こんにちは。純炭社長の樋口です。
あなたは何か月ごとに血液検査を受けていますか?
毎月ですか? 3か月に1回?
純炭粉末公式専門店の純炭ブログでは、これから4回にわたって「血液検査の読み方」を解説し、数値を改善するための治療法や「腎臓に良い食べ物」・「腎臓に良い生活習慣」を紹介したいと思います。
目次
貧血とは
貧血とは身体の隅々に酸素を運ぶ赤血球が少なくなっている状態のこと。日本人は貧血を軽く見すぎてていて「多少の貧血なんて慣れてしまえば何でもない」と考えている日本人は多いのですが、貧血はりっぱな病気です!
動機や息切れはありませんか
ちょっと体を動かすと動悸や息切れを感じませんか?
少ない赤血球で身体の隅々まで酸素を届けるために心臓が無理をして働いていたり、血液中の酸素と二酸化炭素のバランスが崩れてしまうために呼吸困難に陥ってしまうのです。
更に腎臓病患者の貧血(腎性貧血といいます)は心腎貧血症候群(CRA症候群)といって、心不全-腎臓病-貧血が負のトライアングルとなって進行していくので要注意!
腎臓病が原因の貧血には治療薬がある
でも安心してください。
40年ほど前は輸血しか治療法が無かった腎性貧血ですが、今では優れた薬が数多く開発され、他人の血液を輸血しなくても治せるようになりました。
心臓や腎臓を守るためにもあなたの貧血度合いをチェックしてみてくださいね。
【参考】CRA症候群とはどのような概念ですか -公益財団法人 日本心臓財団
ヘモグロビン値
さて、貧血チェックで一番最初に見るべき項目は、ヘモグロビン。血液検査の結果には、HGBやHbと略されていたり血色素と書かれている場合もあります。
ヘモグロビン値(HGB Hb)の正常値 | |
男性 | 13.5~17.6 g/dL |
女性 | 11.3~15.2 g/dL |
※正常値は検査センターによって微妙に異なる場合があります。純炭粉末公式専門店のブログでは大手検査センターであるSRLが公表している基準値を正常値として用いています。
腎臓病患者の正常値は低めの値
あなたのヘモグロビン値は正常値よりも低い「L」と書かれていませんか?
でも心配しなくて大丈夫です。腎臓病患者のヘモグロビン値は11~13 g/dLが正常値なので、男性の大半が「L」マークになってしまうのです。
腎臓病だと赤血球が減る
なぜ慢性腎臓病(CKD)だとヘモグロビン値が低くなってしまうのでしょうか。
じつは「赤血球を増やせ!」という号令をかけるホルモン(エリスロポエチン、以下EPOと略します)は腎臓で作られています。
腎機能が低下するとEPOがうまく作られなくなり、赤血球が徐々に減っていって貧血に陥ります。
腎性貧血には注射で治療
そこで、貧血がひどくなってしまった腎臓病患者さんには、注射でEPOを補充できる薬があります。この注射をすることで、赤血球数を調節することができます。
手前みそですが、このEPO製剤(以下ESA)は純炭社長が中外製薬で創薬に携わった薬です。
開発秘話を純炭粉末公式専門店ホームページの開発者プロフィールにて公開しているので読んでみてください。
【参考】腎性貧血 -日本腎臓学会
貧血の数値管理は医師の腕の見せ所
お医者さんの匙加減が良いと、ヘモグロビンは11~13の間に収まります。13を大きく超えてしまうと血栓ができて血管が詰まる可能性が高まりますし、11に満たない場合には貧血の改善が不十分です。
ですので、如何にへモグロビン値を11~13で維持させるかがお医者さんの腕の見せ所なのです。
値のうちにおさまらない場合は?
とはいえ、注射の量や種類を変えてもヘモグロビン値が11~13に収まらない場合もあります。13を超えてしまう場合には薬の量を減らしたり、瀉血(血液を抜く治療法)で対応できます。
しかし、問題はEPO製剤を投与していてもヘモグロビンが11に満たない場合です。
EPO製剤が効かない場合も
あなたが貧血を治す注射を打っているのにヘモグロビンが11未満だったら、次に見る項目がMCV(平均赤血球容積)とMCH(平均赤血球血色素量)です。
MCVとMCHが正常値よりも低く「L」マークがついていたらヘモグロビンの原料である鉄が足りていない鉄欠乏性貧血なので鉄の補給が必要です。
鉄不足が原因に
鉄が足りているか?を知るためには以下の項目をチェックしてください。
血清鉄 | 正常値は男性54~200、女性48~154 (μg/dL) |
TSAT(トランスフェリン鉄飽和度) | 正常値は20%以上 |
フェリチン | 正常値は男性39.4~340、女性3.6~114 (μg/dL) |
CRP | 正常値は0.14 mg/dL以下。高値の場合には炎症によって鉄が使えないタイプの貧血である可能性があります。 |
その他
MCVが正常値よりも高く、MHCが正常~高い場合にはビタミンB12や葉酸が足りていないタイプの貧血なので、ビタミン剤が処方されます。
MCVとMCHが正常範囲で、鉄も足りていて、CRPも高くない場合にはESAの注射量や注射間隔が足りていない可能性があります。
本当は毎週打ってもらった方が効果は高いのですが、注射のためだけに毎週通院するのも大変です。
血治療の新しい飲み薬
そこで、経口薬で貧血を治療する新しいタイプの薬(HIF-PH阻害薬)も使えるようになりました。
臨床での使用経験が浅く、副作用の心配もありますが、従来の治療では貧血が改善されず、動悸や息切れがひどい場合には貧血治療薬の切り替えをお医者さんに相談してみてください。
【参考】HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation公開のお知らせ -日本腎臓学会
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