食べる純炭きよら通信vol.32-腎臓病で指摘される検査数値”尿素窒素(BUN)”って一体何?

投稿日: カテゴリー 【きよら通信バックナンバー】
血液検査 女性看護師

食べる純炭きよら通信vol.32(2022.2月号)
いつも食べる純炭きよらをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
きよら通信担当のゆっきーが、腎臓病お役立ち情報をお届けします(^^)/

腎臓病で気になる数値の見方

血液検査 女性看護師
腎機能が落ちていると指摘され、心配になってしまうあの数値。
高い(低い)とどうなのか?なぜ上がって(下がって)しまうのか?
理由がわかれば、毎回の検査で一喜一憂しなくていいかもしれませんよね。
今月号は、腎臓病で気になる“尿素窒素(BUN)”についてわかりやすく解説します(^^)/

BUNとは何か?

悩む 夫婦
BUNは、たんぱく質の老廃物で、クレアチニンと同様に腎臓から捨てられる物質です。
腎機能が落ちていると、BUNが体内に残ってしまい値が高くなります。
基準値は8~20となっており高すぎても低すぎても健康上の問題があります。(BUNが高すぎるとかゆみが出る場合も・・・)

基準値に幅がある理由

正常範囲の基準値に幅を持たせているのは、以下のような生理現象で数値に差が生じる為です。
・男性に比べて女性は10~20%低い
・成人に比べ、子供は低く、逆に60歳以上だと高く出る傾向がある
・ご飯を食べたり消化するタイミングで、日中は高く、夜間は低く出る
厳密に経過観察したい場合は早朝の空腹時に採血するとよいでしょう。

BUNが上がる原因

腎臓と膀胱
“BUNが上がった”という情報だけでは、本当に腎臓が悪くなったのかを判断できません。
なぜなら、BUNが上がる原因は複数考えられるためです。
・腎臓でろ過される前に原因があるのか?
・ろ過やろ過後が原因なのか?
で分けると理解しやすいと思います。

ろ過前が原因(腎前性) たんぱく質の過剰摂取・運動・心不全・脱水・消化管出血など
ろ過機能自体が原因(腎性) 腎臓のろ過器のが低下してBUNが上がる
ろ過後の問題(腎後性) 腎結石・尿管結石・膀胱がんなど

逆にBUNが低い場合

肝臓 イラスト肝機能障害や低たんぱく食があげられます。
BUNの材料であるたんぱく質の摂取量を減らせば、自ずと値は下がります。
しかし、これはBUNが高くなる原因(腎機能低下など)の根本的な解決になりません。BUNを下げたいからと言って、たんぱく質制限を自己判断でしないようにしましょう。

検査値がなぜ変動したのか考察してみよう

診察 医師 女性患者
このように、BUNが増減する原因をざっくりと把握していれば
・たんぱく質を食べ過ぎたせいかな?
・下痢が続いていたせいで脱水だったのかな?
・フォシーガの副作用で尿量が増えて脱水になった?
などの疑問を先生に聞くことが出来ますので、先生もより詳しく説明してくれることでしょう。

BUNはeGFRが30前後に低下してから高くなる傾向

臨床試験 女医 医師 試験
eGFRがそこまで悪くないのにBUNが高い場合、“BUN/クレアチニン比”を計算してみましょう。これにより、腎臓のろ過機能以外の原因を探ることができます。例えば…

前回検査 BUN 14 クレアチニン 1.5 14÷1.5=9.3
今回検査 BUN 32 クレアチニン 1.6 32÷1.6=20

クレアチニンは1.5から1.6と横ばいなのに対して、BUNだけが急に増加している場合はBUN/クレアチニン比も急上昇!10以上の場合は要注意です。

BUNクレアチニン比が10以上の場合は

腎臓以外の以下の可能性を疑ってください。
・脱水(下痢、嘔吐、利尿剤やフォシーガなど薬の影響)
・心不全
・消化管出血
・高たんぱく食
・甲状腺機能亢進症
普段からBUN/クレアチニン比を計算して記録しておくのも良い方法です。

純炭社長コラム ~BUNが高いと透析になってしまうの?~

医師 説明
医師の間でも、透析導入時において議論が分かれるそう。
『透析導入基準となる尿毒症症状の鑑別の中で、血清クレアチニンが2 mg/dL程度(eGFR27~19程度)であるにもかかわらずBUNが100 mg/dL以上で、食欲低下や倦怠感などの尿毒症と思われる症状が現れることがある。
このような場合、よく透析導入の依頼を受けるが…(中略)…消化管出血、循環血症量の低下(脱水)、タンパク負荷といったいわゆるBUN/クレアチニン比が増加している病態をしっかり除外して透析の必要性を判断する必要がある』

この記事で驚いたのは、クレアチニンやeGFRが透析基準に満たない場合でもBUNが跳ね上がり食欲不振や倦怠感を感じていると、(本当は必要がないのに)透析導入されてしまう場合があるという点です。
BUN/クレアチニン比を計算する事は、不要な透析を回避するだけでなく、脱水による血栓症を予防したり、消化管出血を知る事にもなりますので、覚えておいて損はないと思います。

似て非なる尿酸と尿素

人体の不思議
尿酸と尿素窒素って検査数値で紛らわしいけど・・・何が違うの!と思いませんか?簡単に説明すると、

同じところ 尿素も尿酸も不要な窒素(N)を体外に捨てる役割
違うところ 尿素は水に溶けやすく、尿酸は溶けにくい性質

私たちの体は、筋肉を維持する為に、たんぱく質の摂取が欠かせません。
しかし、たんぱく質を利用した残りかすとして不要な窒素が発生します。
生物はあの手この手で窒素を捨てる為、尿酸や尿素を体内で生成しているのです。

(2022.2月号として配布したものです)

 

投稿者: ゆっきー

美味しいものを食べることと、山登りが趣味の”ゆっきー”です。 きよら通信やブログはゆっきーがお届けしています。 また、お電話で商品をご注文のお客様は”ゆっきー”が電話対応させていただくことも。お客様に安心してご購入いただくことを信条としていますので、ご相談から世間話までお気軽にどうぞ♪いつも元気と笑顔がモットーです( *´艸`)

「食べる純炭きよら通信vol.32-腎臓病で指摘される検査数値”尿素窒素(BUN)”って一体何?」への2件のフィードバック

  1. 匿名(ブログに頂戴したコメントは原則として匿名で公開させていただいております) より:

    貴重なお便り毎回拝読しております。
    非常に専門的な部分を分かりやすく解説されて、役立っております。
    年始のお年玉きよら頂き恐縮です。
     
    尿素窒素についての解説読ませてもらいましたが、BUN/クレアチニン=22.2、要注意です。
    尿酸値は2.5、で経過しています腎機能値は30~34の範囲で3年間経過しています。
    分析結果の根本は血糖値が長い間続きデベルザからフォシーが5mmに2月から変えてみました。
    腎臓機能にも有効とありますが、泌尿器科にも通院しておりますが、要注意まで来ており内科医も心配しています。
    食生活を根本的に見直すしかありませんので、その方向に進みたいです。

    1. コメントありがとうございます。
      デベルザからフォシーガに変更になったのですね。
      デベルザもフォシーガも、両方ともにSGLT2阻害薬ですが、慢性腎臓病治療薬として承認されているのは(今のところ)フォシーガだけなので、血糖コントロール+腎臓保護作用も期待しての処方変更なのかも知れませんね。
      但し、フォシーガを慢性腎臓病治療薬として使用する場合は1日10ミリグラムとされています(5ミリでの効果は確認されていないとのこと)。
      水分補給に気を付けて、次回診察時に確認して見てください。

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