! 血糖値の上昇を抑えたり、血圧低下や内臓脂肪減少も期待できます。 酢に含まれる成分が消化吸収を助けたり、腸内環境も整えてくれます。 酢の物に使うだけでなく、サラダやスープ、焼き魚や揚げ物にかけたり、食前に大匙1杯を水で薄めて飲むのもオススメ。 参考:酢の力(mizkan) | |
良質の油(その1)・・・亜麻仁油・えごま油・しそ油 青魚やナッツ類に多く含まれるオメガ3が豊富な油です。 血管をしなやかにして、動脈硬化を予防するので腎臓にも◎ 毎日摂るのがベスト。 毎日魚を食べるのが面倒でも、これらの油なら手軽に摂れます。 毎食小さじ1杯程度プラスしてみましょう。 注意点:熱に弱いので加熱調理はダメ、そのまま食べましょう。 酸化しやすいので嫌な臭いがしたら絶対に口にしない! 小瓶を買って短期間に使い切るのがベスト。 参考:オメガ3脂肪酸は腎機能を守る(満尾クリニック) 良質の油(その2)・・・エクストラバージンオリーブオイル 認知症の発症を防ぐ効果が報告されています。 他にも心血管病やがん、パーキンソン病のリスクを抑える可能性あり。 注意点:必ず、エキストラバージンオイルを選ぶ。 酸化しやすいので嫌な臭いがしたら絶対に口にしない! 小瓶を買って短期間に使い切るのがベスト。 参考:地中海食の特徴(健康長寿ネット) 良質の油(その3)・・・MCTオイル 昔から腎臓病食に使われてきたMCTオイルはカロリー補給に最適な油です。 他の油とは違う方法で体内に吸収されるので、速やかにエネルギーに変わります。 酸化し難いので常温保存が可能。毎食小さじ1杯程度プラスしてみましょう。 注意点:炒め物や揚げ物には使えません(発火点が低く140℃で煙がでます) 参考:高齢者の低栄養を改善する「MCT」(日清オイリオ) |
チョイ足しその2
乾物をパラパラ(無塩のものを選ぼう)
いつもの食事にパラリと少量かけるだけなら、リンやカリウムもそこまで気になりません。
冷凍庫等で保存もきくのでとっても便利。
少し加えるだけで、風味が増したり、見た目にも食卓が華やかになりますよ。
いつものメニューをアレンジして、パラパラ振りかけてみて下さいね。
胡麻・すりごま いつものお浸しや、きんぴら、酢の物などに胡麻をプラス! | 海苔 味のついていない刻みのりを常備して、麺類やサラダにプラス! |
ちりめんじゃこ・しらす 減塩の物があれば尚よし◎少しずつかけて残りは冷凍しておけばGOOD! | 青のり・あおさ 粉もの以外にも、卵焼やポテトサラダに加えても美味しいです! |
わかめ 乾燥ワカメをパパっと入れて、お味噌汁や煮物にプラス! | かつおぶし・おかか うまみがプラスされるので、きんぴらに入れたり味噌汁にトッピングしても◎ |
きなこ ヨーグルトや豆乳、牛乳にプラスすればおいしくて栄養価UP! | 無塩のミックスナッツ (くるみ、アーモンド、カシューナッツなど) 無塩で小分けパックのものを選ぶのがオススメ。 袋の上から砕けばすりごま感覚で使えます。 サラダや炒め物やヨーグルトにトッピング◎ |
チョイ足しその3
薬味をチャッチャ(なるべく生のものを刻んで)
細かく切って常備しておけば、いつものお料理に加えたり、下味をつけるときにも手軽に使えてGOOD。
一度に使い切れなくても、刻んで冷凍しておけるものもあるので、チョイ足し食材にもってこいです。
薬味の風味が加わるだけで食欲もそそり、減塩効果もありますよ。
チューブで売っている薬味には防腐剤などの添加物が入っている場合があるので、できれば生のものっを。
紫蘇 意外と季節を問わず買える食材 刻んでトッピングでさわやかな風味 | ねぎ 定番のネギは万能薬味 刻んで冷凍すると便利です |
にんにく 炒め物でも焼く前に少し入れると風味がUP 食欲をそそります | しょうが 刻んで炒め物に入れたり すりおろしてお味噌汁などに入れても◎ |
わさび マヨネーズ等とまぜてわさびドレッシングに 減塩効果が期待できます | 三つ葉 お吸い物以外にも、ちょっと添えるだけで さわやかな香りが広がります |
パセリ 刻んで冷凍しておくと便利 いろどりが良くなります | みょうが お庭がある人は植えてみても◎ 収穫時には次々と生えてきます |
柑橘(汁や皮をきざんで) 絞り汁は酢の代わりに使えて減塩にも◎ 皮も刻んで風味づけに使えます |
いつもの納豆もチョイ足し作戦で大変身!
市販の納豆に付属のたれ(添加物が多いかも?)をかけるよりも…
①亜麻仁油ちょろり
②胡麻とかつお節パラパラ
③ねぎと生姜をチャッチャ
ほんのすこーしお醤油をたらせば、添加物も抑えられて減塩にもなり、なにより満足度も大きいですね。
先程ご紹介した食材を組み合わせれば、あたらしい美味しさも発見できるかも?
ぜひ試してみてくださいね。
2月にオススメなツボ『井穴(けいせつ)』
寒さのせいで、冬場は自律神経が乱れがちです。
そんな時は爪の生え際(←写真の青い点)を揉んでみましょう。
このツボを揉むと、副交感神経が刺激されてGOOD。
指1本あたり10秒ほど揉んでみてくださいね。
両手10本全部揉んだら、小指のツボ(腎臓にはおすすめ)をもう一度念入りに。
ぜひ試してみてくださいね(^o^)/
(2024年2月、きよら通信2020.2月号の内容を加筆修正しました)
- この記事を書いた人
- ゆっきー
美味しいものを食べることと、山登りが趣味の”ゆっきー”です。
きよら通信やブログはゆっきーがお届けしています。
また、お電話で商品をご注文のお客様は”ゆっきー”が電話対応させていただくことも。お客様に安心してご購入いただくことを信条としていますので、ご相談から世間話までお気軽にどうぞ♪いつも元気と笑顔がモットーです( *´艸`)
「慢性腎臓病(CKD)の食事制限で不足しがちな栄養素を養う”チョイ足し食材”のススメ」への1 件のフィードバック
[…] 先月号は“腎臓を養うチョイ足しのススメ”についてのお話でした。 ダメなものを避けるあまり、大事な栄養が足りなくなって逆に健康を損なうことも。食事制限をしている人は栄養素が偏りやすいので1日20品目以上を目標にしましょう。 ①酢と良い油をチョロリとかけよう 塩や砂糖が入っていない酢とオメガ3の良い油(えごま油など)を食卓に常備して、毎回食事にかけましょう。血糖値の急上昇を抑えたり、減塩、血管の病気の予防に役立ちます。 ②無塩の乾物をパラパラかけよう いつものメニューにプラスすることで、微量な栄養素を補えるほか、食事の満足度もアップできます。胡麻・海苔・しらす・青のり・かつお節・きな粉・ナッツ等取り入れてみてくださいね。 ③薬味をチャッチャと加えてみよう 薬味の風味を加えるだけで、食欲をアップさせて減塩もはかどります。生姜・ねぎ・にんにく・わさび等(なるべくチューブ売りではないもの)、いろんな料理に使ってくださいね。 […]