純炭社長の研究日誌8、うさんくさい?

投稿日: カテゴリー 【純炭社長のつぶやき】

こんにちは。純炭社長@糖質制限中の樋口です。

カテゴリ「理系研究職の生き方」では

沼津東高校で行った「職業を知るセミナー」の内容や

生徒さんからの質問+私自身の研究者としての経験を書き綴っています。

 
生徒さんから「研究テーマはどうやって見つけるのですか?」という質問がありましたが、

大学や入社したばかりの企業研究者は教授や上司から研究テーマが与えられます。

一方、研究者として独り立ちするころ(30歳以降)になると自分で研究テーマを探すことになります。

社会的ニーズがあること、他人がやっていないことを考える訳ですが、企業研究者としては(一応)利益も考えなくてはなりません。

市場調査を行い患者数や既存薬の売り上げを調べ、

既存薬の市場満足度(1日の投薬回数や効果が出る人の割合、飲みやすさ、注射時の痛みなど)なども調べます。

臨床試験のやりやすさも考えなくてはなりません。

例えば、血液透析に入るのを予防するような薬は

長期間患者さんを観察しなければならないので時間も費用も掛かり難しい臨床試験になってしまいます。

 
創薬(新薬を作る)と育薬(既存製品を育てる)の兼務として研究職に復帰した私は、二つの研究テーマを考えました。

1)創薬はEPO(赤血球を作る薬)と同じ作用を持つ経口薬を作ること。

2)育薬はEPOを注射しても赤血球が増えてこない症例の原因究明をすること。

 
当時、EPOで赤血球を作る実験系を利用して細胞内部のシグナル伝達や遺伝子発現の様子が活発に研究されていました。

そこで分かったのは、EPOは細胞の外側に突き出しているEPOの受容体(EPOと結合するタンパク質)2個と結合しないと赤血球は出来ないということです。

1個のEPOに2個の受容体が結合することがきっかけとなって細胞の中に「赤血球になれ!」という命令が伝わるのです。

EPOは受容体を2量体化するために存在するのだったら、EPOを使わないで受容体を2量体化させられないか?

とスタッフ部門で悶々としながら考えていました。

しかし、研究担当役員から言われた一言は「そんなこと本当に出来ると思っているのか?」

まあ、アイデアが斬新であればあるほど他人にはうさんくさく聞こえるものです。

 
ところが、私が研究職に復帰した約1カ月後に私のコンセプトを見事に証明してくれる論文がサイエンス誌に掲載されたのです。
 
アメリカのaffymaxというベンチャー企業がEPO受容体に結合する14アミノ酸からなるペプチドを発見しました。

それを2量体化して細胞にふりかけたところ、EPO受容体同士が2個のペプチドでつながれて赤血球を作るシグナルが発せられたのです。

 
画期的な発見でしたがペプチドは消化酵素で分解されてしまうので経口薬にはなりません。

注射薬として開発するのは(既にEPOの注射薬が販売されているので)意味がありません。

 
私は低分子化合物の中からEPO受容体を2量体化させる物質を探し出そうと考えていました。
 
そこで、遺伝子組み換えでEPO受容体の細胞外領域(水に溶けるEPO受容体)を作製し、

片方を放射性同位元素でラベルし、もう片方は放射線を受けると光を発するビーズに結合させて、

簡単に受容体の2量体化を測定できる実験系を作ったのです。

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純炭社長

投稿者: 純炭社長

純炭粉末の(株)ダステック代表取締役社長。中外製薬で腎性貧血治療薬エリスロポエチン(ESA製剤)の開発に携わった後に、ESA製剤が不必要になる世の中(すなわち腎臓病が無くなる世の中)を目指して47歳で起業しました。元金沢医科大学医学部非常勤講師。ケトジェニックダイエットシニアアドバイザー・AGE研究協会認定講師でもあります。「出す」健康法で健康寿命を延ばすのが夢! 最近は「腎臓にやさしい純炭社長食堂」のシェフとしてサラメシも提供しています(笑)。

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