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腎臓病生活習慣腸内環境

腎臓病と腸内環境 ~好循環と悪循環~

皆様こんにちは!
水曜担当スタッフM子ですhappy01

まだリバウンドは大丈夫そうです。
今月は-8~-11kgのあたりをさまよっております。

この1週間は-10kg周辺をウロウロ…美味しく糖質を摂りつつ,歩いたり地道に運動しよう…と思っておりますthink

さて,本日は実験の合間にちまちま読んでいた文献をご紹介~…文字ばっかりになってしまいましたがよろしければご一読くださいcoldsweats01

今年の4月に「Nephrology Dialysis Transplantation(腎臓学と透析と移植)」という論文雑誌において,「慢性腎不全における腸内細菌叢の変化と上皮バリアの構造・機能の損失;その本質,メカニズム,結果と有用な治療法」と題したレビューが発表されていました。

Altered intestinal microbial flora and impaired epithelial barrier structure and function in CKD: the nature, mechanisms, consequences and potential treatment

Nephrol Dial Transplant (2015) 0; 1-10
Nosratola D. et.al

腸内細菌が作る腎臓などの内臓に負担をかける物質(尿毒性物質;インドール,p-クレゾール,トリメチルアミン等)の存在は既によく知られています。

これらの物質は腸の細胞を通過して血液中に入り,肝臓で物質変換された後,本来は腎臓から尿として排出されますが,これが十分に機能しないと,血液を通して全身を巡って酸化ストレスなどを招きます。

これに加えて,腸内細菌が作る物質(アンモニア)によって,腸の表面のバリア構造が傷められ,そのため全身に炎症を招くような物質(細菌の毒素や体の一部など)がより細胞や血液中に流れ込みやすくなり,腸管で炎症を起こしたり,全身で炎症反応を引き起こすということも注意すべきだという文献でした。

腎機能が悪くなった方,慢性腎臓病の方はこうした物資を尿として体外に排出する機能が落ちていますし,そうした物質が増えることで腸内の環境が悪化し,悪玉菌の割合が高まり,さらに体に良くない物質の生産が増え…と,どんどん悪循環が続くことになりますshock

この文献ではこうした問題に対する対処法として以下の方法を挙げていました。

1,尿素や他の尿毒性物質を減らす戦略
2,高繊維栄養
3,腸管でのα-グリコシダーゼ活性の阻害
 4,経口吸着剤
5,腸管の浮腫を最小限にし,腸管の虚血を防ぐ目的の戦略
6,プロバイオティクス

どれも,腸内環境を(生化学的に)できるだけよい状態にして,腸のバリア機能を傷めないように,尿毒性物質の発生を抑えつつそれらが体内に吸収されにくくするように…という目的です。

より具体的には,1では摂取するアミノ酸を一部ケトアナログ(アミノ酸から尿素の原料となるアミノ基を除いたケト酸のこと)のものに変えるとか,低タンパク食とすること,より長く高頻度の血液透析を行うことなどが挙げられています。

簡単に取り組めることと言えば低タンパク食だと思いますが,高齢者にとっては低タンパク質,低栄養よる感染症の方が問題になってきていることに注意が必要です。
2は善玉菌のエサとなる食物繊維をたくさん摂って,善玉菌を増やし,大腸の上皮細胞や免疫系のT制御リンパ球の重要なエネルギー源になる短鎖脂肪酸をたくさん合成してもらって,腸をできるだけ健康にしよう!という方法です。

難消化性でんぷんなどの摂取が推奨されていますが,一方でこれらを摂りすぎると腸内で発酵して,腹部の膨満感やガスがたくさん発生するのではないかと思います。
腸内細菌や腸内環境にはいいことだけど,お腹が張ったりおならが増えたり…は社会生活を行う上ではちょっとマイナス面かなと思いますcoldsweats01

3は炭水化物(糖鎖)の分解を抑制することで未消化の糖鎖を大腸に送り,これまた善玉菌の餌としましょうという方法です。
糖尿病のお薬の一つとしてα-グルコシダーゼ活性阻害剤が使われていますが(ブドウ糖への分解を抑制することで血糖値の上昇を緩やかにする),2と同様に腸内での発酵による弊害もあるようですthink

4は経口吸着剤,特に「慢性腎不全の進行抑制薬」である石油ピッチ由来の「」(AST-120;クレメジン®)について言及されています。

腸管内で食事由来や腸内細菌由来の尿毒性物質を炭に吸着し,便として排出(血管の中に入れず,他の臓器に移動させない)することで血中のインドキシル硫酸(インドールが肝臓で作り変えられた物質)等を低下させるというお薬です。

経口吸着炭(AST-120)が酸化ストレスと全身性炎症の双方を低下させるのですが,それは尿毒性物質の吸着除去のほかに,アンモニアの吸着を通じて腸のバリア構造保護にも働いているのではないかという見解で,筆者らは腎不全動物モデルを用いてこの仮説を検証済みです。
その実験では血中の細菌毒素,各種炎症性物質(複数のサイトカイン)や酸化ストレス指標物質の濃度低下も確認しているようです。

腸内環境を善玉菌が増えやすくすると同時に,腸のバリア機能低下を抑制し,尿毒性物質の体内流入を抑制できて…好循環がよりよい効果につながる感じですね!

5は腸のバリア機能を正常に維持するため,腸の「浮腫」や「虚血」を招かないように,使用する医薬品や透析方法に注意が必要であるというもので,食物の水分量やナトリウムの摂取量にも注意が必要とのことでした。

6は尿毒性物質を少なくするために細菌類を経口摂取する手法についてですが,これらの中には尿素濃度を下げさせるために尿素をアンモニアに分解する酵素を持つ種類が含まれていることが多く,思うような成果が上がらないのはこのアンモニアへの変換が尿素濃度は下げるけれども一方で小腸バリア機能への悪影響を生じさせているのではないかとの見方が示されています。

腸内細菌の生息する(生化学的な)環境を良くすることなく特定の細菌種を経口投与しても期待する効果が得られにくい…ということで,環境を整えることを併用すること,摂取する細菌を選ぶには尿素分解酵素を持つ種かどうかも注目すべきところのようです。

腸内で尿毒性物質が作られることはそれなりに勉強しておりましたが,バリア機能の崩壊までは十分理解していませんでした。

対処法としての経口吸着炭newmoonの紹介はとても気になる話題です。

今後もいろいろ勉強していかねば~と決意を新たにしたM子でしたconfident

この記事を書いた人
DF

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