こんにちは。
純炭社長@糖質制限70日目の樋口です。
7月14日のブログ「除菌除菌と言うけれど|常在細菌との共生」の中で人間の体に棲みついている細菌の数を紹介しました。
・皮膚:1兆
・口の中:100億
・胃:1万
・小腸:1兆
・大腸:1,000兆
・泌尿器:1兆
人間はたった60兆個の細胞の集まりですから、人間の体は細菌の集合体のようなものです(笑)。
これらの細菌たちは人間の健康に大きな影響を与えている訳ですが、
Nature Medicine 20, 642-647 (2014) に肺に棲みつく細菌が喘息発症を左右しているとの論文が発表されました。
これまで腸内細菌と免疫の関係は広く知られていましたが、
肺の細菌と呼吸器系疾患の関係は(個人的には)目にすることがありませんでした。
無菌状態で生まれてくる赤ちゃんの腸内では、一番始めは大腸菌などの悪玉菌が優位ですが、ある時期からビフィズス菌のような善玉菌が増えてきます。
肺の中でも同じように細菌のスイッチングが起こっており、ガンマポロテオバクテリア網・ファーミキューテス門からバクテロイデテス門に変化します。
マウスを使った研究では肺に棲みつく細菌のスイッチングは生後2週間でおこり、
この間に細菌が棲みつかないと成長してから抗原に対する過剰な反応(喘息など)を発症しやすくなると言うことです。
喘息は死に至る怖い病気ですが世界中で患者数が増加傾向にあります。
日本では小児の6%、成人の3%が気管支喘息で450万人の患者がいます。
今回の論文は新生児期に適切な細菌感染が起きれば喘息を減らせる可能性を示すものであり、ヒトでの研究が待ち望まれます。