40歳からの予防医学【書評】(難易度:初級)その1-先生がありきたりなことしか教えてくれないその理由とは?

投稿日: カテゴリー 腎臓病
40歳からの予防医学

きよら通信担当のゆっきーです。
突然ですが、『ヘルスリテラシー』という言葉をご存知でしょうか?

ヘルスは「健康」という意味ですが、
リテラシーは直訳すると「読み書き能力という意味」。
昨今では『ある特定分野の事象や情報を正しく理解・分析・整理し、それを自分の言葉で表現したり、判断する能力』という意味で使われています。(ネットリテラシーや情報リテラシーという言葉をよく耳にしますよね)

日本人のヘルスリテラシーが低い?

40歳からの予防医学
こちらの本によると、驚くべきことに日本人は世界の中で”ヘルスリテラシーが低い”と評されているのだそうです。「世界有数の長寿国に住む日本人がヘルスリテラシーが低い」とはどういうこと?と思い、居ても立っても居られずに読み始めてみました。

著者の森勇麿医師は、神戸大学医学部卒業後、救命救急や産業医などを経験を通じて、予防医学を普及させることの大切さを痛感したそうです。現在ではyoutubeなどで独自の予防医学を配信しており、チャンネル登録数はなんと27万人もいるんですよ。

今回のブログから数回にわたり、森勇麿著『40歳からの予防医学』から、腎臓病でお悩みのあなたにも役立ちそうな部分を、書評として紹介していきたいと思います。

40歳からの予防医学とは

サルコペニア予防
内容は以下の7テーマに分かれており、最新の研究成果に関して、エビデンス(証拠)が確かなデータをきちんと引用しつつ、解説されています。

目次:
1.人生100年時代の健康戦略
2.血液・尿・臓器のサインを見逃すな
3.がんの予防・早期発見に効く新常識
4.健康寿命を延ばす最強の食事術
5.病気を遠ざける科学的な生活習慣
6.太く長く生きる為のメンタルケア
7.病気になってからの予防医学

慢性腎臓病と予防医学

そら豆 腎臓のイメージ
予防医学とは、病気にかかってから治療するのではなく、病気にかからないようにする事を目的としています。予防医学には3段階あり、「病気にならない行動習慣を実践する1次予防」、「病気を早期に発見し治療する2次予防」、「リハビリなどで再発を予防する3次予防」に分けられます。

慢性腎臓病は真ん中の2次予防(早期発見、早期治療)の段階にあたります。透析にならないように、重症化しないように、予防に取り組んでいくことが慢性腎臓病では大切です。

しかし、お客様からは、「病院では透析を予防するためにするべき事をあまり詳しく教えてくれない」といった話をよく聞きます。この書籍によると、そこには私たちが知る由もない驚きの理由があったのです。

今回のブログでは、目次の1つめ(人生100年時代の健康戦略)で語られている「医師がありきたりなことしか言わないワケ」など、気になった内容を紹介します。

自分の身を自分で守ろうとしない日本人

緑にかざす手のひら
冒頭の日本人のヘルスリテラシーが低いという話題、ゆっきーは大変意外に感じてしまいました。テレビを付ければほぼ毎日のように、健康に良い食べ物や運動の特集が組まれているし、インターネットでもありとあらゆる情報を得ることができるこの日本で何故?

しかし、「健康や医療に関する情報を吟味し、取捨選択をしていく能力」を調べた結果では、ヨーロッパ8か国(オーストリア、ブルガリア、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、オランダ、ポーランド、スペイン)に比べて日本の点数は最下位という成績だったそうです。(※1)また、東南アジア諸国(ベトナム、マレーシア、インドネシア等)と比較しても日本人のヘルスリテラシーは劣っていたという結果も出ているのだそうです。(※2)

日本の医療制度がリテラシーを下げている?


ここで、日本人に気付きを与えてくれるシンガポールの例が紹介されています。
シンガポールは、「平均寿命」と「健康寿命(注1)」の差が日本より短く、不健康な状態で生活する期間が世界で最も少ない国なんだそうです(いわゆる、ピンピンコロリな方が多い)。
注1:健康寿命とは病院や薬の世話にならずに自立して生活できる生存期間のこと

シンガポールでは、個人の給与の一部が自動的に老後の医療費として個人口座に貯蓄され、その貯蓄を切り崩して自分の医療費に充てるシステムになっています。
だからこそ、個々人が病気にならないように普段から気を付けるようになり、健康寿命の延伸につながっていると言われています。

一方、日本の国民皆保険制度は世界トップクラスの手厚い制度ではありますが、医療費の7割以上が公費でまかなわれるので、「自分の懐が痛む(医療費で貯蓄が減る)」イメージが湧きにくいのかも知れません。更に言うと、「若くて健康な時に納めた健康保険料を取り戻すために老後は病院に行った方が得」という意識が働いたり、「病気の予防にお金を使うよりも病院で薬をもらった方が安く済む」という現状が日本人のヘルスリテラシーを下げている可能性があります。

とは言え、少子高齢化が進み、医療費の増大や財源確保が大きな社会問題となっている昨今、相互扶助による現在の制度をいつまで続けられるのか…?
アラフォーのゆっきーとしては、この本を読んで自分の身は自分で守らなきゃ!と危機感を感じた次第です。

医師が「ありきたりなこと」しか言わないワケ

受診 白衣の医師
さらに読み進めていくと、日本で予防医学の浸透しない、医師ならではの理由が書かれていてビックリしました。

日本の医師が勉強するのは基本的に「病院の中でできること」であり、病気の診断や薬の処方が中心で、食事や運動といった予防医学の知識を勉強する機会はほとんど無いのだそうです。
かかりつけの医師がありきたりの話しかしてくれないのは、「そもそも知識がないので具体的な話ができない」のが理由とのこと。
更には、日々進歩している治療法や新薬の情報についていくのがやっとで、予防医学まで手が回らないのが日本の医療の現状なのだそうです。

ちゃんと指導してくれる腎臓病の名医どこにいる?

悩む医師の姿
弊社のブログや「きよら通信」で度々紹介している上月先生(※3)や佐中先生(※4)のように、透析を予防するための運動方法や食事法を独自に研究して、細かく指導してくれる先生は実在します。しかしながら、お二人のように腎臓病の予防医学として「透析を予防するための医療」を前面に押し出している医療機関は(残念ながら)多くありません。

そこで、本書のような書籍を通じて「予防のためにできること」や「注意すべきポイント」を知ることが大切になってきます。

おわりに

純炭粉末公式専門店では、腎臓病の予防医学を中心に、お家でできる事を情報発信しています。
医療従事者向けの専門誌や論文データにも目を配り、エビデンスが確かな内容をお届けしています。
ぜひ、過去のブログやきよら通信も参考にしてみて下さいね。
次回は、目次の2番目のテーマ「血液・尿・臓器のサインを見逃すな」から、腎臓病に役立つ部分をご紹介したいと思います。

参考文献

(※1)ヘルスリテラシーを点数化して評価する質問シートに日本人1000人に回答してもらった結果。参考文献:日本の包括的なヘルスリテラシーはヨーロッパよりも低い:ヘルスリテラシーの有効な日本語評価

(※2)Duong TV, et al. Measuring health literacy in Asia: Validation of the HLS -EU-Q47 survey tool in six Asian countries. J Epidemiol. 2017 Feb;27(2):80-86.

(※3)東北大学教授であり、腎臓専門医である上月正博先生は、腎臓リハビリテーションを提唱し、運動によって腎臓病はよくなるという事を発見し広めている先生です。2022年2月には日本腎臓財団 功労賞を受賞したそうです。

(※4)読むデトックスの対談でもご協力いただいた佐中孜先生は、「何が何でも自分の患者は透析にしない」と語る強い信念をもった先生です。現在は、千葉県にある病院で日々慢性腎臓病の患者さんをサポートしています。

投稿者: ゆっきー

美味しいものを食べることと、山登りが趣味の”ゆっきー”です。 きよら通信やブログはゆっきーがお届けしています。 また、お電話で商品をご注文のお客様は”ゆっきー”が電話対応させていただくことも。お客様に安心してご購入いただくことを信条としていますので、ご相談から世間話までお気軽にどうぞ♪いつも元気と笑顔がモットーです( *´艸`)

「40歳からの予防医学【書評】(難易度:初級)その1-先生がありきたりなことしか教えてくれないその理由とは?」への2件のフィードバック

  1. 匿名(ブログに頂戴したコメントは原則として匿名で公開させていただいております) より:

    自分の健康は自分で守る。自分の病気を自ら学んで自分で考えること。「先生を信じてます、よろしくお願いします」はダメ。
    主治医の言うことは馬鹿の一つ覚えの「タンパク質減らせ、塩分減らせ、カリウム減らせ」。
    某研究結果によるとタンパク質摂取量を一日当たり20gにすると透析回避が5年伸びたらしい。そんなことしたらサルコペニアになるし免疫力が落ちて感染症や癌のリスクが逆に上がってしまうだろう。
    医者は患者をモルモットくらいにしかみていない。
    自分の健康は自分で守るしかないのです。

    1. お医者様にとっては何とも手厳しいであろうコメントをいただきありがとうございます。
      患者が症状を訴えれば、それを取り除いてあげたいと思うのが医師の想い。
      しかしながら、患者が「透析を避けたい」と訴えたからと言って、極端なタンパク制限で寝たきりや車いす生活になっては「木を見て森を見ず」。
      患者にとって何が幸せなのか?を医療関係者と患者が本音で語り合える環境ができたら素晴らしいと思います。
      そのためにも、医療関係者と患者の情報格差が少なくなるよう情報発信に努めてまいります。

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