純炭社長が解説する糖化(AGE)と腎臓病の関係

こんにちは、純炭社長の樋口です。

今週はAGEと腎不全とのかかわりをご紹介したいと思います。

腎不全とは腎臓の機能が低下してしまう病気です。

腎不全には急性と慢性があり、急性腎不全は比較的治りやすいのに対して慢性腎不全はじわじわと時間をかけて腎機能が低下していき最終的には血液透析を受けなければ生命維持は難しくなります。

この慢性腎不全、

最近では慢性腎臓病(CKD)と呼ばれ、日本人の成人の約8人に1人はCKDと言われています。

その患者数は実に1,330万人sign03

腎機能が低下する原因は、
・自己免疫や薬アレルギー
・高血圧
・糖尿病
などなど様々な原因があります。

しかし、血圧や血糖値が高くても全員が血液透析に至るわけではありません。

では分かれ目は何なのでしょう?

こんな論文があります。

PNAS_AGE

 

 

 

1997年に発表された米国科学アカデミー紀要(PNAS)には経口的に摂取したAGEが糖尿病性腎症のリスクファクターとなることが記載されています。

少なくとも食事由来のAGEは腎臓に負担をかけることは間違いないようです。

金沢医科大学の竹内先生らは非糖尿病性の保存期腎不全(透析予備軍)の患者に

経口吸着炭薬を投与すると、血液中のToxic-AGE(毒性のもっとも強いAGE)が減ることを見出しました。

彼らは食事由来AGEを腸管内で吸着し便中に排泄することが、腎機能低下を抑制するのではないか?と予想しています。

また、PEDF(色素上皮由来因子:pigment epithlium-derived factor)という物質とAGEの関係が注目されています。

腎臓に存在するメサンジウム細胞やポドサイトという細胞はPEDFを作って各種のストレス(酸化ストレス・糖化ストレス)から腎臓を守ろうとしています。

ところが、AGE/RAGE(AGE受容体)が活性化されるとPEDFが作られなくなってしまい、腎臓の炎症や繊維化が進展するのでは?と考えています。

食事由来AGEはAGEとRAGEの結びつきを増やす方向に働くことから、PEDFの産生低下を招くと予想されます。

CKDの腎機能低下を抑制し、透析に入らずに寿命をまっとうできる方法が望まれています。

血液透析は週に3回の通院を余儀なくされ、1回に3~4時間の透析を受けなければなりません。

当然、仕事など社会生活に支障が生じます。

一方、血液透析にかかる治療費は全額公費で賄われるため患者負担はゼロですが、

約37兆円の国民総医療費のうち、4%(1兆円以上)が透析医療に使われています。

CKDから透析に移行するのを防ぐことは、

患者と国の両方にとってとても大切なことなのです。