お医者様が読んでいる雑誌
「医学のあゆみ」の2013年2月23日号に
糖化現象と心血管疾患の特集が組まれました。
このブログでも糖化現象を何度も取り上げていますが、
始めて読んで下さった方のために、最初に用語の説明をさせていただきますね。
まず最初にAGE。年齢を意味する英語と同じくエイジまたはエージーイーと読みます。
正式な名称はAdvanced Glycation Endproducts。日本語では終末糖化産物と訳します。
次にRAGE。読み方はレイジ。Receptor of AGEの略で、日本語ではAGE受容体となります。
心血管疾患とは血管が硬くなって詰まったり破裂したりする病気の総称で、心筋梗塞や脳梗塞などを想像しがちですが、
血管の老化は全身の老化と言われるように様々な病気の原因になっています。
目次をみるとAGE/RAGEが動脈硬化などの循環器病だけでなく、
腎臓病や認知症、多臓器不全といった様々な病気に関係していることが分かります。
このような病気のほかにもAGE/RAGEはがんや炎症といった病気のほか、
皮膚のコラーゲンが糖化(AGE化)すると肌の弾力が失われたり
保湿性が低下してシワやくすみの原因になるとも言われています。
このコラーゲンだけに絞って糖化の影響を考えてみましょう。
コラーゲンは体内のタンパク質の30%を占める大切な成分です。
最もコラーゲンを多く含むのが皮膚(ブタ皮や鳥皮を煮込むと分かりますよね)。
次いで骨や軟骨、血管などの全身臓器という順になります。
骨のコラーゲンが糖化してしまうと骨粗しょう症になり骨折しやすくなります。
軟骨のコラーゲンが糖化すると間接が動きにくくなり変形性関節炎の原因となります。
血管のコラーゲンが糖化すると動脈硬化になって詰まりやすくなったり、破裂しやすくなります。
このようにコラーゲンの糖化は老化とイコールなのです。
油断ですが、ポーラ化粧品のB.Aザクリーム(30クラムで3万円以上するんですよ)は日本で初めて?糖化に着目した化粧品として2009~2011年のベストコスメ賞を受賞し有名になりました。
このように日本でも徐々に浸透してきた「糖化」の危険性ですが、
地道に研究と啓蒙活動を続けてきたのが竹内正義先生(現金沢医科大学)。
2004年に発表した 生活習慣病におけるTAGE(toxic AGEs)病因説 は内容がセンセーショナル過ぎたのか専門家の間に浸透するのに時間がかかりましたが、
約10年の時を経て「医学のあゆみ」で特集が組まれ、ひろく臨床医に読まれるまでになったことに感銘を受けます。
これから数回にわたって糖化(AGE)と各種疾患の関係を紹介していきたいと思います。
次回は糖化(AGE)と腎不全の予定です。
「糖化(AGE)がもたらす全身を蝕む病気とは」への3件のフィードバック