こんにちは。純炭社長の樋口です。
2020年に腎臓病のサルコペニア(筋肉減少)やフレイル(心身の虚弱)を紹介し、「慢性腎臓病のサルコペニアは透析リスクよりも死亡リスクを高める」ことを紹介したところ、「知らなかった」、「自分も筋肉が減っているような気がする」、「体重減少が止まらない」というご意見を沢山いただきました。
そこで、今回は新しい情報も加えながら「純炭粉末公式専門店が考える腎臓病のサルコペニア対策2022」をご紹介したいと思います。
病院を変えたら食事指導が全く違って訳が分からない…

先日、「食べる純炭きよら」の購入を検討している方からお電話がありました。
その時の雑談で「今まで通っていた遠方の大病院では1日34グラムのたんぱく制限を指導されていたのに、転院した近所の病院では1日40~50グラムのたんぱく質を摂るように言われた。どっちの医者を信用したらよいのか分からない。」とおっしゃっていました。
80代の男性で身長は160 cm、eGFRは38くらい。標準体重は56 kgですが、このところ標準体重よりもはるかに体重が減って、体力の衰えを感じるとのことでした。
食事療法の基準はどうなっている?

eGFR 38ですと慢性腎臓病のステージ3bに相当し、2014年に発表された食事療法基準では1日のたんぱく質量を、体重1 kgあたり0.6~0.8グラムに制限するように書かれています。
お電話の方の場合、大病院では下限値の0.6グラムを採用して1日34グラムのたんぱく制限を指導し、転院先では上限の0.8を採用して1日45グラム程度と判断したのだと思います。
たんぱく質が少ないほど腎臓に良いのか?

たんぱく質が腎臓に負担をかけると聞き、「たんぱく質を食べる量を減らせば減らすほど透析を遠ざけられる」と思いこんでいませんか?それは大きな間違いです。その証拠に、2019年には以下のような新しい食事療法が提言されています。
新しい食事療法の提言:たんぱく質を減らしすぎるな!

日腎会誌 2019 ; 61(5) : 525-556
https://cdn.jsn.or.jp/data/CKD20191107.pdf
サルコペニアやフレイルってなに?聞いたことない…という方も多いかもしれません。ひとことで言うと「筋肉量と筋力が低下して、よぼよぼ歩きになったり、階段の昇り降りがきつくなったり、最悪の場合には転倒→骨折→寝たきりになる、健康寿命を損なう重大要因」がサルコペニア・フレイル(以下サルコペニアで統一)なのです。
低たんぱく食のジレンマ

腎臓病患者は一般の人よりもサルコペニアに陥りやすく、サルコペニアを合併した腎臓病患者は死亡リスクが高まることがわかっています。
特に高齢の腎臓病患者はたんぱく摂取量が少ないほど死亡リスクが高く、そのリスクは透析になるリスクよりも高いことが報告されています。
透析を遠ざけるためにたんぱく質を制限するか?、サルコペニアを予防して健康寿命を延ばすためにたんぱく質制限を緩めるか?医師や栄養士さんの腕の見せ所になるわけです。
たんぱく制限をする基準は?

腎臓病=低たんぱく食といった画一的な情報があふれています。しかしながら、その根拠は明確ではありません。
有名なMDRD Study Aという臨床試験では、eGFR 22~55の患者を2群に分け、片方には標準体重1 kgあたり1.3グラムのたんぱく質を食べるように指導し、もう片方は0.58グラムに制限するよう指導しました。
3年間観察した結果、両群のeGFR低下に差はなかったと報告されています。
腎機能の数値によって変わる

一方で、eGFR 30以上では低たんぱく食の効果は認められないが、eGFR 30未満では低たんぱく食の方がeGFRの低下は抑制されたという報告もあります。
そこで、前述の提言内容をまとめてみると以下のようになります。
1)透析を回避する目的で低たんぱく食を推奨する患者は、
①eGFR 30未満
②eGFRが年間3以上低下
③尿蛋白が1.0 g/gCr以上または尿アルブミンが1000 mg/gCr以上 |
2)eGFR 30未満の患者が透析を回避しつつ、サルコペニアを予防するたんぱく質量は体重1 kgあたり0.8グラム/日を上限とする(しかし、0.55に下げても0.8と効果は変わらないので、個人的には0.8が適量と読めます)。 |
低たんぱく食の画一的な指導は不適切

日本腎臓学会は「個々の患者の病態やリスク、アドヒアランス(治療方針に対する患者の納得度)などを総合的に判断して、たんぱく質制限を指導すること」が推奨されています。
言い換えると「クレアチニンが〇〇、eGFRが○○だから、たんぱく質は〇〇以上食べないで」と画一的な指導をするお医者さまはヤブ医者ということになります。
では、どういうお医者さまが名医なの?
例えば、以下の質問は名医の証だと思います。
・ペットボトルのフタを開けられますか?
・信号が青のうちに横断歩道を渡れていますか?
・筋肉が減っている感じがしませんか?体重は変わっていませんか?
その他にも、
・爪や髪の毛の状態を診てくれる。
・ふくらはぎの筋肉を確認してくれる。などなど。
腎臓の検査値だけでなく、患者さんの全身状態を診て、食事や生活の指導をしてくれるお医者様が理想ですが、主治医がそこまで診てくれない場合には、以下の参考記事でセルフチェックして、サルコペニアの兆候がないかを確認してください。
参考記事:自分でわかる、サルコペニアチェック法
どんなたんぱく質をどのように食べたら良いのか?

2019年に書いた記事で「植物性たんぱく質の摂取量が多いほど腎機能の低下を緩やかになる」ことを紹介したところ、「低たんぱく米を否定するのか?」とお叱りを受けたことがあります。
しかしながら、今でも元記事に書いた内容は正しいと信じていますので是非、以下のブログを読んで、たんぱく質はどんな食材で摂ったらよいのか?の判断材料にしてください。
参考記事「慢性腎臓病(CKD)の人はどんなたんぱく質を食べるべきか、世界腎臓病会議で報告されたレポートとは」
肉魚卵を食べてはいけないという意味ではない
誤解して欲しくないのは「肉や魚、卵を食べるなと言っているわけでは無い!」ということです。
・貴重な植物性たんぱく質である米や麦、大豆などを積極的に食べつつ、肉や魚、卵などの動物性たんぱく質を朝・昼・晩まんべんなく組み合わせて食べる(たんぱく質はこまめに食べないと筋肉になりません)。
・食事のたんぱく質を筋肉に変えるためにはカロリーが必要です。MCTオイルや亜麻仁油、えごま油、良質なオリーブオイルが役立ちます。
人間は食べたもので出来ています。
食べ物が足りないと自分の体を壊して栄養素を補おうとします。
たんぱく質は筋肉だけでなく、すべての臓器、酵素、抗体の源です。
血液検査のアルブミンや総蛋白が基準値以下だとたんぱく質が足りていない可能性があります。
スロージョギングのご紹介
サルコペニア予防には運動も大切なので、今(2022年秋)私が注目しているスロージョギングの本をご紹介します。

フルマラソンと書いてありますが、(私のように)走るのが大嫌いな初心者向けの入門書です。この本によると、「加齢とともに減少する筋肉を鍛えるには、ウォーキングよりもスロージョギングがはるかに効果的」とのことで、騙されたと思って始めてみました。
運動が苦手でも大丈夫
実はわたくし、子供のころから長距離走が大嫌いで、高校の「10 kmマラソン」を3年間スルーし続けました。そんな私がスローとはいえジョギングなんてできるのか?と思いつつ、書いてある通り始めて見ると、初日から30分、1週間後には60分も走ることができたのです。しかも、大股で歩くウォーキングよりも心拍数が上がらず、苦しくないんです。
百聞は一見にしかず。スロージョギングのYouTube 動画もありますのでご覧ください。
動画:歩く速さなのに健康効果は2倍らくらくスロージョギング(寝たきり予防の切り札)
この記事をきっかけに、サルコペニアチェックと予防・改善に取り組んでいただけたら幸いです。
【純炭粉末公式専門店】は→こちら
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