食べる純炭きよら通信vol.36(2022.6月号)
いつも食べる純炭きよらをご愛顧いただきありがとうございます。
きよら通信担当のゆっきーが腎臓病お役立ち情報をお届けします✉
皆様から寄せられた腎臓病に関するご質問に順番にお答えしています。
今月は迷いがちな“腎臓病とお食事のお悩み”特集です。
目次
Q.たんぱく質の摂りかたがよくわかりません。
腎臓に悪いから食べすぎるなと言われましたが、高齢者は避けすぎも良くないとも聞きます。どうしたらよいでしょうか。
(回答)実は今、「低たんぱく食が本当に腎臓に良いのか?」という問題が世界を揺るがしており、科学的根拠をもって「1日〇〇gが良い」とは言えないのが実情です。
詳細は別途ご説明するとして、今回は(科学的根拠が高いと思われる)ポイントをご紹介します。
ポイント①高齢腎臓病患者ではたんぱく摂取量が少ないほど死亡リスクが高い![]() 過度なたんぱく質制限は、透析になるより先に寝たきり状態や栄養不足で健康を損なう心配があります。筋力や筋肉量の低下、体重減少を感じたらたんぱく質摂取量を見直してください。 |
ポイント②過度なたんぱく質制限はむしろ有害かも![]() eGFR30未満であっても、”体重1㎏あたり0.8g/1日”以下の低たんぱく食に意味はありません。むしろ、サルコペニア(筋肉や筋力不足によって健康を損なう状態)予防には、十分なたんぱく質摂取量が大切です。 サルコペニアを予防するためには 標準体重1㎏あたり1.0g/1日以上 のたんぱく質量が目安です。 |
ポイント③タンパク質は朝昼晩の三食まんべんなく摂る! 朝食や昼食は軽く済ませてしまいがちですが、筋肉を増やすため(減らさないため)には朝と昼にもしっかりたんぱく質を摂ることが大切です。 こちらの表を参考にして、朝昼晩とすべてのメニューにたんぱく質を加えて下さい。 ![]() |
Q.腎臓病で“積極的に摂るべき食品/避ける食品”を一覧にしてほしい
(回答)腎臓病の原因には、糖尿病・高血圧・炎症・・・といった様々な理由があります。また腎臓病の進行度合いによってカリウムやリンの摂取制限が必要となるため、適した食品は個々人で異なります。
まずは、自分の原疾患(腎臓が悪くなった原因)と病状を知ってからそれを意識した選び方をしていきましょう。
原疾患別の食品選び方例
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さらに、以上を踏まえた上でこちらの食品も取り入れてみてください。
○積極的に摂りたい食品 ・腸内環境に良い食品(多種多様な食物繊維、発酵食品、乳酸菌、酪酸菌など) ・オメガ3が多い食品(亜麻仁油、えごま油、EPA、DHAなど) |
×避けた方が良い食品 ・AGEの多い食品(高温調理の揚げ物、電子レンジ調理) ・添加物の多い食品(無機リンが多い加工肉や練り物など) ・血糖値が上がりやすい食品(果糖ブドウ糖液糖、砂糖など) ・炎症の原因となる食品(オメガ9が多いサラダ油、トランス脂肪酸が多いマーガリンなど) |
全ての食品を善悪に二分することは不可能です。
上手に透析を遠ざけるコツは、神経質にならずに、様々な種類の食材を少しずつ取り入れ、食材の味をゆっくり味わって、食事を楽しむことに尽きると思います。
Q.味のない水を2L飲むのが辛い。良い方法はありませんか?
(回答)「水道水やミネラルウォーターが苦手」という場合、様々な原因があるようです。
□子供のころからの習慣![]() 清涼飲料水やスポーツドリンクで水分を補給していると水が苦手になりがち。 そんな時は、麦茶やルイボスティー(ノンカフェインのお茶)、ミントやレモンを浮かべたフレーバーウォーターはいかがでしょうか。だんだん薄めていって、水に近い状態で飲めるようになるといいですね。 |
□味覚障害や栄養障害がある場合(急に水がまずく感じるようになった場合)![]() 体内の亜鉛が不足していると、味覚障害をおこし「水がまずい」と感じてしまうことがあるそうです。また、胃に障害があると水で胃が痛くなることも。 亜鉛が豊富に含まれている牡蠣や牛肉などを加えたバランスの良い食生活を心掛けましょう。 |
□水の質の問題![]() 日本は世界でもまれにみる水道水が飲める素晴らしい国です。しかし、地域や水道設備によって味わいに差がでてしまうことも。汲み置きや煮沸をして塩素を減らしたり、浄水器を利用してみましょう。 |
Q.腎臓に負担の少ないお酒はありませんか?
(回答)お酒の種類にかかわらず適量(※)であれば大丈夫と言われていますが、添加物や体質、おつまみのメニューで選ぶのが大切だと思います。
(※)アルコール量で20gが適量です | |
ビール(5%) | 500ml |
日本酒 | 1合(180ml) |
焼酎(25°) | 100ml |
ワイン | 200ml |
チューハイ(7%) | 350ml |
ゆっきーは人工甘味料や着色料が使われている缶チューハイを控えていますし、糖尿病家系の純炭社長は血糖値が上がりやすい日本酒やビール、ワインには注意しているようですよ。
ちなみに、鹿児島大学の研究では、芋焼酎を食中に飲むと、他のお酒より食後の血糖値の上昇を抑えるという事が分かっています。甘い味付けの豪快な料理が多い鹿児島ですが、糖尿病での死者が少ないのは(都道府県ランキングで6番目)芋焼酎の健康効果かも知れません。
参考文献:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018(日本腎臓学会)
(2022.6月号として配布したものです)
「食べる純炭きよら通信vol.36-慢性腎臓病(CKD)の人はどうやって食事を選ぶべき?」への2件のフィードバック